2025年10月初旬、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、中央サヘル地域の人道状況がさらに悪化していると警告した。UNHCRによると、現在ブルキナファソ、マリ、ニジェールで約400万人が避難を強いられている。この数は5年前と比べて3分の2の増加となっている。避難民のうち80%が女性と子どもを占めている。家を追われた人々の75%は自国内にとどまっているが、近隣諸国に避難を求める人々の数も増加している。
これらの人々の多くは、暴力や不安定な情勢から逃れているが、貧困や気候変動の影響によって移動を余儀なくされている人々もいる。たとえ国境を越えることができたとしても、人道支援にアクセスするのは困難だ。UNHCRは、この緊急事態への資金が深刻に不足していることを強調しており、2025年に必要とされる人道支援の資金のうち、現時点で提供されたのはわずか32%にとどまっていると述べている。
近年の一連のクーデターを経て、ブルキナファソ、マリ、ニジェールは軍事政権の下に置かれるようになった。これらの国々は2023年にサヘル諸国同盟(AES)を結成し、深刻な治安問題に対処するため協力体制を築こうとした。これは、西側諸国の軍事支援がありながら民政下で状況が悪化していたことへの対応だとみられた。
しかし、これらの軍事政権に対しては一部の支援国から強い反発があり、その結果、人道支援の縮小や停止が行われた。さらに、AES諸国自身も外部からの影響を懸念し、主権を守る必要があるとして、一部の人道支援NGOの活動を制限または停止させた。
サヘル地域の人道状況は、依然として深刻なままだ。
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人道支援が届くブルキナファソ(写真:EU Civil Protection and Humanitarian Aid / Flickr [CC BY 2.0] )




















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