椅子が4つ並んでいる。右から、1つ目の椅子、2つ目の椅子、そして3つ目の椅子の上には、それぞれ銅像が立っている。彼らはいったい何者なのか。
一番右の椅子から見ていこう。立っているのは、チェルシー・マンニング氏だ。米軍などに関する大規模な情報をリークした内部告発者である。リークの内容には、米軍の戦争犯罪とも思われる行動なども含まれていた。7年間、アメリカの刑務所で拘束された過去を持つ。
右から2つ目の椅子には、ジュリアン・アサンジ氏が立っている。マンニング氏からの情報を受け取り、他の報道機関などを通じて世界に知らせたウィキリークスの創設者である。在英エクアドル大使館で7年の亡命期間を経て、2019年、イギリスで逮捕され、現在も拘束されている。
右から3つ目の椅子には、エドワード・スノーデン氏が立っている。アメリカやイギリスなどによる大規模な秘密監視プログラムについて暴露した内部告発者で、現在はロシアに亡命中である。
3人とも、自由と引き換えに、違法な戦争、そして違法な監視に「ノー」を突きつける勇気を示した。椅子に座るのではなく、立ち上がり、声を上げたことで、より遠くまでその声を届けることができた。同時に、彼らは権力者のターゲットになった。
ところで、一番左の椅子は空席である。それは、この作品を目にした人のために用意された椅子だ。椅子の上に立ってみる自分を想像して欲しい。隣を見ると、3人がいる。真実を市民に伝えるために尽力してきた者たちだ。声を上げるという行為について、あなたは何を考えるだろうか。声を上げる勇気がなかったとしても、3人と並ぶだけで、自然と結束の強さを感じるかもしれない。
デービッド・ドルミーノ氏によるこの作品は、「言いたいことはある?(Anything to say?)」という作品名となっている。「アサンジに賛同するアーティスト」という企画の一環である。
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(写真:Simone Ramella / Flickr [CC BY 2.0])