世界では、今も多くの人が保健・健康に関する問題を抱えている。この中には、死に至る深刻な問題も多いが、地域や所得レベルによって直面している問題が大きく異なる。具体的に見てみると、2019年の世界保健機関(WHO)の調査では、高所得国における上位3位の死因は、心疾患、アルツハイマーと他の認知症、脳卒中であると報告されている。一方、低所得国での上位3位は、新生児の疾患、肺炎などの下気道感染症、心疾患となっており、三大感染症である結核、HIV/AIDS、マラリア、なども上位10位に挙げられている。また、これらの死因の背景には、大気汚染や下痢系疾患となどといった問題もある。
このように、低所得国を中心に、適切に対処すれば死亡を防ぐことができるものが主な死因を占めている現状がある。これらは一国だけで解決できるわけではなく、予防や治療の実施において、グローバルレベルでの対策が求められるものである。解決に必要となる、病気に関する研究や、ワクチンや薬の開発、保健・医療及び生活環境に関する人、モノ、インフラの整備には膨大な資金が必要である。このように、資金は政策レベルで抽出されるため、それを集めるには世界で関心を持たれることや、注目されることが不可欠である。つまり、関心と注目に関わるアクターとして、メディアの存在が大きいのだ。
では、日本ではこれらの問題について注目されているのだろうか。今回の記事では、保健・医療分野において世界が抱える問題の概要と、それらがどれほど日本で報道されているのかについて取り上げる。

ワクチンを接種する乳児(インドネシア)(写真:USAID Indonesia / Flickr [United States government work])
保健・医療の現状と報道
上記のように、世界は、多くの保健・医療問題を抱えている。では、世界ではどのような問題について特に注力しているのだろうか。これについて、持続可能な開発目標(SDGs)における達成目標を参照してみる。SDGsは、2015年に国連で採択され、解決が急がれる重要な課題に対して、2030年までに達成しなければならない17の目標が設定されている。保健・医療問題に関しては、SDGsのゴール3において「世界のすべての人に健康と福祉を」という目標を掲げている。具体的には13のターゲット(※1)を定めており、妊産婦の健康、子どもの健康、感染症、メンタルヘルス、アルコールと麻薬、交通事故、性と生殖、医薬品へのアクセス、大気汚染、の9つの課題に対して目標が定められている。
そこで、今回の記事では、これらのターゲットのうち「妊産婦の健康」「子どもの健康」「三大感染症」「アルコールと麻薬」の4つを取り上げて、これらの観点から世界の保健・医療の現状について探っていく。
また、これら4つの観点において、保健・医療問題の現状は、どれくらい日本で報道されているのかをみるために分析を行った。SDGsが始まった2015年から2022年までの8年間における、朝日新聞、毎日新聞、読売新聞の3社の国際報道を調査(※2)した。
妊産婦の健康を脅かすもの
妊産婦の健康とは、妊娠・出産・産後における女性の健康のことである。ここ20年で、世界のどの地域においても妊産婦の健康は改善されている。しかし、依然として出産前後で亡くなる妊産婦は多く、具体的には、2020年の全世界における妊産婦死亡率は、10万人あたり223人である。そして妊産婦の死の多くは低所得国で起こっており、約87%はサハラ以南アフリカと南アジアが占めている。
妊産婦の死亡の原因には、出産後の多出血、妊娠高血圧、危険な中絶などが挙げられる。また、このような直接的な問題だけでなく、マラリアや心臓病などの間接的な原因によって亡くなることもある。妊産婦の死亡の多くは、医療従事者が立ち会うことで防ぐことができる。つまり、医療従事者や、病院などの医療施設が不足している場所で、特に妊産婦の死亡が問題となっているのだ。
また、妊産婦の死亡率を低下させるためには、望まない妊娠を防ぐことも重要であるとされている。しかし、生殖に関して自らの意思で決定を下している女性はまだまだ少なく、たった57%であるという調査もある。

検診を受ける妊婦(エチオピア)(写真:UNICEF Ethiopia / Flickr [CC BY-NC-ND 2.0])
