GNVニュース 2025年10月26日
南スーダンの労働省とジェンダー・子ども・社会福祉省とセーブ・ザ・チルドレンが2025年10月24日に発表した報告書によると、南スーダンで行われた児童労働に関する調査対象(※1)となった5歳から17歳の子どものうち、64%の子どもが非常に過酷な種類の労働に従事していることが判明した。一部の地域ではその割合が90%にまで達するところもある。危険な労働に従事する子どもたちの多くは、最初は軽作業に従事したのち、徐々に強制労働や性労働、違法行為への関与を強いられるようになる。家族から引き離され、病気や死のリスクに晒されながら、働き続けなければいけない状況に追い込まれているという。
児童労働が蔓延する背景には、多くの南スーダンの人々が極限状態におかれていることがあげられる。約1,200万人の人口のうち、770万人もの人々が深刻な食糧不足に苦しんでおり、230万人の子どもが栄養失調の状態にある。生き延びるために子どもたちが労働を余儀なくされているという側面がある。
人々がこうした状況に追い込まれている理由としては、政情不安や武力紛争、さらに自然災害の存在がある。例えば、2013年から続くサルバ・キール大統領とリエック・マチャル副大統領の政治的対立が2025年3月に再燃し、武力衝突が起こっている。それ以外にも民族を軸とした対立やそれを利用した資源・権力争いを原因とした紛争が各地で繰り返されている。こうした紛争が原因で避難を余儀なくされている人々は、2025年1月から9月までの間で新たに30万人を超えている。また、毎年8月から10月に雨季を迎える南スーダンは2019年ごろから深刻な洪水被害に直面しており、2025年は約140万人が被害を受けていると推定されている。洪水は住居や農地、学校、医療施設など人々の生活基盤を壊し、様々な感染症を蔓延させ、食糧危機をさらに深刻なものにしている。
※1 全10州のうち、7州から418世帯が調査に参加した。
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南スーダンで行われている洪水測定の様子(写真:UNMISS / Flickr [CC BY-NC-ND 2.0])




















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