GNVニュース 2025年9月6日
世界保健機関(WHO)は2025年9月2日、世界で10億人以上が不安障害やうつ病といったメンタルヘルス疾患を抱えていることを報告した。 メンタルヘルス疾患はあらゆる国やコミュニティ、年齢層、性別、所得層に広がっている。WHOで使われている概念である障害年数(YLDs)は健康を損なった状態で過ごす年数のことを指し、世界では2021年においてこのYLDsの6分の1をメンタルヘルス疾患が占めているという。15歳から26歳の若者にとってYLDsの最も長い要因はうつ病となっている。また、世界では2021年において約100人に1人が自殺で命を落としている。
メンタルヘルス疾患は個人の問題だけでなく、社会にも大きな影響をもたらす。同報告書によるとメンタルヘルス疾患は毎年12億日分の生産的労働日数の損失とこれに伴う約1兆米ドルの経済損失を招いている。ただし、疾病コストの研究は本人や生産性に焦点を当てる傾向が高く、家族や非公式の介護者の負担、本人の社会的機会の損失等は考慮されていないため、これ以上の損失があることも懸念されている。
これほど社会的に深刻な問題となっているメンタルヘルス疾患であるが、世界のうつ病患者の内最小限の適切な治療を受けている割合はわずか9%であるなど、支援は大きく不足している。WHOの報告によると、現在約82%の国がメンタルヘルスに関する公的医療保険制度を有しているものの、世界保健基準に準じた法規整備が進んだ国は45%に留まり、2017年以降各国政府は医療予算の内平均でわずか2%しかメンタルヘルスに投じていない。さらに、そのメンタルヘルス予算の約半分が精神病院運営に費やされ、コミュニティに根差したケアモデルへの移行が進んでいる国は全体の11%であり、プライマリケアでの心理社会的介入は10%に留まる。低・中所得国は特にこれらの状況が深刻である傾向にある。
メンタルヘルスとさまざまな社会要因の関係についてもっと知る→「メンタルヘルス:世界における実態とは?」

メンタルヘルスの問題を抱える人々に寄り添った社会の実現が求められる(写真:Tiger Lily / Pexels [Pexels License])




















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