GNVニュース 2025年8月22日
2025年8月19日、タイ政府は10,000人のスリランカ人労働者の受け入れを承認した。タイでは急速な人口減少や高齢化に伴う労働力不足が近年深刻化しており、8月19日以前からカンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムから少なくとも300万人の登録外国人労働者を、主に低コストの労働力が求められる市場で雇用していた。
しかし、今回の受け入れ決定にはこれまでと異なる背景がある。2025年2月にカンボジアとの国境紛争が深刻化し、国境封鎖等が懸念される中、推定40万人のカンボジア人労働者が帰国する事態となったのだ。その結果、建設部門と製造業を中心に人手不足が報告され、スリランカからの労働者受け入れに至った。また、追加でバングラデシュ、ネパール、フィリピン、インドネシアからの労働者受け入れも発表された。 タイ政府労働省は約42,000人の外国人労働者の受け入れを承認し2カ月以内に労働力不足を補えるとしている。
タイは2025年7月に過去数十年で最も深刻なカンボジアとの国境紛争に至り、両国で少なくとも43人が死亡し、30万人以上が避難した。国境付近の緊張を受けて、タイ政府はタイ・カンボジア間の国境警備の強化や恒久的なバリア設置を検討している。安全保障と労働力確保による経済の安定を両立させる、労働者受け入れ体制の構築が模索されている。
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タイで建設業に従事するカンボジアからの労働者(写真:ILO Asia-Pacific / Flickr[CC BY-NC-ND 2.0])




















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