ここからは、妊産婦の健康に関する日本における国際報道(※3)を見ていく。2015年以降の8年間で、この問題を主題として取り上げている国際面の記事は、朝日新聞、毎日新聞、読売新聞の3社合計で10記事に過ぎなかった。具体的に見ていくと、たとえば、2015年11月22日の『シリア:「妊産婦の死亡率悪化」 NGOが支援訴え』(毎日新聞)のように、特定の国の治安悪化と妊産婦の健康状態の関係について述べられているものが多かった。一方、妊産婦の健康について、世界全体の状況をマクロ的に捉える記事は少なく、2015年12月4日『世界人口白書:「生殖の健康重要」 妊産婦死亡・望まない妊娠防止』(毎日新聞)の一つのみであった。
また、今回の調査には該当しないものの、主題が異なる記事の中で妊産婦の健康について言及している記事もあった。たとえば、2015年7月8日の『貧困、残された8億人 サハラ以南・南アジアに集中 「半減目標は達成」国連報告』(朝日新聞)では、貧困の現状について述べられている中で、関連する問題として取り上げられていた。また、日本の妊産婦福祉の良さを国外に伝える記事の中で妊産婦の健康について言及している記事もあった。例えば、2016年11月8日の『読売国際協力賞 公益財団法人「ジョイセフ」 途上国 安心のお産=特集』(読売新聞)では、母子手帳の海外進出や、日本の組織の活躍について書かれている中で、妊産婦死亡率について言及されていた。
子どもの健康を脅かすもの
過去数十年で、世界における子どもの健康状態は改善しており、死亡率も減少している。しかし、依然として死亡率改善が重要な課題とされている。具体的に見てみると、2021年には5歳未満の子ども500万人が死亡しており、そのうち46%である230 万人が生後28日までの新生児のうちに死亡している。特に、サハラ以南アフリカは死亡率が最も高い地域であり、5歳未満の子どもは出生 1,000 人あたり73人、新生児は出生1,000人あたり27人が死亡している。
子どもが亡くなる主な原因は、肺炎、下痢性疾患、感染症などが挙げられる。これらの病気に罹る大きな原因としては、貧困のせいで安全な水や空気と十分な食料にアクセスできないことがある。しかし、医療へのアクセスと生活の質の向上があれば、簡単に病気を予防できるだけでなく、一度病気に罹ってしまっても治療できる場合が多いため、子どもの死亡の半数以上は防ぐことができるとされている。
また、子どもの健康を守ることは、単に死亡率を下げることだけではない。栄養失調やマラリアなどは、その後の子どもの発達にも影響を与えることが多い。そのため、水や食料問題、感染症などに適切に対処することは、健やかに成長するための環境を与えることにもなるのだ。

目の検査を受ける子ども(ソマリア)(写真:AMISOM Public Information / Flickr [CC0 1.0])
ここからは、子どもの健康に関する日本における国際報道(※4)を見ていく。冒頭でも述べたように、新生児の疾患は、低所得国での死因第1位であり、子どもの健康状態の向上に早急に取り組むことが求められる。しかし、日本の報道ではほとんど注目されておらず、この問題を取り上げている記事は、3社合計で8年間に12記事のみであった。具体的に見てみると、たとえば2015年8月20日の『パレスチナ:ガザ乳児死亡率上昇 「封鎖と戦争」でストレス』(毎日新聞)のように、特定地域における子どもの健康状態の変化について述べられているものもあれば、2017年3月9日の『子供の死因約25% 環境要因の病気 WHO報告書』(読売新聞)のように、世界全体の現状について述べている記事もあった。
また、今回の調査に該当するものの中には、2018年2月16日の『米マクドナルド:ハッピーセット、健康に配慮 子ども向けメニュー改革』(毎日新聞)のように、有名企業による高所得国での子どもの健康改善に対する取り組みを取り上げた記事もあった。しかし、これは問題そのものに焦点が当たっているというよりか、企業のマーケティングとして活用されている側面もあると捉えることもできる。
三大感染症
