GNVニュース 2025年9月21日
スリランカは、2025年現在、公共支出の縮小や間接税の増税といった緊縮財政を進めている。これらの政策は、2022年に多額の債務や外貨準備不足に起因する財政危機に陥り、それに対して2023年3月から国際通貨基金(IMF)から金融支援を受けるために課された条件である。2025年9月9日に世界銀行がスリランカの財政について発表した報告書は、スリランカの緊縮財政政策を、1980年から2024年に様々な国で行われた同様の政策と比べて、もっとも迅速に行なわれていることを明らかにした。しかしながら、こうした政策は、投資や経済成長を妨げ、人々の生活を苦しいものとしている。
IMFの支援を受け入れるために、スリランカ政府は通貨切り下げや利上げ、増税、補助金・公共支出の削減などを行っている。こうした政策の結果、多くの人々の実質賃金は減少し、生活が圧迫されている。例えば、公共支出の削減は、もともと脆弱なインフラに打撃を与え、経済をさらに停滞させている。また、2022年の財政危機以降、公共部門でも民間企業でも賃金水準の低下し、増税やエネルギー価格の増加などと合わせて、貧困に陥る人が増加しているとみられている。
こうした状況からの改善を求めて、2024年の大統領選挙では、IMFの融資条件の再交渉に取り組むことなどを公約に掲げたアヌラ・クマラ・ディサナヤカ氏が当選している。しかし、スリランカ政府がこれ以前にIMFと結んだ合意のもとで、現政権も厳しい制約のもとでの行動を余儀なくされている。債務の支払いに追われ、政策の自主性を奪われるという状況は、「グローバルサウス」と呼ばれる低中所得国で多く見られるものである。国連貿易開発会議(UNCTAD)の報告書によると、世界の人口のうち約半分が保健や教育よりも利子の支払いにお金を使っている国に住んでいるという。債権者優位の債務の在り方を変えるように求める声がグローバルサウスの国々であがっている。
世界銀行とIMFについてもっと知る→「世界銀行と国際通貨基金:貧困の助長?」
高所得国による低中所得国の搾取についてもっと知る→「貧困脱出を妨げる大きな隠れ要因:不法資本流出」

アジア開発銀行の融資で拡張されたスリランカの港(写真:Asian Development Bank / Flickr [CC BY-NC-ND 2.0])




















0 コメント