女性に対する暴力対策事業の衰え

執筆者 | 2025年11月2日 | GNVニュース, ジェンダー・性, 世界, 法・人権

GNVニュース 2025年11月2日

国連女性機構(UN Women)は2025年10月に新たに発表した報告書、調査対象となった世界各地の市民社会団体と女性の権利団体の約3分の1以上が資金削減により、女性と女児に対する暴力を終わらせるための事業を一時停止または停止していることを明らかにした。また、今回の調査により、調査対象の団体の85%が女性と少女に対する法律や保護において深刻な後退を予測していることが分かっている。他にも、調査を受けた団体のうち、わずか5%が2年以上にわたって事業を維持できると見込んでいることが報告されている。

女性と少女に対する暴力は、依然として世界で最も広まっている人権侵害の1つであり、推定7億3,600人の女性、約3人に1人が身体的または性的暴力を経験している。こうした状況の中、資金削減は安全な避難場所、法的支援、生存者支援といったサービスの提供を停止させ、暴力やフェミサイド(※)の増加というリスクをさらに高める。また、同報告書は、資金削減による広範囲にわたる間接的な影響にも警鐘を鳴らしている。例えば、このような支援を行う組織においる資金の低下は、スタッフの燃え尽き症候群の増加、運営のためのリソース不足による職場環境の悪化、人権を擁護する声の弱まりなどを招くという。

国連女性機構は、これらの調査結果を受け、国家および国際レベルにおける資金調達方法の改善や、市民社会組織や女性の人権団体に対する長期的な資金援助を提言。また、フェミニスト運動の回復に向けた組織や国を超えた協力も促している

※ フェミサイドとは、性別に関連する動機による意図的な殺害のこと。

女性に対する性暴力についてもっと知る→「世界で18歳未満の少女の8人に1人が性的暴行を経験

フェミサイドについてもっと知る→「世界:フェミサイドの実態

「団結すれば強くなる」、女性への暴力に反対する壁画、スペイン(写真: Daniel Capilla / Wikimedia Commons [CC BY-SA 4.0] )

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