GNVニュース 2025年10月1日
2025年8月6日、スーダン国軍と即応支援部隊(RSF)の間で紛争が続くスーダンで、コロンビア国籍の傭兵を輸送中のアラブ首長国連邦(UAE)の航空機を破壊したとスーダン国営テレビが報じた。これ以前からスーダンではUAEがRSFを支援しており、その一環でコロンビアの退役軍人などを傭兵として雇って訓練の教官や戦線の兵士として活動させていると報じられている。なおUAEはこの報道を否定している。
民間軍事業界において、コロンビアでかつて反政府勢力や民兵組織に所属していた元戦闘員、そしてコロンビア軍の退役兵は実戦経験豊富な傭兵として重宝されている。特にコロンビア軍の退役兵は長年の反政府武装組織や麻薬組織との対立により経験が蓄積されており、またアメリカによる訓練を受けている者も多いため、傭兵として優秀だとされているからだ。そして彼らの賃金はアメリカ軍の退役兵よりもずっと少なく済む。これらの要因から、コロンビア国籍の傭兵はUAEなどの、紛争に直接の関与を避けつつ影響を与えたいと考える政府にとって都合のいい存在になっていると考えられている。
実際にコロンビア出身の傭兵はスーダンだけでなくイエメンやウクライナでの紛争、さらにはハイチでの大統領の暗殺に関与してきたと指摘されている。彼らの中には退役後の不十分な年金や仕事の少なさから傭兵となるものもいるが、石油施設の警備など実際とは異なる情報で集められ、紛争地の戦場や訓練所に送られるものも多い。そして帰国しようにも途中でパスポートなどを没収されたり、違約金や帰国のための渡航費を請求されたりして現地に滞在せざるを得ない状況に置かれるケースもあると指摘されている。
これらの外国人傭兵の起用は、紛争を複雑化し、解決をより困難なものにしている。コロンビア政府はこの状況を問題視しており、自国の退役兵が外国の紛争に参加することを禁止する法案の成立を進めているが、退役後の社会復帰支援や雇用の不足などの根本的な解決には至っておらず、この動きに歯止めがかかるかは不透明な状況にある。
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アメリカの軍事学校に所属するコロンビア海兵隊員の訓練の様子(U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist R.J. Stratchko/Released / Wikimedia Commons [public domain])




















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