アラブ首長国連邦、紅海周辺に基地を拡大

執筆者 | 2025年10月8日 | GNVニュース

GNVニュース 2025108

ミドル・イースト・アイによる衛星写真の分析の結果、アラブ首長国連邦(UAE)が紅海やアデン湾周辺でこれまで建設してきた軍事基地や滑走路などの建設時期や施設詳細が明らかになった。2010年代半ば以降、UAEは、紅海周辺のイエメンやソマリアなどを中心に、諸外国に軍事基地などを複数建設・保持してきた。UAEは公式にはこうした基地の存在を公表していないが、その存在はこうした衛星画像の分析を通じて確認されている。紛争などによって政治的に分裂した地域に入り、港湾や基地を整備することで、重要な貿易ルートを抑えたり、地域紛争へ介入したりすることで、経済的にも軍事的にも影響力を強めることが狙いだとされている。例えば、スーダン軍(SAF)と迅速支援部隊(RSF)が争うスーダン紛争においては、RSF側に武器を援助している。

UAEがこうした基地などをもっとも広範に展開しているのが、イエメンである。2014年に始まったイエメン紛争には、UAEはサウジアラビア連合軍の一員として関与している。激化する紛争に紛れて、UAEはイエメン各地の海岸や島々に基地や港を持つようになった。紅海の出口に近いイエメン南部のアデンから東に向けて影響力を拡大したのち、2020年代以降はアラビア半島の南に位置するアデン湾に浮かぶソコトラ諸島の開発に注力してきた。UAEの企業によるソコトラ島の空港の買収やアブド・アル・クリ島やサムハ島での滑走路や軍事基地の建設などが行われてきた。

そして、こうしたソコトラ諸島における基地開発は、イスラエルとの緊密な協力のもとで行われている。これらの島々にはイスラエルのレーダーシステムが導入されており、紅海やアデン海を通る船舶を監視できるようになっている。とりわけ、両国がともに敵対するイランやイエメンの首都などを支配しているアンサール・アッラー(フーシ派)に対抗することが目的の一つとみられる。イエメン以外にも、UAEはソマリランドの港とエチオピアを結ぶ鉄道建設への出資なども公表しており、当該地域での影響力をさらに強めるとみられている。

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UAEの企業に買収されたソコトラ島の空港(写真:Gerry & Bonni / Flickr [CC BY 2.0])

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