「現在の価格を維持するのは、フィリピンのバナナ農家にとって非現実的で不公平だ。」
2022年6月、フィリピンのホセ・カスティーリョ・ラウレル駐日大使が、バナナの輸出先として世界一である日本に対し、バナナの取引価格引き上げを要請した。その背景には、生産者と取引企業の力関係が関係しており、価格設定において弱い立場にある生産者が、アンフェアな取引によって貧困に陥ってきたことが挙げられる。追い打ちをかけるように、2020年から新型コロナウイルス感染症やロシアのウクライナ侵攻の影響によるコスト上昇を受け、多くのバナナ農家が限界を迎えた。農家を取り巻くバナナ業界には、どのような実態があるのだろうか。本記事では、フィリピンの中でもバナナ生産が盛んなミンダナオ島に焦点を当て、バナナ業界が抱える諸問題を探る。

ミンダナオ島で栽培されたバナナ(写真:Shubert Ciencia / Flickr [CC BY 2.0])
フィリピンのミンダナオ島とは
東南アジアに位置するフィリピン共和国は、1億1,200万人以上の人々が7,000以上の群島で暮らしている。国土は北部のルソン島、中部のビサヤ諸島、南部のミンダナオ島と3つに分類され、各地域で基盤とする産業が異なっている。首都マニラが位置する北部のルソン島は、経済や金融、行政の中心地となっており、中部のビサヤ諸島は、セブ島などで観光産業が発展してきた。南部のミンダナオ島は主に農業や林業、漁業から経済を支えてきた。
国全体は農業からサービス業中心の経済に移行しつつあり、1960年代は、農業がGDPの約25%を占めていたが、現在は約10%となっている。2020年は24.8%の国民が農業に従事しており、その大半は農場面積が1ヘクタール未満の小規模農家である。ミンダナオ島は、サービス業の生産高が農業や工業より高いが、依然として農業が盛んであり、バナナやココナッツを筆頭とする輸出用農作物においては、国内の60%の収入を得ている。他にも、肥沃な土地ではとうもろこしや米、コーヒーやカカオなどの作物が栽培されてきた。バナナやパイナップル、マンゴーなどの果物は輸出用に栽培されることが多く、輸出先のニーズを満たすため品種改良した作物を育てることもある。その代表例が、世界の輸出市場で最も出回っているキャベンディッシュバナナだ。輸出用のキャベンディッシュバナナは大規模プランテーションで生産される。また、国内消費用として別の品種(ラカタン種)も栽培されてきた。
産業が進展する一方で、国内では地域間の格差も拡大してきた。2021年、国民の23.7%が国の定める貧困ライン(5人家族の場合、約215米ドル/月)を下回っており、この数値は3年前と比較して2.6%上昇した。政府は、2040年までに貧困を撲滅するため、2015年から25年間の長期目標を掲げ、貧困削減のために教育や医療など様々な分野から政策を打ち出してきた。ミンダナオ島では、国平均(23.7%)の2倍以上にあたる59%の人々が、貧困ラインを下回って生活している。またフィリピン統計局が発表したデータによれば、ミンダナオ島の地域は国内で最も貧しい地域の上位5つのうち4つを占めている。
ミンダナオ島で貧困が発生している背景には、40年近く続いてきた武力紛争が挙げられる。以下段落で、紛争に至るまでの歴史について解説する。
13世紀頃、フィリピンにイスラム教が伝来し、ミンダナオ島のスールー州でイスラム国家が形成された。16世紀に現フィリピンの領土はスペインの植民地となり、キリスト教が広まった。当初ミンダナオ島はスペインからの直接的な支配を免れ、イスラム教の国家が存続していたが、徐々にスペインからの圧力を受けるようになった。その後1898年の米西戦争でスペインに勝利したアメリカ植民地政府は、キリスト教徒の土地要求に応え、支配領域を拡大するためにフィリピン全域の支配を開始した。植民地政府が、キリスト教入植者によるミンダナオ島への移住を促す「再定住政策」を実施したことで、現地のイスラム教徒や先住民が追い出されることとなった。二度の世界大戦を経て独立を達成してからも、フィリピン政府はミンダナオ開発政策を踏襲した。多数のキリスト教徒がミンダナオ島に入植したことで、島内で土地の権利を失うイスラム教徒も現れた。この政策に反対し、分離独立を求めたイスラム教徒による闘争が、1960年代後半から続いているミンダナオ紛争である。
