ネパールのデジタルリテラシー向上のためのアプリ

執筆者 | 2025年12月31日 | GNVニュース, アジア, 共生・移動, 法・人権

GNVニュース 2025年12月31日

2025年2月、ネパールで「カムコ(Kamko)」というデジタルツール利用を支援するためのアプリがリリースされた。このアプリは、ネパールのジャーナリストであるロシャン・シュレスタ氏によって公開されたもので、人々がインターネット上の情報を確認するのを手助けするものだ。例えば、他国に行くのに必要なビザの申請をする際、インターネット上ある政府や大使館による公式のウェブサイトから情報や申請先を得ることができる。ただ、その存在を知らなかったり、知らないが故に偽サイトで詐欺に遭ってしまう人々が存在する。そうした人々に公式サイトへのリンクを案内するのがカムコの役割である。このアプリ自体は個人情報を収集しないため、安全性が高いことも特徴である。

このアプリが生み出された背景として、インターネット上の誤情報や偽情報によって、多くのネパールの人々が時間や金銭を失ってきたという状況がある。ネパールでは国外への出稼ぎが家庭の重要な収入源の1つである一方で、偽のビザや就労オファーに騙されたり、より酷い場合には人身売買の被害に遭うことがある。実際に、2025年5月には、ネパールの首都カトマンズのトリブバン国際空港の政府機関内の幹部などが組織的に行っていたビザに関連した不法行為が発覚した。観光ビザを使って国外へ渡航しようとする人々に対して、旅行代理店を通じて違法に金銭を徴収していたのである。

こうした問題が蔓延するなかで、カムコは利用者が詐欺や事件に巻き込まれないようなリテラシーを身に着けるのに重要な役割を果たしている。シンプルながら高い有用性からじわじわと広がっており、人々の間で信頼を勝ち取っているという。

ネパールの人身売買問題についてもっと知る→「ネパールに巣喰う人身売買の闇

移民とデジタルツールの関係についてもっと知る→「労働移民におけるデジタルツールの役割:北アフリカの事例

韓国での就労ビザを求めて列を作るネパールの人々(写真:International Labour Organization ILO / Flickr [CC BY-NC-ND 2.0])

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