2022年も、世界6大陸で様々な出来事や変化が発生した。そのような中にあっても、日本のメディアが注目する出来事は限られていた。国際報道において最大の注目を浴びたのは、2月24日から始まった、ロシアのウクライナ侵攻である。この紛争についての報道量は極めて顕著で、2022年前半の日本の大手新聞3社による、世界全体の武力紛争に関する報道の94.7%も占めていた。一方で、同期間により多くの犠牲者が出たミャンマー紛争の報道量は、わずか0.2%であった。ミャンマー紛争のように、報道されない武力紛争は世界各地で絶えず発生している。
また2022年は、政治面・文化面・スポーツ面でも集中的に報道された出来事があった。政治面では、アメリカの中間選挙や韓国の大統領選挙が大々的に取り上げられた。文化面では、1人の人間であるイギリスのエリザベス女王の逝去に関連するニュースが目立った。スポーツ面では、2月の北京オリンピック、11月からサッカーワールドカップも話題に上がった。
しかし、その裏では、100万人単位、1,000万人単位で人々の人生に大きな影響を与えたにもかかわらず、日本のメディアが注目しなかった、あるいは一度も報道しなかった出来事も多数発生している。そこで、2018年、2019年、2020年、2021年と同様、GNVでは2022年に発生した重大な出来事のうち、規模や影響に見合った報道がされていないニュースを10件選定し、ランキング形式にまとめた。
以下に、GNVが選出した10の出来事を順番に発表する。順番を決める際に用いた詳細な基準(※1)や報道量の測り方(※2)は脚注に記載している。それでは、2022年の潜んだ10大ニュースを1位から見ていこう。
第1位 アメリカ政府が、アフガニスタン中央銀行の35億米ドルを奪取
2022年2月、アメリカのジョー・バイデン大統領が、アメリカ国内銀行で凍結されていたアフガニスタン中央銀行の資産を凍結解除する大統領令に署名した。事件の契機は、2021年8月まで遡る。タリバンがアフガニスタンの政権を掌握したことに対して、アメリカは中央銀行の資産を凍結した。その資産は70億米ドルともいわれ、解除発表とともにアメリカ政府によって用途別に2分割された。資産の半分はアメリカが収奪し、アメリカ同時多発テロ事件(以下9.11)被害者及びその遺族への補償金に充てられ、もう半分はアフガニスタンへ「人道支援」に使われることが発表された。しかし、本来この資産はアフガニスタンのものであり、アフガニスタン国民と9.11犠牲者への補償金は無関係である。「人道支援」についても、タリバンを経由しない方法で、本来の資産を市民に返却するという形をとっているにすぎず、「支援」ではない。アフガニスタンでは、2022年9月以降、約90%の家庭が食糧不足に悩まされており、冬の到来によって食糧や燃料の供給がさらに大きく不足するとみられている。アメリカは、アフガニスタン国内の危機的状況に乗じて、国民の不満をきっかけにタリバン政権が終焉することを画策しているという声もある。
報道量(※3)
朝日新聞:1記事/538字
毎日新聞:2記事/646字
読売新聞:2記事/454字

アフガニスタン中央銀行の資産70億米ドルを2分割し、半分を持ち去るアメリカを描いた風刺画(作画:Liu Rui / Global Times /公表日:2022年2月13日)
第2位 世界最大級の商社・鉱山会社に、約16億米ドル以上の罰金
2022年5月、スイスに本社を置く世界最大級の商社・鉱山会社グレンコア(Glencore)が、価格操作と贈収賄を理由に、アメリカとイギリス、ブラジルの裁判所から11億8,600万米ドルの支払いを命じられた。判決では、2007年から10年以上、数百日にわたって石油の価格操作や機密情報の漏洩に関与していたことが明らかになった。また同年11月、アフリカ5カ国の石油事業で賄賂を送ったと認められ、イギリスの裁判所からグレンコアに3億1,400万米ドルの罰金が課された。さらに翌月、グレンコアはコンゴ民主共和国に1億8,000万米ドルを支払い、同国での汚職事件を解決すると声明を出した。2022年、世界の鉱業会社の売上ランキングで1位に位置する多国籍企業に、記録的な罰金を課した一連の判決は、汚職が横行する業界構造に一石を投じたといえるだろう。とはいえ、現在のところ会社の関係者は誰一人として刑事責任を問われていない。また、事前に罰金を準備しており、それを大きく上回る利益の見込みがあると株主に公表することで、制裁の影響を最小限に抑え、株価上昇にも成功している。実際、グレンコアは2022年上半期だけで、例年の倍以上となる約32億米ドルの利益が出ると発表した。
報道量
朝日新聞:0記事/0字
毎日新聞:0記事/0字
読売新聞:0記事/0字