新型コロナウイルスや中東呼吸器症候群(MERS)(※5)のような、一過性で注目される感染症がある一方で、長年ずっと多くの人を死に追いやっている感染症がある。特に、具体的には、結核、HIV/AIDS、マラリアの三大感染症が挙げられる。これらの感染症は、現在では適切な治療法が確立されている。しかし、死亡率は依然として高いままであるのだ。特に低所得国、その中でもアフリカで広く蔓延している。ここからは、これら三つの感染症について探っていく。

血液サンプルを確認する検査技師(ソマリア)(写真:AMISOM Public Information / Flickr [CC0 1.0])
まず、結核について見ていく。結核とは、細菌によって引き起こされる感染症であり、空気を介して感染が広がる。そして多くの場合、肺に影響を与える。実は、世界人口の約4分の1の人が結核菌に感染したことがあるとされており、感染者は非常に多いが、ほとんどの人は感染後発症することはない。一方で、赤ちゃんや子ども、免疫システムが低下している人などは発症リスクが高くなってしまう。ゆえに、栄養失調や免疫システムを低下させる病気であるHIV/AIDSと結核は関連が深く、HIV感染者の結核罹患率は、感染していない人の16倍であるとされている。
結核は、予防可能であり治療可能な病気である。しかし、2021年においてもなお、世界中で推定 1,060 万人が結核に罹り、160万人が結核で死亡している。
続いて、HIV/AIDSについて見ていく。HIV(ヒト免疫不全ウイルス)とは、体の免疫細胞を攻撃するウイルスである。これに感染した人は、自己免疫が脆弱になってしまい、普段かからないような感染症や病気に罹患しやすくなってしまう。そして、HIVウイルスは、HIV 感染者の特定の体液との接触によって広がる。HIV を治療せずに放置すると、AIDS (後天性免疫不全症候群)発症につながる可能性が高くなる。現時点で、HIVを治す効果的な方法は確立していないが、適切な治療を受けることで、AIDSの発症を抑えるだけでなく、感染拡大を防ぐこともできる。
しかし、HIV/AIDSは依然として世界の多くの人が苦しむ感染症である。具体的に見てみると、2022年末時点でHIV感染者は3,900万人にのぼる。さらに、2022年には63 万人がAIDS関連の病気で死亡している。
最後に、マラリアについて見ていく。マラリアはハマダラカという蚊が、マラリア原虫と呼ばれる寄生虫を媒介することによって人間に伝染する感染症であり、主に熱帯諸国で見られる。人から人へ直接感染することはないとされている。
マラリアは、感染を予防することが可能な病気である。具体的には、ワクチンを接種することや、蚊帳で寝ることで夜に活発になるハマダラカに刺されないようにすること、抗マラリア薬を服用することなどで感染を予防することができる。さらに、感染してしまっても、早急に治療を行うことで感染の重症化を防ぎ、治療することが出来る。しかし、2021年現在、世界の87か国ではいまだにマラリアの脅威にさらされている。具体的に見てみると、2021年の全世界でのマラリア感染者数は2億4,700万人であり、死亡者数は61万9,000人にのぼる。そして、全感染者・死亡者のうち約95%はアフリカで起こっているのだ。

マラリアの検査を受ける子ども(マダガスカル)(写真:USAID in Africa / Flickr [United States government work])
ここからは、結核、HIV/AIDS、マラリアの三大感染症に関する日本における国際報道(※6)を見ていく。この問題について取り上げている記事は、3社合計で8年間に29記事であり、上記2つの問題に比べると多い。これらの記事の中には、2021年12月8日の『マラリア死62万7,000人 昨年6.9万人増 コロナで対策遅滞』(読売新聞)のように、世界全体のマクロな観点から取り上げているものもあれば、2022年1月12日の『ケニア:ケニアのスラム、結核猛威 人口密集、一昨年14万人感染』(毎日新聞)のように、各国の問題についてミクロな観点で述べているものもあった。
しかし、影響を及ぼしている人の数に比べると報道量は少ないと言えよう。具体的に新型コロナウイルスに関する報道と比較してみる。新型コロナウイルスによる2020年から2022年の3年間における平均死者数は224万人であり、三大感染症の 2021年の1年間における死者数の合計より少ない。しかし、報道量(※7)を見てみると、朝日新聞1社における国際面だけでも2020年から3年間で1,703記事取り上げられていた。さらに、流行し始めた当初は国際報道の約8割を占める期間もあった。
