GNVニュース 2025年12月12日
世界最大級の資産運用会社の一つであるスイス銀行UBSは、ビリオネア(※1)の総資産が過去最高額の15.8兆米ドルを記録したと2025年12月の報告書で明らかにした。調査の締切日時点で、ビリオネアは2,919人に達し、2024年時点の2,682人から8.8%増加している。
また、2025年、新たに91人が相続を通じてビリオネアになり、その相続金は過去最高の2,978億米ドルに上る。さらに今後15年間で少なくとも5.9兆米ドルがビリオネアの子孫に受け継がれると予測されている。相続財産の増加は主にアメリカで発生しており、インド、フランス、ドイツ、スイスがそれに続くという。
こうした状況に対し、ヨーロッパの各国政府は富裕税導入を求める声に直面しているとされる。例えば、スイスでは、2025年11月30日に富裕層への課税強化を問う国民投票が行われた。この提案は6,200万米ドル以上の相続財産に50%の税金を課すというものだったが、約78%の反対票により否決された。また、フランス議会では2025年10月に、1億ユーロを超える資産に対して、2%の税金を課すという提案が否決された。一方、イギリスでは、2025年4月に非居住者課税ステータスが廃止されたという事例もある。これにより、富裕層はイギリス国外で得た所得について、同国での納税を免れられなくなった。
ビリオネアの富が大きく増加している一方で、貧富の差が拡大しているのも事実で、世界人口の上位1%が保有する富は、下位95%が持つ富の合計より大きいことも明らかにされている。また、南半球諸国は世界人口の79%を占めているにもかかわらず、世界の富のわずか31%しか所有していない。さらに、エシカルな貧困ライン(※2)とされる1日あたり7.4米ドル以下で生活する人々の割合は、2024年時点で世界人口の約42%である。
※1 10億(billion)米ドル以上の純資産を持つ「億万長者」を指す。
※2 GNVでは世界銀行が定める極度の貧困ライン(1日2.15米ドル)ではなく、エシカル(倫理的)な貧困ライン(1日7.4米ドル)を採用している。詳しくはGNVの記事「世界の貧困状況をどう読み解くのか?」参照。
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夜間港に停泊する豪華客船(写真: frantisekhojdysz / Shutterstock.com)




















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