当時フィリピン政府が軍事介入という形で対処し、紛争停止と和平合意に向けた取り組みが行われたが、その間も断続的にフィリピン軍と反政府勢力が衝突してきた。武力衝突が発生すると、多くの市民は戦闘を避けるために避難せざるをえなくなる。衝突に付随する人権侵害や犯罪行為と相まって、公共サービスが十分に提供されない状態となってきた。一方で、1997年から政府と反政府勢力は和平交渉を開始し、マレーシアの仲裁のもと2012年と2014年に和平合意が署名された。やがて暫定的な自治政府が樹立され、2025年には選挙が予定されているなど、和平に向けた動きも進んでいる。

ミンダナオ紛争から逃れるため、避難する住民(写真:EU Civil Protection and Humanitarian Aid / Flickr [CC BY-NC-ND 2.0])
ミンダナオ島におけるバナナ業界の実情
次に、ミンダナオ島でのバナナ業界について探る。
歴史的に、バナナは約1万年前からニューギニア島を起点として、フィリピンや熱帯地方に伝播したという見方がある。古代から中世にかけ、バナナは個人の商取引で流通することが多かった。近代になると、各国の商人を跨いでバナナ取引が始まり、19世紀末に世界のバナナ市場は急激に拡大した。その背景には、グロスミシェルという丈夫な品種のバナナが開発されたことや、単価の低さ、安全性やカロリーの高さ、健康食としての位置づけなどが挙げられる。バナナ需要の高まりとともに、19世紀末から中南米で大規模なプランテーションを展開した、アメリカ拠点のユナイテッド・フルーツ・カンパニーなど、市場を独占して巨大な権益を獲得する企業も現れた。
1898年の米西戦争以降、フィリピンはアメリカの統治下に置かれ、多国籍企業による投資を受けた。旧国有地はプランテーションとなり、作られた商品はアメリカで関税を免除され、輸出志向型経済が発展していくこととなった。未開発の「開拓地」と見なされていたミンダナオ島でも、バナナやパイナップルのプランテーションが設立された。1912年までに100ヘクタール以上の大規模プランテーションが159ヶ所存在したと記録されている。とはいえ、プランテーション設立時に土地を奪われた住民との争いは絶えず、またバナナ取引で最も利益を享受したのはプランテーションの所有者(主にアメリカの企業)であった。
第二次大戦後、フィリピンは独立を果たし、工業化、サービス化に舵を切ったが、前述の紛争による政治的不安、投資不足などの理由により、ミンダナオ島の主要な産業は変わらず農業であった。引き続き栽培されていたバナナは、1950年代頃から品種の変化が生じた。というのも、それまで取引の対象となっていたグロスミシェル種において、「パナマ病」というバナナが枯れる病気が中南米で発見されたためである。パナマ病にかからない新たなキャベンディッシュ種は、丈夫で輸出向きだったこともあり、1960年代から主に日本市場向けに栽培が始まり、生産量は年々増加してきた。
現在バナナは、フィリピンの主要な果物の輸出品となっており、国全体でミンダナオ島が生産量の80%以上を占めている。輸出先としては、日本(45%)や中国(27%)、韓国(12%)などアジア諸国が大半だ。21世紀に入り、政府は農業インフラを整備し、国外からの投資を誘致することで、外資系企業を含む大手農業法人のプランテーション面積拡大に影響を与えた。
バナナ業界が抱える問題:恒常的な問題
冒頭でも触れた通り、フィリピンのバナナ業界は様々な問題を抱えており、窮地に陥っている。中には、バナナ輸出までのサプライチェーンに関連する問題もあるため、ここではバナナプランテーションの仕組みやステークホルダーについてまとめた後、各問題について分析する。