アルコール・薬物による健康被害
アルコールや薬物は有害性や依存性を持っており、心身に健康被害を及ぼす。さらに、個人の健康にだけでなく、社会にも大きな悪影響をもたらす。では、これらは具体的にどのような問題を引き起こしているのだろうか。
まず、身体への影響を見てみると、アルコールや薬物の使用は人の脳に悪影響を及ぼす。そして、精神状態を興奮させたり、落ち着かせたりすることで、判断力を鈍らせて行動を変化させる。さらに、場合によっては急性中毒を引き起こし、昏睡状態や死に至らせる可能性もある。また、依存性も持っているため、長期的な健康被害を及ぼすことも問題の一つである。次に、社会への影響としては、判断力が鈍ることを原因とした交通事故や暴力などの犯罪の増加、経済の減退などが挙げられる。

アルコール飲料の瓶が並ぶ様子(写真:Tim / Flickr [CC BY-NC-ND 2.0])
このように、アルコールや薬物は有害な性質を持っており、様々な問題の原因になる。実際に、アルコールは、200 以上の病気や怪我、その他の健康状態を悪化させる原因であり、世界中では毎年 300 万人がアルコールを原因に亡くなっている。これは全死亡者のおよそ5.3%を占める。また、世界全体で薬物乱用者は増加傾向にある。具体的には、2021年には3,950万人が薬物を乱用しており、これは10年で45%増加しているとされている。さらに、薬物に関しては治療をしなければ死亡率を高めることにもなるのにも関わらず、適切な治療を受けられていない人も依然として多い。というのも、薬物を使用した際は、治療を受けるよりも刑事処罰の対象にされることが多い。そのため、薬物の影響を受けている人のうち治療を受けている人は5分の1にとどまるのである。
ここからは、それぞれの問題が日本でどれほど報道されているのかを探っていく。まずアルコールの健康被害に関する国際報道(※8)を見ていくと、この問題について取り上げられている記事は3社合計で8年間に20記事程度であった。具体的には、たとえば2018年1月19日の『過度な飲酒:がん原因にも 男性、2時間で缶ビール5本は「深酒」 米学会』(毎日新聞)では、アルコールによる健康リスクや、他の病気との関係が書かれていた。
一方で、アルコールに関する記事のうちのほとんどは保健・医療問題について取り上げていなかった。実際に、健康被害に注目していない記事も含めると3社合計で170記事であった。アルコール業界に関する記事や、アルコールにポジティブな印象を植え付けるような記事も多く、2018年11月27日の『乾杯!世界のどこかで:戦火から生まれた島の誇り 台湾、金門コーリャン酒』(毎日新聞)から始まる『乾杯!世界のどこかで』シリーズのように世界のお酒についての連載している記事もあった。
ここからは、薬物の健康被害に関する国際報道(※9)を見ていく。この問題について取り上げられている記事は、3社合計で11記事だけであった。具体的に見ていくと、たとえば2017年12月26日の『米国人:平均寿命2年連続低下 医療用麻薬の乱用、要因か』(毎日新聞)では、薬物の使用と健康被害関連について述べられている。また、薬物の使用と社会問題の関連について述べられている記事もあり、2018年12月18日の『「幸せの国」 薬物汚染 ブータン 失業率上昇 若者に不安感』(読売新聞)などが挙げられる。

元麻薬常用者が職業訓練を受ける様子(ベトナム)(写真:International Federation of Red Cross and Red Crescent Societies / Flickr [CC BY-NC-ND 2.0])
しかし、このように個人や社会への影響について取り上げている記事は、薬物について取り上げられている記事のうちほんの一部である。実際に、薬物について述べられている記事について、健康被害に注目していない記事も含めると3社で169記事あった。たとえば2016年12月9日の『トランプ氏 比の麻薬対策支持 「聖人になったよう」ドゥテルテ氏』(読売新聞)のように、各国政府の動向や、売買・利用に関する刑事対策などと組み合わせて取り上げられているものが多かった。
