急増する世界の軍事費、過去最高の2.7兆米ドルを記録

執筆者 | 2025年09月14日 | GNVニュース, 紛争・軍事

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国連の報告書によると、10年連続で世界の軍事費は増加しており、2024年にはその総額が2.7兆米ドルに達したことが明らかになった。これは前年比9%以上の増加であり、冷戦終結以降で最大の増加率を記録している。また、持続可能な開発目標(SGDs)を達成するにあたり、現在年間約4兆米ドルの資金が不足しているとされるが、世界の軍事費総額は、この資金ギャップの約6割に相当する。これに対し、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、「世界は平和構築よりも戦争遂行にはるかに多くのお金を費やしている」と述べ、世界の軍事費の急増に対して懸念を示した。

2.7兆米ドルはアフリカ全体のGDPと同等であり、コロナワクチンへの世界全体の支出総額の約17倍、開発援助委員会(DAC)加盟国が2024年に提供した政府開発援助額の約13倍、そして2024年の国連予算の役750倍に相当するという。

軍事費の増加は欧州と中東において顕著である。2022年から2024年にかけて、GDPにおける軍事費の割合が欧州では2.3%から2.9%に、中東では3.6%から4.0%増加したとされる。軍事費を国別に見ると、アメリカが第1位で総額の37%、続く中国が12%で第2位、そしてロシアが5.5%で第3位につけている。第4位はドイツで3.3%、第5位がインドで3.2%となっており、これら5か国だけで、世界の軍事費の6割近くを占めている。

また、軍事費増加の要因として、大国間の軍事競争の激化や、組織犯罪とテロリズムの蔓延が挙げられている。これらの脅威が高まっているとの主張が、各国政府に軍事政策を重視させ、それが軍需産業の利益につながっているとの指摘もある。

 

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