まずバナナ業界に関わるサプライチェーンは複雑かつ多角的であり、ステークホルダーは多岐にわたる。輸出市場では、現地の農家と契約を締結した協同組合や多国籍企業を通じて輸送され、輸出国で追熟加工および販売という流れが一般的であるが、サプライチェーンを一気通貫して掌握する多国籍企業も存在する。例えば、日本の伊藤忠商事は、ミンダナオ島でバナナを生産する会社を出資して設立し、輸出業者や輸入業者、さらには日本国内で販売する小売業者までの流通経路を確保している。
このサプライチェーンにおいて、端緒となるバナナ農家が十分に受益できていないこと、及び不透明かつ不公平な労働条件制度が大きな問題となっている。農家の75%と推定される小規模農家は、農家に不利な形で企業と契約が結ばれてきた。その最大の原因は、農家と外資系企業の力関係にある。農家は売り先が限られており、大規模な資本とネットワークでサプライチェーンを掌握してきた外資系企業が取引において圧倒的に優位な立場にある。そのため、農家は企業が一方的に設定した価格でバナナを売ることになり、売上総利益のわずか2.4%しか利益を享受できていないというデータがある。実際ある契約農家は、600~800gのバナナ1袋に対して0.03米ドルほどの対価を受け取っているにすぎないという報告もある。
また、バナナのプランテーションで働く労働者の労働条件も劣悪である。労働者は、長時間労働や低賃金、人権侵害などの問題に直面している。プランテーションで行われた現地調査によれば、ある労働者は18時間働いたにもかかわらず、深夜手当や残業代が付帯されず1日7米ドルしか支払われなかったという。休憩時間も十分に設けられず、手洗いで離れた時間は給料から天引きされることもあるため、労働者は我慢しながら働き、尿路感染症などの病気にかかることもある。貧困で苦しむ現地の住民は働き口が限られており、その日暮らしを求めてプランテーションで働いていると考えられるが、十分な対価を受けているとは言い難い。

収穫されたバナナを記録する女性(写真:East Asia & Pacific on the rise / Flickr [CC BY-NC-ND 2.0])
次に見るのは、農家や農園付近で暮らす住民の健康被害や環境汚染に関する問題である。
害虫の被害を防ぐため、バナナ生産時には大量の農薬が空中散布される。使われる農薬や殺虫剤は毒性が高く、住民への健康被害が多数報告されている。「毒の雨」と呼ばれる農薬の散布により、農家や近隣住民の農薬中毒や失明、皮膚障害などの被害に加え、妊娠中は胎児の脳機能に障害をもたらす可能性も示唆されている。バナナ農園の隣に住む、現地の教師に筆者が直接聞いた話では、大規模な空中散布を避けられず、農薬が身体や皮膚にかかる事例や、児童が通学路として農薬がまかれた農園を歩かなければならない事例が存在するという。
また 農薬で汚染された飲料水は安全でないため、住民は他の地域から水を購入する必要がある。水の汚染だけでなく、農薬の過剰な分布は土壌や大気汚染などの環境問題とも関連しており、二次災害として森林破壊や生物多様性の危機につながると分析されている。
以上の問題に加え、ミンダナオ島では武力紛争が続いてきたことから、農園が軍事作戦に利用されてきた。ある調査によれば、バナナの生産量が多い州では、生産量の増加に伴い、武力衝突の発生も増加したことがわかった。反政府勢力が農園を恐喝し、資金を調達していたのではないかと見られている。
バナナ業界が抱える問題:不定期で起こる問題
これまで、人為的かつ恒常的な問題について見てきたが、他にも自然災害やバナナの病気などの、不測の事態が発生する場合もある。
自然災害として、台風や地震、洪水などの被害が挙げられる。フィリピンは毎年20もの台風や暴風雨に見舞われ、収穫物やインフラが破壊されてきた。ミンダナオ島も例外ではなく、毎年のように台風の被害を被っている。例えば2012年に直撃した台風の影響により、バナナ農園の最大25%が失われ、被害額は3億1,800米ドルと試算された。
