2019年も終わりが近づき、各メディアが2019年を特徴付けたニュースを振り返る時期となった。GNVでも1年間のニュースをまとめたランキング「潜んだ世界の10大ニュース」を2018年より発表しており、2018年の1位にはエチオピアでの改革が選出された。日本における2019年の国際報道を顧みると、イギリスの欧州連合離脱(Brexit)問題、フランス・ノートルダム大聖堂の火災、香港での大規模デモなどが目立ったのではないだろうか。しかし、世界で起こった重大な出来事のうち、その規模に見合う報道がなされたとは言えないものも多く存在するとGNVは考える。そこで、2018年同様に、重要だが報道の少なかったニュースを10件取り上げ、ランキングとしてまとめた。
ランク付けの基準や方法については2018年と相異ない。詳細な基準については脚注(※1)、報道量の測り方については(※2)を参照いただきたい。それでは1位より見ていこう。
第1位 世界:「気候アパルトヘイト」
気候変動の影響は自然環境だけでなく人間社会にも及んでおり、2019年はとりわけ気候変動を原因とした貧困問題の深刻化が明らかとなった。2019年6月25日、国連の報告書にて言及された「気候アパルトヘイト」がその象徴である。これは、気候変動が進むことによって貧富格差がさらに拡大し、貧困層の生活がこれまで以上に脅かされ、富裕層と貧困層のあいだにある種の分離(アパルトヘイト)が引き起こされるという社会現象を表した語だ。先進国を含む「富裕層」は、気候変動が進んだとしても、その結果引き起こるあらゆる問題になんとか対応できる。しかし一方で、世界のマジョリティを占める貧困層の生活水準は悪化の一途をたどる。皮肉にも、気候変動の原因を作ってきた高所得国の責任は宙に浮いたまま、低所得国にしわ寄せがいってしまうのだ。多くの低所得地域が気候変動の影響を受けやすい場所に位置しているなかで、極端な気候変動は食糧供給の不安定化、定住の困難化を助長し、「気候難民」も多く生み出してしまう。また、先述の報告書によると、気候変動は2030年までに約1億2千万人を貧困に陥れるという。その具体例としても挙げられるのだが、地球温暖化による気温上昇が、多くの労働環境を「致命的」な状態に至らしめているという問題が存在する。労働者が気温の高い場所に長時間いつづけることで、腎臓病を始めとしたあらゆる疾患への罹患率が高まり、すでに多くの死者を出している。このまま気温が上昇すれば、21世紀の終わりには約8千万人もの人々が職を失い、約24億米ドルもの経済的打撃が加わるという。
報道量
朝日新聞:0記事/0文字
毎日新聞:1記事/1,154文字
読売新聞:1記事/1,338文字

干ばつによってひび割れた土地(写真:Seaq68/Pixabay [CC0])
第2位 インド洋・イギリス:チャゴス諸島返還に応じず批判の的に
インド洋の真ん中に浮かぶチャゴス諸島は、1814年より現在に至るまでイギリス領となっている。かつてはイギリス領モーリシャスの管轄であったチャゴス諸島だが、1965年にモーリシャスから切り離され、1968年にモーリシャスは独立、そしてチャゴス諸島はイギリス領インド洋地域を構成した。その際、全島民を島から追い出した上でアメリカ軍基地が建設され、イラクやアフガニスタンを空爆する際の拠点として利用されてきた。しかしモーリシャスはチャゴス諸島の領有権を主張しており、2019年2月、国際司法裁判所(ICJ)はイギリスによるチャゴス諸島の領有は違法であるとし、チャゴスをできる限り早くモーリシャスに返還するよう勧告的意見を出したのである。だが、イギリスがこの勧告に応じなかったために、5月には国際連合の総会において大多数の国から批判を受けるという恥辱的な始末となった。ここでの議決により、イギリスは半年以内、つまり2019年11月22日までにチャゴスを返還するよう要請を受けたにも関わらず、またしても同国は従うことなく、アフリカ連合からさらなる非難を受けた。
報道量
朝日新聞:1記事/627文字
毎日新聞:1記事/1,017文字
読売新聞:0記事/0文字

チャゴス諸島付近に飛ぶアメリカ空軍の爆撃機(写真:Sarah E. Shaw/Wikimedia Commons [CC0])
第3位 東アフリカ地域:大規模洪水
