イエメン:分離勢力が南部全域を掌握

執筆者 | 2025年12月10日 | GNVニュース, 中東・北アフリカ, 紛争・軍事

GNVニュース 2025年12月10日

2025年12月8日、イエメン南部で活動する南部暫定評議会(STC)は、港湾都市アデンを含むイエメン南部の全域を掌握したと発表した。この発表の数日前からSTCは攻撃作戦を行っており、イエメン南部にある都市や石油施設を掌握するなど緊張が高まっていた。

イエメンでは長期にわたる武力紛争の中で諸外国の介入・支援を受けた複数の武装組織が割拠する状態が続いている。2015年にアンサール・アッラー(別名フーシ派勢力)が首都サナアを含む北部を掌握した。この動きに対してサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)は軍事介入を行い、この2国の支援を受けた勢力がアデンを拠点とする南部を支配することになった。なお、アンサール・アッラーはイランから支援を受けていると指摘されている。

これ以降、アンサール・アッラーが北部を、そしてサウジアラビアが支持する勢力(2022年以降、大統領指導評議会(PLC)となる)が南部を、それぞれ支配する形で膠着状態となっていた。その一方で、UAEからの支援を受けるSTCはサウジアラビア派の勢力とともにPLCに参加したが、STCは南部イエメンの独立を目指していたことから、PLC内部でサウジアラビア派の勢力と対立してきた。

今回のSTCのイエメン南部一帯の掌握により、1990年以降初めてかつての南イエメンの領土だった領域がひとつの勢力の支配下に置かれることになった。また、STCの攻勢を受けてサウジアラビア側の勢力はアデンから撤退しており、STCの影響力はより強いものになっていると考えられている。

なお、今回のSTCの攻勢の背景として、STCに対してUAEの承認があったことが指摘されている。イエメンと同じくUAEとサウジアラビアが介入しているスーダンの紛争において、2025年11月にサウジアラビアがアメリカに介入を要請したことがUAEの不満を招き、STCの攻勢につながったのではないかとの推察もなされている。

イエメン紛争についてもっと知る→「イエメン紛争:新たな段階

UAEの対外政策についてもっと知る→「UAE:小さな地域大国

サウジアラビアの対外政策についてもっと知る→「サウジアラビア、世界の表舞台に隠される残酷さ

STCが掌握したイエメンの港湾都市アデン(写真:T3n60 / Wikimedia Commons [CC BY-SA 3.0])

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