GNVニュース 2025年12月5日
2025年11月21日、南アフリカ政府の国家災害対策センターは、ジェンダーに基づく暴力とフェミサイド(GBVF)を「国家的災害」に当たると認定したと発表した。この発表は、翌日から南アフリカのヨハネスブルグで始まるG20首脳会議に合わせて行われた抗議活動の最中に行われた。
この抗議活動は、GBVFの撲滅を目指す非営利組織「変化のための女性たち」(WFC)が主導となって行われた。参加者の多くは哀悼と抵抗を示す黒の衣服を身に着けてストライキを行い、加えて正午は15分間横たわって黙祷を捧げた。これは南アフリカで1日平均して15人の女性が殺害されていることに対する抗議の意味が込められているという。また、SNSのアカウントのプロフィール画面の背景をGBVFへの反対を表す紫色に変更するという取り組みも行われ、多くの著名人も参加するなど活動は大きな広がりを見せた。
南アフリカではGBVFは大きな問題であり続けている。2024年の人間科学研究評議会などからの報告によると、南アフリカの女性のおよそ3人に1人が一生のうちに身体的または性的な暴力を受けているという。加えてGBVFの被害者や家族が被害を通報せず内々に処理してしまうこともあり、法的保護や正確な被害の把握ができず、暴力の悪循環が起こっていると指摘されている。
今回GBVFが「国家的災害」だと宣言されたことにより、南アフリカ政府は今後災害対策法に基づき既存の政府機関に対してGBVFへの対策を強化することを求めることができるようになる。南アフリカ大統領のシリル・ラマポーザ氏は、GBVFを終わらせるために一致した行動の必要性を述べるとともに、男性も女性への暴力に対する社会的姿勢や構造を変えるために行動する必要があることを強調している。
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2019年に南アフリカのケープタウンで行われたフェミサイド反対デモの様子(写真:Discott / Wikimedia Commons [CC BY-SA 4.0])




















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