GNVニュース 2025年11月7日
国連安全保障理事会は2025年10月31日、領土の大部分が長年モロッコに占領され、独立の是非が争点となっているアフリカ北西部の西サハラに関する新たな決議2797を採択した。
安保理が採択したこの決議で特に注目すべき点は、安保理が紛争解決の方向性を事実上モロッコ側へと傾けたことである。今回の決議は西サハラの独立の可能性に言及せず、モロッコが提案した自治案を紛争解決のための交渉の「基盤」とすることを明記した。さらに、「真の自治が最も実現可能な結果となり得る」という文言を含めることで 、安保理が長年支持してきた「西サハラ住民投票による自決権」という原則から離れ、独立を拒み続けてきたモロッコの立場を支持する方向に転換したとみられている。この決議について、15か国の安保理理事国のうち11か国が賛成し、中国、パキスタン、ロシアの3か国が棄権した。反対票はなかった。西サハラの独立を支持する非常任理事国のアルジェリアは、今回の投票に参加しなかった。
西サハラはかつてスペインの植民地であった。1975年にスペインが撤退するとモロッコが進出し、この地域の領有権をめぐってモロッコとポリサリオ戦線の2つの勢力が対立し、紛争が始まった。モロッコは西サハラを自国の領土と見なし、この地域の相当部分を実質的に支配している。一方、ポリサリオ戦線は西サハラ住民の独立を目指し、アルジェリアの支援のもと1976年に「サハラ・アラブ民主共和国(SADR)」の建国を宣言した。
国連はこの2つの勢力間の紛争を仲介するため、1991年に安保理決議690に基づき、西サハラ住民投票のための国連ミッション(MINURSO)を設立した。MINURSOの当初の主要任務は、紛争当事者の合意に基づき、西サハラの住民が独立かモロッコとの統合かのいずれかを選択する住民投票を実施することであった。しかし、設立から30年以上が経過した現在も、当事者間の意見の相違が解消されず、住民投票は未だ実現していない。住民投票が長期間行き詰まったことで、現在MINURSOの主な任務は変化した。任務団はモロッコとポリサリオ戦線間の停戦状況を監視し、軍縮を支援し、最終的な政治的解決に向けた交渉プロセスを促進することに重点を置いて活動しており、今回の決議によって任期が1年間延長された。
今回の決議案の草案を作成し、交渉を主導したアメリカ代表は、モロッコが提案する自治案を「信頼できる現実的な」解決策の唯一の根拠として交渉に臨むよう当事者たちに促した。一方、西サハラの独立を支持するアルジェリア代表は、この決議案がポリサリオ戦線の主張を十分に反映しておらず、国連の脱植民地化原則を十分に取り入れていないと強く指摘した。アルジェリア側は、この決議案が一方の当事者(モロッコ)の領土的野心のみを強調し、サハラ住民の願望を無視する不均衡を生み出したと批判した。この決議をめぐっては、国際法上の自決権の軽視や、政治的利害が合法性より優先されることへの懸念を示す専門家もいる。
西サハラ問題についてもっと知る → 「アフリカ最大の植民地:西サハラ」

国連安保理の議場(写真:Mike Gifford / Flickr [CC BY-NC 2.0])





















0 コメント