フィリピンは気候変動の影響を最も受けやすい国の1つと位置づけられており、自然災害による新たな被害も報告されている。2015年には、エルニーニョ現象が長引き、干ばつや熱波の影響を受けバナナを含む多くの作物が打撃を受けた。直近では、台風がより強力となり、自然災害の数も増えているという研究結果も出ている。深刻なのは、地球温暖化により、自然災害の被害がさらに増大する恐れがあることだ。

一面に広がるバナナのプランテーション(写真:Shubert Ciencia / Flickr [CC BY 2.0])
他にも、バナナの品種が病気になることで、損害が発生する事例もある。2015年、ミンダナオ島で前述の「パナマ病」が発見された際には、全農園の25%以上に被害の可能性があるとされた。病気を防ぐ完全な対処法は見つかっておらず、病気に強い品種を育てる方法がとられてきた。しかし、新種に対応する別の病気が発生することもあり、いたちごっこの状態となっている。また、自然災害の影響により、病気が地域内で広がることが懸念され、農家は対策に追われている。現在世界で主流のキャベンディッシュ種は、クローン化され遺伝子の多様性を持たないため、一度病気にかかると急速に蔓延する恐れがある。バナナの病気や害虫は移りやすいため、病原菌となりうる害虫駆除を目的として、より強力で毒性の高い化学物質や殺虫剤が使用されてきた。農家は化学物質を適切に管理しきれていない場合もあり、ますます身を危険に晒すことにつながっている。
加えて、新型コロナウイルスによる国境封鎖やパナマ病による農地面積の縮小の影響を受け、2020年フィリピンのバナナ輸出量は18.4%減少した。また ロシアがウクライナに侵攻した影響により、世界的に燃料費や輸送費などの生産コストが上昇した。そしてロシアの物流停止に伴い、ロシア向けの中南米産バナナは出荷が止まったと報道された。未出荷だったバナナの一部は、中東や東アジアに輸出されるようになった。そのため、東アジア諸国を主な市場とするフィリピンと中南米諸国との間で、価格競争が生じるかもしれない。
以上のように、バナナ業界は突発的な事態に対処することが難しく、農家がより苦しい生活を送ることにつながっている。
他国の事例
これまで見てきたフィリピンのバナナ業界が抱える問題は、世界の他の地域と様々な共通点がある。ここではフィリピンと同様に、バナナの輸出が盛んな中南米のバナナ業界と比較したい。
中南米の多くの国では、バナナ業界が発展した100年以上前から、外資系企業の進出と現地政府との力関係及びその背景にあるアメリカの軍事力が問題視され、現地政府が外資系企業に巨大な影響を受けることから「バナナ共和国」と呼ばれるようになった。当時、バナナ業界をめぐり、アメリカの軍事介入を伴う多くの武力紛争もみられた。
では、現在の状況はどのようになっているのか。例えばエクアドルでは、今も農家に不利な取引制度になっている。取引価格は企業に設定され、生産費用が売上より高くつく事例もある。また プランテーションで働く労働者は、児童労働や長時間労働を経験することは珍しくなく、十分な賃金を得られていないとの調査結果が出ている。悪質な児童労働は蔓延しており、多くの児童労働者は10~11才から1日平均12時間働き、法定賃金の60%に相当する額しか受け取っていない。そして解雇やブラックリスト入りの可能性があるため、労働組合の参加率はわずか1%で、労働者の権利は十分に保護されていないという。健康被害に関しても、ミンダナオ島で見た空中散布による健康問題が明らかになっている。

エクアドルにあるバナナの加工工場(写真:Port of San Diego / Flickr [CC BY 2.0])
他に、バナナの病気にまつわる問題も共通しており、病気を予防するために、中南米の国でも多くの方法がとられている。地続きの国が多く、1度発生すると国を跨いで広がる恐れがあるため、厳重な対策が取られているのだ。例えばエクアドルでは、近隣国ペルーで病原菌の発生を確認後、国境沿いの施設に消毒場所を設け、農園に検査キットを配布するなど、省庁レベルで病気の封じ込めに取り組んだ。またコロンビアでは、病原菌が国内で発見されてから、国内全ての港、空港、国境が検査された 。
