GNVニュース 2026年1月4日
2025年11月18日に米国海洋大気庁(NOAA)が報告した「2025年版北極レポートカード」によれば、北極域において2024年10月〜25年9月は観測史上最も温暖であり、1991〜2020年平均より1.6°C高かった。この新記録は2016年から10年間更新され続けており、加えて北極域の上昇温度は12年連続で地球の平均上昇温度を上回っており、温暖化速度は2倍以上となっている。特に秋と冬の温度上昇が顕著であった。また、温暖化は蒸発・降水・雪氷融解を増加させるため、2024年10月〜25年9月は北極域の観測史上最多の降水量を記録した。
北極域の気温上昇に伴い、2025年、グリーンランド氷床は約1,290億トンの氷を失った。アラスカの氷河は1950年代以降約38m低くなっており、2025年3月の海氷最大面積は衛星観測47年で最小となった。氷河の融解により、近年氷河湖決壊洪水も発生しており、直下の住宅街にも被害を及ぼしている。さらに永久凍土の融解は鉄の金属を河川へ流出させ、アラスカ北部ブルックス山脈全域ではオレンジ色の「錆びた川」が拡大している。また、銅やアルミニウムなども流出しており、魚類への毒性や生物濃縮が懸念されている。
加えて、北極海、北極点付近で暖かく塩分濃度の高い大西洋の海水の進入(アトランティフィケーション)が観測され、海氷融解や植物プランクトンの発生時期のずれなどを引き起こしているとされている。北極域の温暖化は他にも、陸・海共に南方種の北上、山火事面積の増大、台風の北上などを進行させているとされている。
北極域の温暖化要因には様々なフィードバックループが挙げられる。2025年12月29日にはペンシルベニア州立大学の研究によって、海氷の亀裂から上昇気流が生じ、これが水蒸気と近隣油田からの排出ガスを上空に持ち上げることで雲の形成を増加させ、地表からの熱を閉じ込めることで温暖化を招き、さらにまた氷河を融解させる、というフィードバックループが形成されていることが明らかになった。
北極域では、単なる気候変動だけでなく、生物多様性の損失や汚染という3重の環境危機を抱えている。また、北極の温暖化は「地球の冷蔵庫」として世界中の海面上昇・気象のパターン・商業漁業など様々なものに影響を及ぼすとされている。
北極圏の火災についてもっと知る→「『前例のない異常事態』:北極圏の火災」
北極圏の温暖化に影響を受ける先住民についてもっと知る→「北極圏の先住民族サーミ:脅かされるその生活」

縮小・薄化する北極の海氷(写真:Valeria Drozdova / Pexels [Pexels License])




















0 コメント