世界不平等報告書が明らかにした世界の格差拡大

執筆者 | 2026年01月9日 | GNVニュース, 世界, 経済・貧困

GNVニュース 202619 

20251210日に世界不平等研究所が発表した、世界不平等報告書2026によると、富の集中がますます進んでいることが明らかになった。例えば、世界人口でもっとも裕福な上位10%の人々が全体の53%の所得(※1)と75%の富(※2)を持つ一方で、下位50%の人々はわずか8%の所得と2%の富を分け合っているにすぎない。そして、裕福な人々は貧しい人々よりもハイペースでその富を増やしており、富の不平等は拡大している。ビリオネアのような富裕層は、1995年から2025年の間で富を毎年約8%のペースで増加させている一方で、下位50%の増加率はその半分である。最も貧困なグループの人々になると、その増加率はわずか年2%程度になる。

報告書は、気候変動やジェンダー、地域による不平等についても指摘している。気候変動については、世界人口の最も貧しい50%の人々が炭素排出量のわずか3%しか占めていない一方で、最も裕福な10%の人々が排出量の77%を占めているという。そして、炭素排出量が少ないのにもかかわらず、低所得国の人々が気候変動による被害を最も受けやすくなっている。ジェンダーに関する不平等については、男女間の所得不平等が依然として続いていることが指摘されている。女性が担わされてきた家事労働の時間を含めると、労働時間は男性より女性のほうが長いのにも関わらず、収入は家事労働を除外した場合で男性の61%、家事労働を含めた場合で男性の32%に過ぎない。地域間の格差の問題も深刻である。例えば、最も裕福な地域である北米やオセアニアの人々の平均的な収入は、物価の差を考慮しても、最も貧しい地域であるサハラ以南アフリカの人々の収入の約13倍である。各地域内でもさらに不平等があるため、サハラ以南アフリカの人々は地域の低い所得水準と地域内の不平等の両方に直面している。

こうした不平等の拡大は、格差の拡大や民主主義の脆弱化、気候アパルトヘイト(※3)などをもたらしている。ただし、報告書は、公平な課税制度の導入や世界的な金融システムの改革、教育と保健への公共投資、適切な再分配、などを選び取ることによって、不平等は縮小できると訴えている。

※1 収入から年金と失業保険料のみを差し引いたもの。

※2 貯蓄や投資、不動産などの資産の合計から債務を差し引いたもの。

※3 気候アパルトヘイトとは、富裕層と貧困層で気候変動の起こす問題に対して対処能力が異なるために、ある種の分離が発生し、またその結果としてさらに格差が広がること。

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