解決に向けて
最後に、フィリピンでバナナ業界の問題を解決するための取り組みや現状についてまとめたい。
フィリピンの農業省が出した資料によれば、多種多様な問題を解決するため、様々なアクターが活動を行っている。農業省が、生産性の向上を目的として、肥料、農薬、農機具への助成金制度を整備したり、保険会社が小規模農家への「収穫保険」を計画したりしているのが一例だ。また外交的な手段として、冒頭で挙げたように大使が輸出先の国民や小売団体に直接働きかけることも、消費者の間でバナナ業界における問題を考えるきっかけにつながるだろう。事実、日本では、複数の報道機関が大使の要請について取り上げ(※1)、国会の質疑応答でも触れられた。他にもフィリピンの省庁レベルで、天候不順を想定した開発プログラムや市場確保のために関税見直し、市場拡大に向けた動きが見られる。
国際的にも、フェアトレード(※2)のバナナを普及するためのビジネスフォーラムも開催され、実際に認証を受けたバナナの販売も始まっている。利益が生産者に公平に配分されるためには、価格設定で影響力を持つ商社や小売業者を巻き込むことが必要であるため、多くの立場からなる会議や組織レベルで問題解決にあたることは、有意義だろう。
また、草の根レベルでも農協や非営利団体、非政府組織(NGO)などの尽力により、生産者が受け取る利益が上がった事例もある。1995年にミンダナオ島で立ち上がった「ファームコープ(FARMCOOP)」という農業組合の活動により、農業組合が買い取り価格の高い企業と契約を締結できるようになった。この契約では、バナナ1箱が4.5米ドルで取引されるようになり、プランテーションで働いていた子どもが学校に通えるようになったという声から、改善が見られている地域もあるようだ。
労働条件に関する問題に加えて、農薬の空中散布による健康被害を防ぐために、複数のNGOや環境団体が空中散布を禁止するように求める活動を行ってきた。ミンダナオ島のダバオ市では、2007年に空中散布を禁止する条例が可決されたが、その後も条例の効力をめぐり裁判で争われている。

農薬の空中散布を禁止するように求める人々(写真:Keith Bacongco / Flickr [CC BY 2.0])
そして、バナナの病気を防ぐために、政府機関や大学、研究所、地元の専門家など多くのアクターが取り組んでいる。一例として、フィリピンの科学技術省はパナマ病に感染したキャベンディッシュバナナの枯死率を下げる農薬を開発した。農薬による新たな健康被害が懸念されるが、バナナの病気から抜け出す一歩となるだろう。また現地の専門家のチームによって、パナマ病に感染した農場の一部が回復し、病気の蔓延を食い止めることができた例も存在する。
本記事で触れたバナナ業界にまつわる問題は、貿易価格や労働条件、病気に関することなど、フィリピンのみならず世界の生産国でいえることが多い。そして、問題に関与しているのは、農家や労働者に不公平な制度を課す企業はもちろんのこと、「安さ」を求める高所得国の最終消費者の存在もある。生産者である現地の農家や労働者が現実的で公平な対価を受け取り、現地住民が安全に暮らせるためには、消費者は現状の仕組みを理解し、エシカル(倫理的)な視点を持って購買行動に起こすことが望まれるだろう。
※1 読売新聞「バナナ値上げ 日本に要望 フィリピン 生産・輸送コスト増」、2022年6月7日掲載。
朝日新聞「フィリピン政府がバナナ値上げ要請 物価高や輸送費高騰で」、2022年6月9日掲載。
毎日新聞「フィリピン:大使訴え、バナナ『農家の危機』 フィリピン政府値上げ要請」、2022年6月9日掲載。
読売新聞「バナナの値上げ 小売業界に要望 フィリピン政府」、2022年6月9日掲載。
※2 フェアトレードとは、国際フェアトレード基準に従い、取引において立場の弱い生産者が公平な労働の対価を受け取ることのできる貿易。
ライター:Koki Morita
グラフィック:Mayuko Hanafusa