東アフリカ地域は2019年10月以降、大雨と洪水により甚大な被害に見舞われている。この大雨はケニア、ソマリア、スーダン、エチオピア、ウガンダを含む東アフリカ地域での被害が特に大きく、11月末の時点で280人の死者を出している。しかし大雨の影響は280万人に及んでおり、家を追われる人々が数十万人続出、さらに農地は無能化し、5千万人が食糧不足に苛まれている。また、衛生状態の悪化によりコレラやデング熱などの感染症も流行しており、二次災害による混乱も必至だ。このことは東アフリカ地域の気候変動に対する脆弱性をあらわにしており、気候アパルトヘイトの一例であるとも言えよう。実はこの洪水、インド洋ダイポールモード現象(Indian Ocean Dipole:IOD)という現象に起因している。IODはエルニーニョ現象と似ており、この場合のように、アフリカ大陸とも接しているインド洋西側の海水温が上昇すると、周辺地域では雨量が多くなる。しかし反対に東側では海水温が低下し、接するインドネシアやオーストラリアでは乾燥した気候となる。2019年は特にこの現象が強くあらわれたため、東アフリカ地域は平年の3倍の雨量に見舞われ、並行してインドネシアとオーストラリアでは火災の多い年となった。被害が東アフリカ地域だけで収まっていないことからもわかるように、IODは世界を巻き込むような気候現象であると指摘されている。
報道量
朝日新聞:1記事/218文字
毎日新聞:1記事/259文字
読売新聞:1記事/187文字

南スーダンでの洪水(写真:UNMISS/Flickr [CC BY-NC-ND 2.0])
第4位 世界:デング熱の感染拡大、史上最多に
2019年は、デング熱への感染者数が最も多い年となった。デング熱は蚊を媒介して感染するウイルス性の熱帯病であるが、地球温暖化にともない蚊の生息地が拡大していることで、感染者がこれまでに類を見ないほど増えている。デング熱はそもそも1970年代には9カ国でしか流行していなかったが、現在では100カ国以上で見られるようになった。2019年もアジア圏では複数の国で流行しており、数多くの死者が出ている。このまま気温が上昇し、感染地域が拡大しつづければ、2080年には2015年と比べ約20億も感染者が増えるという。ただし、デング熱の感染拡大を食い止める方法も見つかっているようだ。ある実験では、ボルバキアという細菌に感染させた蚊をいくつかの国で放ったところ、デング熱への感染が70%〜96%減少したという。地球温暖化への根本的な対策も急務だが、一時的な解決策として期待を寄せ集めている。
報道量
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毎日新聞:0記事/0文字
読売新聞:0記事/0文字

ヒトスジシマカ(写真:John Tann/Flickr [CC BY 2.0])
第5位 アルジェリア:第二の「アラブの春」中心地に
アルジェリアでは2019年2月、民衆による大規模なデモが勃発した。発端は、長期にわたって大統領の座にいたアブデラジズ・ブテフリカ氏が大統領選へ5期目の出馬を表明したことである。ブテフリカ氏は、1990年代の武力紛争を和平に導いた人物として高い人気を誇り大統領の座に就いた。しかし、2013年に脳梗塞を患ったことでほとんど姿を見せなくなったまま、2014年には一切の選挙活動なしに4期目の就任を果たしたのである。病床に臥した大統領の裏では軍、諜報機関、そして大統領の弟などが政治を操っていた。これら「ル・プヴォワール」(le pouvoir=権力)と呼ばれる事実上の政権のもと、政府の汚職が発覚するなどで国内には不信感が漂っていた。そして6年間も姿を公にすることのなかった大統領が5期目の出馬に乗り出したというので、民衆は蜂起したのである。デモは80万人の規模に発展し、3月にブテフリカ氏は大統領選への出馬を断念、4月には辞任に追い込まれた。さらに、同氏の弟は逮捕され、他にも多くの権力者が取り調べを受けるなどしている。しかし、ブテフリカ政権に代わる暫定政権は前政権において要職を務めた者で構成されていたため、既存権力の一掃と民主的な選挙を求める民衆のデモは続いた。民衆から逮捕者も出るという混乱のなか、2019年12月12日には既存権力者を候補とした大統領選が強行され、約40%の低い投票率で元首相のアブデルマジド・テブン氏が大統領に就任した。しかし、正統性のない政権への不満は止まず、2019年12月19日現在もデモは収まっていない。最初のデモから10ヶ月になる。政治への不満はアルジェリアにとどまらず、中東・北アフリカ地域の傾向としても確認できる。スーダンでは政権交代が実現したが、イラクやレバノンにおいても体制への不満からデモが続いており、「第二のアラブの春」とも呼ばれている。
報道量
朝日新聞:11記事/4,160文字
毎日新聞:10記事/5,722文字
読売新聞:6記事/2,129文字

