2024年、軍需企業の収益が過去最高に

執筆者 | 2025年12月7日 | GNVニュース, 世界, 紛争・軍事

ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は2025年12月1日、世界の軍事産業が2024年に過去最高の収益を記録したと発表した。同研究所によれば、軍需企業上位100社の売上高は同年に約5.9%増加し、総額は6,790億米ドルに達した。ウクライナやガザでの紛争に加え、各地域で進む軍備近代化などが、この増加を後押ししたとしている。

アメリカでは、ロッキード・マーティン、RTX、ノースロップ・グラマンなどの大手企業が堅調な3.8%の増加を記録し、総売上高は3,340億米ドルとなった。ランキングの中で意外性があったのはスペースXの躍進で、軍事関連収入が倍増以上の18億米ドルに達し、軍需市場の上位に入った。

ヨーロッパ企業はアメリカを上回る増加率を示した。SIPRIの100社のリストに含まれたヨーロッパ26社は、売上高が13%増えて1,510億米ドルに達した。中でもチェコのチェコスロバキア・グループは、ウクライナ向け砲弾生産の拡大を背景に193%という著しい伸びを示した。制裁や労働力不足に直面するロシアの軍事産業も成長し、ロステックと統一造船公社の収益は23%増の312億米ドルとなり、輸出減を国内需要が補った。イスラエルではガザでの紛争が続く中、軍事産業が拡大し、トップ100に入った3社の売上高は16%増の162億米ドルとなった。

東アジアでは、日本の5社は40%増の133億米ドルとなり、2024年における国別で最も高い成長率を記録した。韓国の4社も31%増の141億米ドルに達した。一方、アジア・オセアニア地域全体では唯一の減少となり、売上高は前年度比1.2%減の1,300億米ドルとなった。この減少は、腐敗事件への関与が報じられた企業を含む中国の8社が10%の売上減を記録したことが主因とみられる。

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砲弾や迫撃砲弾の部品を製造するスクラントン陸軍弾薬工場、アメリカ(写真: President of Ukraine / Wikimedia Commons [CC0 1.0])

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