GNVニュース 2025年9月12日
2024年、世界で約2億5,500万カーボンクレジットが発行され、1億6,200万のカーボンクレジットが購入された。カーボンクレジット(クレジット)とは、温暖化対策の一環として導入されている排出権取引の仕組みで、植林やクリーンエネルギーの利用などによって、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を一定の量を削減・吸収したことを証明するものある。排出量削減目標の達成が困難な企業や国は、このクレジットを購入することで、自社・自国の排出量を相殺することができる。カーボンオフセットとは企業が自社の排出量を相殺するためにクレジットを購入するというもので、温室効果ガス削減プロジェクトなどに資金を提供することで自社の事業による炭素排出量を低減したと主張することができる。
しかし、現在のクレジットのシステムは多くの問題を抱えているという指摘もある。2025年7月に発表されたペンシルベニア大学の研究では、クレジット市場で、数値が過大評価されていることを問題視し、クレジットを客観的に評価する立場にある第三者監査やプロジェクト登録民間企業がプロジェクトを実施する企業から選ばれ、報酬を受け取るという仕組みは、利益相反が起こると懸念する。より厳しい規制がなければ企業が実際に排出量を減らすことなく、クレジットを悪用し表面的な環境対策ができるという非難もある。また2025年9月、ユトレヒト大学の研究では、現在のシステムの評価基準には偏りがあるとし、各国の歴史的な排出量、経済力、また可能な行動能力に基づいた計算方法で公平に負担分を設定することの重要性を示した。
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火力発電所で運ばれる石炭、スロベニア(写真:Petar Milošević / Wikimedia Commons [CC BY-SA 4.0] )




















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