GNVニュース 2025年9月7日
2025年8月29日、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は2026年度の予算を2025年の102億米ドルから約85億米ドルへと約20%削減する計画を発表した。この背景には、欧米の主要援助国の軍事費増加と対外援助の大幅な削減を加速させている現状がある。これに伴い、UNHCRの約4,000人の雇用削減や、コンゴ民主共和国やモザンビークから逃れてきた難民を受け入れてきた南部アフリカの事務所閉鎖が予定されるほか、医療や教育、食料支援などあらゆる分野で支援の縮小が余儀なくされている。
2025年7月の同機関による報告書では、強制的に避難を強いられる人々や無国籍者の数が2026年には1億3,600万人に達し、過去最多となることが予想されている。その一方で、国連人道調整事務所(OCHA)によれば、2025年8月末時点で、2025年の世界での人道支援に必要な資金のうち実際に集まった資金は14%だった。これは2024年の同時期と比較して40%程度と大幅な減少を示しており、今後1,160万人が支援を受けることができなくなる可能性がある。実際、2025年に計画されている合計14億米ドル相当のプログラムが削減または保留されている現状であることも分析されており、数百万人が生活環境の悪化や搾取、虐待のリスクの高まりに直面し、さらなる避難を強いられる可能性が懸念されている。こうした資金難はUNHCRに限らず、世界食糧計画(WFP)、国際移住機関(IOM)など多くの国連機関が直面し、事務所の閉鎖、援助の停止を相次いで迫られている。
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スイス・ジュネーヴのUNHCR(写真:Michael Renner / Flickr [CC BY-NC-SA 2.0] )





















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