アルジェリアのデモ(写真:Adjer/Wikimedia Commons [CC BY-SA 4.0])
第6位 ブラジル:激化する先住民への人権侵害
ブラジルでは、アマゾン熱帯雨林に住む先住民への人権侵害が、政府の黙認と称賛のもとで行われている。守られていたはずの先住民の権利や土地は不法に侵されており、彼らは環境活動家とともに脅迫、殺害されているのだ。2019年よりブラジルの大統領に就任している極右のジャイール・ボルソナロ氏は、アマゾン先住民の土地・権利には守られる合理的な理由がないとし、弱体化しつつあった約90万人いる先住民の権利を守る体制への侵害に拍車をかけている。これには産業、殊にブラジルの農業が深く関わっている。アマゾン熱帯雨林はブラジル国土の約半分を占めているものの、木材の伐採、牧草地や鉱山の開発、飼料生産のため熱帯雨林の大部分が切り拓かれており、保護された約400の区域だけがかろうじて残されているような状況だ。しかし、その保護区域でさえもボルソナロ氏の就任によって脅威にさらされており、先住民は拘束されたり殺されたりなどの人権侵害を受けている。同氏は農場経営者に銃の保持を認めるようにするなどとも発言している。アマゾン先住民の歴史を振り返ると、1960年代には軍事政権によりジェノサイドが行われたが、1985年に民主化し、1988年には先住民の土地や権利を守るという内容を含む憲法ができた。しかし、極右であるボルソナロ氏の台頭や、かつてより膨らんでいた畜産における国外需要に応えるのに多くの土地が必要となったことなどが、アマゾン熱帯雨林とそこに住む先住民への顕著な侵害につながっている。また、畜産物への需要はこのように環境破壊や気候変動の原因の一つとされている。
報道量
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毎日新聞:1記事/1,252文字
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「アマゾンを守れ」とボルソナロ氏へメッセージを向けるアメリカのデモ(写真:Peg Hunter/Flickr [CC BY-NC 2.0])
第7位 東南アジア:インドネシアの火災と越境する大気汚染
インドネシアでは2019年、深刻な火災が頻発した。アマゾン熱帯雨林が大きな火災に見舞われたことは記憶に新しいかもしれないが、それを上回る規模の火災が東南アジアを混乱させたのである。インドネシアでは焼畑農業が盛んであるほか、パーム油やパルプを生産するために農地を拓くのは毎年のことである。しかし、2019年は先述したインド洋の気候現象であるIODに起因した雨量の減少・乾燥により、2015年以来の惨事となったのだ。2,000件を超える森林火災がインドネシア全土で記録されており、煙害により約100万人の人々が呼吸器系の疾患を訴えたほか、インドネシア・マレーシア・シンガポールの学校は閉鎖を余儀なくされ、多くの空港でも運営に支障が出た。世界銀行によれば、火災の被害総額はインドネシアのGDPの0.5%に匹敵する52億米ドルであり、経済的な影響も大だ。また、燃えた土地の面積はアマゾンの火災を上回り、二酸化炭素の排出量もそれを凌ぐ2倍の量だったほか、燃えた土地には絶滅危惧種の住む森林も含まれるために生態系への影響も大きく懸念されている。
報道量
朝日新聞:1記事/1,353文字
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ボルネオ島の煙害の上空写真(写真:Joshua Stevens/Wikimedia Commons [CC0])
第8位 北極圏:異常事態の火災
2019年、北極圏では実に多くの火災が起こった。北極圏とはシベリア、アラスカ、カナダ、グリーンランドを含む地域全体を指すが、この地域では、落雷による自然発火から起こる火災が決して珍しくない。しかし、2019年はその発生件数と焼失面積が異常だったのである。2019年は4,700件以上の火災により8万3千㎢の焼失面積と、欧州連合(EU)の面積を超える煙の量、ベルギーの年間排出量を上回る二酸化炭素の放出が見られた。「前例のない異常事態」とも称されるこの現象、原因はまたしても気候変動だ。北極圏は他の地域と比べ約2倍の速さで温暖化が進んでいるが、それは以下に説明するような悪循環に起因しているために、他の森林火災とは異なる特徴を持つ。まず、雪や海氷が減少したことで太陽光の反射が減り、熱が地表に吸収されやすくなる。すると気温の上昇・土地の乾燥により火災の発生しやすい条件が整う。乾燥した北極圏の泥炭は非常に引火しやすく、燃えると泥炭に含まれるメタンガスを燃料としてじっくりと燃え広がる。さらに、北極圏の泥炭は炭素に富んでいるため、このような泥炭火災で大量の二酸化炭素、またその他の有毒ガスが放出される。そして温暖化はさらに落雷を増加させるという、最悪の循環を生み出してしまっているのだ。このような火災は生態系にも大きく影響を及ぼす。しかし、北極圏での火災は規模が大きく、人里を離れているために消防の手が回らず、放置されることが多いのも問題だ。火災が起こった際の対処や取り組みが課題となる。
