切手に写っているのは、ベラルーシ人スキー選手のアントン・クシニル氏だ。
2006年のトリノオリンピック以来4回連続冬季オリンピックに出場しているベテラン選手であり、2014年のソチオリンピックで金メダルを取ったかなりの実力者である。
2018年の平昌オリンピックでも奮闘したが、スイスのミーシャ・サガー選手に0.45点差で敗れて予選7位、惜しくも決勝進出とはならなかった(6位以内が決勝)。
しかし、話はこれで終わらない。本国の大統領が審査結果に対し抗議を行ったからだ。
同国のオリンピック委員会会長を兼任するベラルーシ大統領ルカシェンコは、クシニル氏の敗北は、スイス人、ロシア人、中国人の審査員が自国選手に有利になるよう不当に採点したからだと主張した。在韓国大使館を動員してまでの抗議だったが、最終的にはもとの審査結果の正当性が認められた。
「ヨーロッパ最後の独裁者」として知られるルカシェンコ大統領。自国の選手を応援したくなるのは何も彼に限ったことではないだろうが、権威主義政権を指導する人物としては、自国の威信を保つという意味で、オリンピックはより一層の重要性をもつものなのかもしれない。
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(写真:Дизайн почтовых марок Елены Медведь /belpost.by (Public Domain )