グレンコアが保有する、オーストラリアのマングーラ鉱山(写真:Lock the Gate Alliance / Flickr [CC BY 2.0])
第3位 東アフリカで、3,610万人が深刻な干ばつ被害
東アフリカで、ここ40年で最悪と言われる干ばつが発生し、複数の国で食糧危機や飢餓が深刻になっている。干ばつの大きな要因となる降水量は直近数十年で減少しており、気候変動の影響も受けていると分析されている。またここ数年、食糧価格が上昇していたことに加え、新型コロナウイルスの蔓延や、ロシアのウクライナ侵攻の影響で市場価格がさらに上がり、多くの市民が食糧を購入することすら困難な状況に追い込まれた。干ばつによる被害の人数は、2022年7月に1,940万人と推定され、10月までに3,610万人以上に増加している。特に被害が大きいのは、エチオピア、ソマリア、ケニアの3カ国だ。エチオピアでは、国民1.2億人のうち2,410万人に干ばつの被害が及び、ソマリアでは780万人、ケニアでも420万人が影響を受けている。さらにソマリアでは、2023年5月までに首都を含む3つの地域が飢饉状態に陥るとされている(※4)。国連や地元の団体など様々なレベルで、状況を改善するための活動も行われているが、資金不足という大きな問題を抱えているのが現実だ。12月時点で、年内までに国連が必要としている支援金の約50%しか集まっておらず、十分な支援が行き届いていない。資金不足の背景には、自国優先的な高所得国の姿勢や、国益や自国との関係性が反映される報道による注目の少なさなどが関係していると考えられる。2022年前半、国際報道で最も取り上げられたウクライナでは、12月までに1,000億米ドル以上の資金が提供された。一方、報道量の少ない東アフリカの3カ国で提供された資金は、合計で約30億米ドルにすぎない。
報道量(※5)
朝日新聞:2記事/4,036字
毎日新聞:2記事/3,374字
読売新聞:0記事/0字

エチオピアで、干ばつにより家畜を失った女性(写真:UNICEF Ethiopia / Flickr [CC BY-NC-ND 2.0])
第4位 史上2回目となる国連海洋会議の開催
気候変動や汚染、乱獲などで世界の海が危機的な状況に陥る中、2022年6月27日から5日間、ポルトガルのリスボンで史上2回目の国連海洋会議が開かれた。24人の国家元首を含む6,000人以上の参加者と、2,000人以上の市民社会組織の代表が会議に出席し、海洋問題に取り組むための具体的な施策が提唱された。2017年に開催された1度目の会議では、海洋に関する持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた指針が定められた。1度目の会議後、国連総会では「持続可能な開発のための国連海洋科学の10年」(以下「海洋科学の10年」)の決議が採択された。「海洋科学の10年」では、2021年から2030年までの10年で、様々なステークホルダーが関与して問題に取り組むことを目指している。今回の2度目となる会議では、「海洋科学の10年」で解決すべき問題が「10のチャレンジ」として取り上げられ、新たに700近くの公約が発表された。そして国連加盟国198カ国が、海洋を守るための「リスボン宣言」を全会一致で採択して幕を閉じた。2022年は、他の国際機関でも海洋に関する議論が活発だった。例えば、プラスチック汚染を対策するため、拘束力のある世界条約の交渉が始まった。また世界貿易機関(WTO)では、海洋資源に悪影響を及ぼす漁業補助金の禁止が決定された。
報道量(※6)
朝日新聞:0記事/0字
毎日新聞:0記事/0字
読売新聞:0記事/0字

世界海洋会議のイベント登壇者(写真:WorldFish / Flickr [CC BY-NC-ND 2.0])
第5位 中南米諸国で相次ぐ、大規模なリーク
2022年3月、ハッキングで得た国家・企業などの不都合な情報を公開する活動家グループ「グアカマヤ」が、中米最大となるニッケル鉱山の環境破壊にまつわる内部情報を大量にリークした。同地域で鉱山開発を行う企業側は、企業活動が環境に与える影響や因果関係を否定していたが、800万件の文書から、実際に事業を通して河川や湖が汚染されていたことが立証された。さらに2022年9月、同グループが、中南米5カ国(※7)政府の内部情報を大量に入手し、公開した。出回ったとされる情報は10テラバイトという膨大な量で、パナマ文書やパンドラ文書の3倍以上に上る。5カ国の軍や警察機関が保有していた、数十万件の電子メールやファイルが公表され、当局と犯罪組織の関係や、犯罪行為などが明るみに出た。内容としては、民間人や環境活動家に対する人権侵害から、軍隊内での犯罪行為と隠蔽行為、犯罪組織との癒着など、様々である。メキシコでは、大統領の健康状態を含む6テラバイトもの情報が流出され、後に大統領は公で自身の持病に言及して存在を認めた。またチリ政府は、陸軍のシステムがハッキングされたことを認め、リークから4日後、陸軍トップの辞任を発表した。
報道量
朝日新聞:0記事/0字
毎日新聞:0記事/0字
読売新聞:0記事/0字