報道量
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アラスカでの消防活動(写真:The National Guard/Flickr [CC BY 2.0])
第9位 クウェート:オンライン人身売買
2019年10月、クウェートなどの湾岸諸国において違法なオンライン奴隷市場が展開され、家事労働者が売買されていることが英国放送協会(BBC)による調査で明らかになった。人身売買は本来IT各社のガイドラインでは禁止されているが、クウェートを拠点にした取引仲介アプリケーションである「4Sale」をはじめ、人身売買のために利用されているアプリがGoogle社やApple社のストア上に存在していたほか、Facebook社の所有するInstagramにおいてもハッシュタグを利用した取引が行われていたのだ。ここで主に取引されるのはフィリピンやアフリカなど外国出身の女性であり、本人たちには人身売買していることを知らせていない場合もある。この調査において、売人たちははっきりと「私たちは法に従わない」と発言しており、取引相手には家事労働者のパスポートを押収し、身動きを取れないよう制御した上で休暇も一切与えないようアドバイスをしているほか、16歳の少女が売買される現場も目撃されている。このような取引では「カファーラ」(Kafala)という制度が採られており、そこでは労働者の就労ビザ・パスポートが雇用主に管理され、労働者は身動きを取れず泣き寝入りするほかなくなってしまう(この制度を廃止している国もある)。ここで問題となるのはApple社、Google社、Facebook社がこのようなアプリケーションやハッシュタグに対する規制や取り締まりを行っていなかったことだ。これは各社のガイドラインのみならずクウェート国内法、そして国際法を犯していたことになる。BBCによるこの調査をきっかけに暴露されたオンライン市場については取り締まられたようだが、これが明るみに出るまでの迅速な対応は不可能だったのかが問われている。しかしこのオンライン市場は氷山の一角に過ぎず、人身売買や奴隷市場は未だに多く存在しているのが現実だ。これに関連して、出稼ぎ労働の問題はクウェートとフィリピンの間で外交関係の悪化にもつながっている。クウェートに赴いて家事労働者として働くフィリピン人は約26万人に上るが、その家事労働者が暴力を受けるもしくは殺害されるなどの事件がきっかけとなり、二国間のいさかいを引き起こしている。
報道量
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Apple App Storeに表示させた取引アプリ「4Sale」
第10位 カナダ:人権侵害を「ジェノサイド」と認める
カナダ政府は2019年6月、自らがジェノサイドに関与していたことを認めた。このジェノサイドはカナダに住む先住民の女性や女児、また性的少数者(LGBT)に対し数十年にわたって行われおり、約4,000人の先住民が殺害されるもしくは行方不明となっていた。また、統合政策の一環として先住民の子ども約15万人を親元から引き離し、寄宿学校に住まわせるという政策が1980年代まで続いていた。しかし、これまでにカナダ政府による公的な調査や対策はほとんどなされず看過されていたが、膨れ上がった先住民の不満と怒りに応えるべく、2016年よりようやく政府機関による調査が行われたのである。その結果、先住民に対して犯されていた暴力はジェノサイドであったと結論づけられ、政府自らが責任を認める事態となった。この事実をカナダ政府がどのように受け止め、先住民女性・LGBTの権利を守るような体制を築くのかが注目される。
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先住民女性に対する暴力に抗議する活動家たち(写真:Obert Madondo/Flickr [CC BY-NC-SA 2.0])
