GNVニュース 2025年6月6日
2025年6月3日、サモア政府は2030年までに自国の排他的経済水域(EEZ)全域を持続可能に管理するための海洋空間計画(Marine Spatial Plan, MSP)を確立する法律を制定したと発表した(法施行日は2025年5月1日)。サモアは南太平洋に位置しEEZ含む国全体面積の98%を海洋が占める島嶼国家である。深い海溝や海底山、サンゴ礁など、多様な生態系を育む環境が広がり、絶滅危惧種のタイマイ(ウミガメ)はじめ貴重な生物も数多く生息する。漁業資源や観光資源、気候調整機能など、海洋生態系がもたらす恵みは国民生活と経済の基盤となっている。
サモアでは2009年に壊滅的な津波が発生したことを機に、サンゴ礁回復のため、村主導で地域漁業保護区が、2012年には政府主導で沿岸海洋保護区(MPA)が設立された。しかし、近年は乱獲、汚染、気候変動による海洋温暖化・酸性化、海面上昇などにより、沿岸洪水の増加や食料安全保障・生計手段への脅威深刻化している。これを受け、2020年に「サモア海洋戦略(SOS)」が導入され、MSPの策定が計画された。2022年の生物多様性条約(CBD)第15回締約国会議(COP15)で「30×30」目標(2030年までに世界の陸域・海域の30%を保全)が再確認され、2025年6月9日に控える国連海洋会議を前に今回の法制化に至った。
今回の法制化の最大の特徴は、サモアのEEZ全域を対象に持続可能な管理を義務付け、そのうち少なくとも30%を厳格なMPAとして新たに9カ所設定することを法的に定めた点にある。MSP自体は他の太平洋島嶼国でも導入・法制化されているが、この規模での法制化はサモアが初となる。今回追加されたMPAでは漁業や鉱業、掘削などの活動が禁止され、特にザトウクジラの回遊ルートや生物多様性の高い海底山、サンゴ礁などが重点的に保護される。また、保護エリアの策定・運用方法には、科学的根拠と地域住民の意見、伝統的な海洋管理法が反映されている。
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サモアのサンゴ礁
(写真:Rickard Törnblad/Wikimedia Commons [CC-BY-SA-4.0])





















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