GNVニュース 2025年11月30日
2025年11月23日、サウジアラビアの首都リアドで国際連合工業開発機関(UNIDO)の第21回総会として「国際産業サミット」が開催された。UNIDOは包摂的かつ持続可能な産業開発を推進することを使命としている。サミットには、世界各国の政府、民間企業、市民社会の代表らが一堂に会し、気候変動や食料不安、そして公正なサプライチェーンの構築といった地球規模の課題に対し、産業界が果たすべき役割について議論を交わした。
これらの課題解決が急がれる一方、世界経済の低迷や高所得国による低所得国への援助予算削減が進んでいる。国連のアントニオ・グテーレス事務総長は環境負荷が小さく資源効率の高い技術の導入やインフラの高度化が必要であるとし、社会・環境に過度な負担をかけない持続的な産業発展を各国に呼びかけた。またUNIDOのゲルト・ミュラー事務局長は、高所得国に対し、国民総所得(GNI)の0.7%を低所得国の開発援助に充てるという目標を達成できていない現状を厳しく指摘した。議論では「グローバルサウス」と呼ばれる低所得国への投資動員が重視され、高所得国の投資家と最貧国との接続や官民連携の強化も重視された。また、低所得国が世界の金融システムや市場によりアクセスしやすくなるよう、「新たなグローバル・フェア・ディール(公正な国際協定)」の必要性も訴えられた。
11月27日には、「リヤド宣言」が採択された。この宣言は、今後世界中の政府や国際パートナーが資源を動員する際に、より環境にやさしく公平で生活水準の高い世界を構築するための具体的な道筋となる。宣言では産業化を持続可能な開発目標(SDGs)と結びつけ、健康的なコミュニティ形成や温室効果ガス排出削減、清浄な空気を確保しながら国際貿易と産業を進める方針が示されている。また、若者や女性の起業支援、スキル習得と雇用機会の拡大、デジタルトランスフォーメーションの促進を通じて、特に低所得国における公正な機会と生活水準の向上の実現も目指されている。
産業だけでなく社会開発全体の方針をもっと知る→「30年ぶりの社会開発に関するサミット」
低所得国における気候資金不足についてもっと知る→「低所得国を苦しめる気候資金の実態」
食料不安の現状をもっと知る→「世界で深刻な食糧危機と栄養失調が6年連続で増加」
→「国連食料システムの状況評価:世界の飢餓状況の不均衡明らかに」
不公平なサプライチェーンの現状についてもっと知る→「世界に蔓延るアンフェアトレード」

国際産業サミットの様子, サウジアラビア(写真:UNIDO / Flickr [CC BY-ND 4.0])




















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