保健・医療問題についての報道を問う
ここまで述べてきたように、世界において解決すべき問題とされている保健・医療問題を抱えている人は未だに非常に多いにも関わらず、妊産婦の健康、子どもの健康、三大感染症、アルコールと麻薬の4つの観点のうちどれを見ても、問題の現状へのメディアによる注目は極めて少なかった。
では、深刻な問題であるにも関わらず、日本であまり報道されない理由は何であろうか。原因としていくつか挙げられる。ひとつは、日本ではこれらの問題による直接的な被害をあまり受けておらず、低所得国で起こっているものが中心であることだ。実際に、これまでのGNVの調査においても、貧困率が高い国では報道量が少ないということが示されている。また、「新しい」問題でないことも原因のひとつだと考えられる。ニュース報道は、突発性や情報の新鮮さが重要視される傾向があるが、今回取り上げた問題の多くは長年世界に影響を与えている問題であるため、ニュースとして取り上げられにくいと考えられる。

新型コロナウイルスについての記者会見(スコットランド)(写真:Scottish Government / Flickr [CC BY 2.0])
ここまで述べてきた保健・医療問題は新型コロナウイルスなどよりも継続的に多くの死者を出している。しかし、突発的に流行して高所得国にも大きな影響を及ぼしている後者に対して、低所得国を中心に長年蔓延しているものであるため、報道量に大きな差が生まれてしまっているのである。
しかし、これらの問題を解決するためには報道で注目される必要がある。上でも述べたように、保健・医療問題の背景には、格差・貧困問題や食料・インフラ不足、医療施設や医薬品などへのアクセス制限や医療従事者の不足など、様々な問題がある。これらを解決しなければ保健・医療問題の根本的な解決にはならない。そして、これらの根本問題の解決のためには、大規模に政策を転換することや大きな資金・人的資源を割く必要がある。これらを動かすきっかけとして、報道によって注目することが不可欠なのである。他にも、世界で起こる問題に注目することは、今後やってくる類似の新たな保健・医療問題に備えることにもなる。
また、「SDGs」という単語に関しては、これほど日本で報道されているのにも関わらず、実際に掲げられているゴールやSDGsそのものの本質ついてはあまり注目されていないことも大きな課題のひとつだと考えられる。SDGsは、世界全体で包括的に取り組む目標であり、「誰一人取り残さない」ことを目指している。このような目標を掲げているのならば、最も解決すべき問題を抱えている低所得国や貧困層の人たちにこそ、対策の中心にする必要があるのではないだろうか。
世界全体で、保健・医療問題の解決を実現させるには、各国政府や世論などに影響を及ぼすメディアの注目が不可欠である。日本のメディアが、世界が抱えるこれら深刻な問題にも目を向けるようになる日は来るのだろうか。
※1 ターゲットでは、達成目標が9個、実現方法が4個掲げられている。
達成目標
(1)2030年までに、世界の妊産婦死亡率を出生10万人あたり70人までに減らす。
(2)2030年までにすべての国で、新生児死亡率を出生1,000人あたり12人以下まで、5歳以下の子どもの死亡率を出生1,000人あたり25人以下まで減らし、新生児と5歳以下の子どもの予防可能な死を絶やす。
(3)2030年までに、エイズ、結核、マラリアやこれまで見過ごされてきた熱帯病などの感染病を絶やし、肝炎や汚染水を原因とする病気、その他感染症の対策を進める。
(4)2030年までに、予防と治療とメンタルヘルスと福祉の推進を通して、感染症以外で平均寿命より前に死亡する割合を3分の1まで減らす。
(5)麻薬やアルコールなどの乱用に対する予防と治療を強化する。
(6)2020年までに、世界で起こる交通事故による死亡と怪我を半分まで減らす。
(7)2030年までに、すべての人が、家族計画や情報、教育を含む性や生殖に関する保健サービスを利用できるようにする。また、これらを国家戦略に入れ込む。
(8)すべての人が、金銭的な不安なく、基礎保健サービスをうけ、安全で効果がある安価な薬と予防接種を受けられるようにすることで、ユニバーサル・ヘルス・サービスを達成する。