選ばれた10件は以上だ。数多くの出来事が起こるなかで、必ずしも重大なニュースが抜かりなく報道されているわけではないことが読み取れたのではないだろうか。2019年は特に気候変動に関連したトピックが規模・数のどちらについても目立った。この10件には取り上げなかったものの、重大と考えられるニュースは他にも数多くある。すべての紹介に至ることはできないが、GNVは2020年も報道されていない事柄に目を向け、既存メディアに不足している情報を補填していく。
※1 ランキングの選出にあたっては、出来事・現象の報道量、及ぼす影響の大きさ、2019年での変化の規模など、複数の基準に則り評価を行った。また、2019年以前より続いている出来事や現象であっても、2019年に明らかになった事柄については2019年に起きたニュースと同様にランクインさせている。
具体的な決め方は以下の通りである。世界を6つの地域(①東・南・中央アジア、②東南アジア・太平洋・インド洋、③中東・北アフリカ、④サハラ以南アフリカ、⑤ヨーロッパ、⑥南北アメリカ)に分け、それぞれの地域で起こった出来事・現象を4件ずつ、さらに地域に限定されないグローバルな出来事・現象を6件、計30件、国内における報道量の少なかったニュースをピックアップした。それぞれの出来事・現象に対して、⑴報道量の少なさ、⑵越境性、⑶影響を受ける人数、⑷政治・経済・安全保障などのシステムへの影響度、⑸新鮮度という5つの基準について、それぞれ3点満点で点数をつけた。殊に、注目されていない事柄を重要視するランキングであるため、⑴報道量の少なさに関しては比重を倍にした。その結果、30件中5件のニュースを決定し、残りの5件に関しては、同点であった6件のうち編集会議で協議し5件に絞った。最終的に、同点がついたものの順位は編集会議にて協議した上で決定した。なお、報道量は2019年1月1日から2019年12月17日までを集計したものである。
※2 報道量を調べる際には、朝日新聞・毎日新聞・読売新聞3社のオンラインデータベース(朝日新聞:聞蔵II、毎日新聞:毎索、読売新聞:ヨミダス歴史館)を使用した。
記事を報道量とカウントするかについての基準に関しては、その話題が記事のメインテーマになっているかどうかで判断した。つまり、記事の一部だけで言及している場合は報道量としてカウントしていない。
例えば、「気候アパルトヘイト」のトピックの報道量を調べた時に、「気候アパルトヘイト」という言葉自体が使われた記事は3社では見つからなかった。しかし、気候変動によって起こる様々な問題のしわ寄せが貧困層などの脆弱な人々に及び、貧富の格差が広がっていっているという主旨の記事は、「気候アパルトヘイト」の報道量としてカウントしている。
また、もう一つの例として、「ブラジルの先住民に対しての人権侵害」のトピックの報道量を調べた際には、先住民の人権侵害が行われているといったことがメインテーマではなく、アマゾンの森林火災の話題が中心を占めており、そこに住む先住民に言及しているだけの記事は、報道量としてカウントしなかった。
ライター:Mina Kosaka
データ:Natsumi Motoura
日本の報道からは知り得ない問題や現象がたくさんあることに改めて気づきました。特に、気候変動に関しては、グレタさんについての報道は多かったものの、気候変動が引き起こす、より深い問題についての報道はほとんどなかったことからも、もっと日本の国際報道が表面的なものばかりではなく、背景も含めた深いニュースが増えていくといいなと思いました。
日本の報道機関を通して得られる情報が、いかに乏しく内容が偏っているかを痛感させられる記事でした。また、全てのニュースがマイナスな内容であり、解決すべき世界の諸問題の多さがよくわかりました。これだけ問題が多いにもかかわらず、報道をしない日本のメディアの責任は大きいと感じました。
エンタメとスポーツのニュースを楽しみながら、世界が少しずつ滅びていきそう
気候変動への政策が不十分だとして環境NGOが政府を訴え、勝訴した。
国民を守る義務を怠っているということで、政府に温室効果ガスの削減を命じることに。
https://www.bbc.com/news/world-europe-50864569
日本では、気候変動の問題の重大さすらまだ見えていないレベルで止まっている・・・
今年火災や気候に関する事件が多いですね。気候変動は人類の課題と見なすべきですが、なぜ日本のメディアは取り上げないでしょう。対いずれ日本にも影響を与えるので、対岸の火事と思わずちゃんと問題視されてほしいです。