「世界重要農業遺産システム」をご存じだろうか。農林漁業において維持されてきた、土地の利用方法や技術、文化風習などを次世代に継承するため、国連食糧農業機関(FAO)によって創設されたものである。
その登録例の一つに、バングラデシュの水耕栽培がある。バングラデシュは洪水多発地域として知られ、農業を営む環境としては不向きにも見える。しかし、雨期に発生する大量のホテイアオイなどの浮草と稲藁を使って水上に農場を作ることによって、食物の栽培を可能にしてきた。
このように、地理的特徴や文化を反映した伝統的な農林漁業法は世界各地に存在する。それぞれの土地にじっくりと向き合い、最適な方法を見出してきた先人の知恵には、現代の人々が持続的な土地利用を考える上でのヒントが隠されているかもしれない。
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(写真:Nazmulhuqrussell / Wikimedia Commons [CC BY 3.0])