(9)2030年までに、有害な化学物質や、大気・水・土壌の汚染を原因とする死亡や病気を大幅に減らす。
実現方法
(a)たばこ規制に関する世界保健機関枠組条約の実施を必要に応じて強化する。
(b)TRIPS協定および公衆衛生に関する宣言(ドーハ宣言)に基づき、主に開発途上国で大きな影響をおよぼす病気に対するワクチンや薬の研究開発を支援し、安価な必須医薬品やワクチンのアクセスを提供する。
(c)開発途上国、特に後発開発途上の国や小さな島国で、医療資金を大きく増やし、医療従事者の数を増やし、研修を推進する。
(d)すべての国、特に開発途上国において、国家、および世界での健康リスクの早期警告、リスク低減、管理をするための能力を強化する。
※2 3社各紙のデータベース(朝日新聞:「朝日新聞クロスサーチ」、毎日新聞:「毎索」、読売新聞:「ヨミダス歴史館」)を使用した。また、検索方法については、東京本社の本紙と東京の地域紙の朝刊と夕刊の両方を対象とした。なお、朝日新聞クロスサーチについては、対象紙誌を「朝日新聞」のみに限った(他に、朝日新聞デジタル、アエラ、週刊朝日の3つの紙誌がある)。
※3 毎日新聞、読売新聞、朝日新聞の3社のそれぞれのデータベースで「(妊婦 OR 妊産婦 OR 出産 OR お産 OR 帝王切開 ) AND (死 OR 亡 OR 健康 OR 病気 OR 感染 OR 検診 OR 病院 OR 医)」と検索(期間は2015年1月1日〜2022年12月31日)。面名は国際面。検索対象は見出し。妊産婦の健康を主題にしている記事をカウントとし、言及程度のものはカウントしていない。
※4 毎日新聞、読売新聞、朝日新聞の3社のそれぞれのデータベースで「(乳幼児 OR 子供 OR 子ども OR 乳児 OR 新生児) AND (死 OR 亡 OR 健康 OR 病気 OR 感染 OR 検診 OR 病院 OR 医)」と検索(期間は2015年1月1日〜2022年12月31日)。面名は国際面。検索対象は見出し。子どもの健康を主題にしている記事をカウントとし、言及程度のものはカウントしていない。
※5 中東呼吸器症候群:MERSコロナウイルスによる病気。ウイルスを保有するヒトコブラクダと接触することで感染する。主な症状としては、突発的な肺炎などの呼吸器症状がある。
※6 毎日新聞、読売新聞、朝日新聞の3社のそれぞれのデータベースで「結核 OR マラリア OR (HIV OR AIDS OR エイズ)」と検索(期間は2015年1月1日〜2022年12月31日)。検索対象は見出しと本文。子どもの健康を主題にしている国際報道の記事をカウントとし、言及程度のものはカウントしていない。
※7 朝日新聞のデータベースで「新型肺炎 OR コロナ」と検索(期間は2015年1月1日〜2022年12月31日)。面名は国際面。検索対象は見出し。
※8 毎日新聞、読売新聞、朝日新聞の3社のそれぞれのデータベースで「アルコール OR 酒 OR ビール OR ワイン」と検索(期間は2015年1月1日〜2022年12月31日)。検索対象は見出し。アルコールによる健康問題を主題にしている国際報道の記事をカウントとし、言及程度のものはカウントしていない。
※9 毎日新聞、読売新聞、朝日新聞の3社のそれぞれのデータベースで「麻薬 OR 薬物 OR ドラッグ OR 覚醒剤 OR 大麻 OR マリファナ OR モルヒネ OR コカイン OR MDMA」と検索(期間は2015年1月1日〜2022年12月31日)。検索対象は見出し。薬物による健康問題を主題にしている国際報道の記事をカウントとし、言及程度のものはカウントしていない。
ライター:Yuna Nakahigashi
こういう分野の問題は特に、メディア側だけではなく私たち受け手の資質も重要になってくる問題であるように感じます。
「他人事」が「他人事」でないようになるためには、どのようなアプローチが重要になってくるのでしょうか。
アメリカ、ヨーロッパ等の国ではそもそも麻薬などのドラッグが合法な場合も多いです。そうすると深刻な健康被害を及ぼすにしても、その国の社会で問題になってないために、日本のメディアで報道されないのかもしれません。
それにしてもアフリカの保健医療への注目度の低さは問題ですね、