「グアカマヤ」に機密情報をリークされた、メキシコ軍(写真:ProtoplasmaKid / Wikimedia Commons [CC BY-SA 4.0])
第6位 世界最悪の人道危機と呼ばれたイエメン紛争、6年ぶりに停戦開始
2014年から続いてきたイエメン紛争に大きな動きが起こった。2022年4月2日、紛争が8年続いてきたイエメンで、2016年以来初となる、全面的な停戦が発効したのだ。イエメン紛争では、サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)による大規模な軍事介入が行われ、ここ数年で世界最悪の人道危機が発生したといわれている。2021年までの死者数は37万7,000人を突破すると推定され、その60%以上は、食料や水、医療サービスの欠乏などによる間接的な原因で亡くなっている。サウジアラビアが陸海空全ての航路を封鎖したことで必要な物資が届かず、国民は食糧危機に直面してきた。避難民は400万人を超え、2022年12月時点で、人口の約4分の3に当たる約2,160万人が人道支援を必要だと推定されている。インフラの未整備や脆弱な医療サービスなどの問題から、2016年から2021年までのコレラ感染者数は累計250万人を超え、世界保健機関(WHO)のコレラ記録開始以来、最大の数字と記録された。当初2ヶ月とされた停戦期間は、2度の更新により、合計6ヶ月に延長された。しかし、6ヶ月後の2022年10月まで停戦の期間延長に向けた交渉は成立せず、紛争当事者の話し合いは今も続いている。停戦期間が終了してから、大規模な戦争は再開していないが、首都などを占領している武装勢力フーシ派によるドローン攻撃が複数回にわたって行われたとの報道も見られる。国連などの組織や各国による、停戦再開に向けた動きにも注目が集まっている。
報道量(※8)
朝日新聞:3記事/1,668字
毎日新聞:2記事/413字
読売新聞:2記事/1,803字

イエメンの首都、サナアの街並み(写真:Rod Waddington / Flickr [CC BY-SA 2.0])
第7位 北極と南極で、記録的な熱波が同時に到来
2022年3月、北極と南極は異常な猛暑に見舞われた。記録的な熱波が北極と南極を同時に襲い、北極の一部は、平年より30℃、南極も一部で平年より47℃気温が上昇した。南極大陸のコンコルディア基地では、平均気温より約40℃高い、-12.2℃を記録したという。また、南極では約1,200 km²の表面積を持つ、コンガー棚氷が崩壊した。アメリカ航空宇宙局(NASA)の研究によれば、1997年以降南極大陸の氷床が約12兆トン融解しており、取り返しのつかない速度で進んでいるという。今回の熱波の原因は十分に解明されていないが、気候変動が極地での熱波を深刻にしたという捉え方もある。現に、北極では、世界平均よりも2倍から3倍の速度で温暖化が進んでいる。北極・南極の気温上昇で最も懸念されるのは、世界的な海面上昇だ。世界気象機関(WMO)は、海面上昇の速度が1993年と比較して2倍に速まったと指摘している。現在も問題は顕在化しており、海抜の低い太平洋の島嶼国の存在を危ぶむ声もある。北極と南極以外の5大陸でも、気候変動による異常気象、干ばつ被害などは発生している。研究によれば、2022年8月の13日間にわたる調査で、南極以外の5大陸125カ国が干ばつの被害を受けたという。
報道量
朝日新聞:1記事/535字
毎日新聞:0記事/0字
読売新聞:1記事/591字

南極大陸の棚氷(写真:GRID-Arendal / Flickr [CC BY-NC-SA 2.0])
第8位 コロンビアで、政権交代後に和平に向けた動きが活発化
2022年6月19日、コロンビア大統領選挙の決選投票で、急進左派のグスタボ・ペトロ氏が僅差で勝利し、史上初の左派政権が誕生した。選挙後の演説では「歴史を作る」ことを宣言し、同年8月の着任から、国内外で様々な改革が進んでいる。和平の実現に向け、議会では「全面和平法」として知られる法律が承認された。同時に政府は、約60年にわたり反政府勢力として対立してきた「民族解放軍(ELN)」や他の武装勢力と和平交渉を開始している。さらに新政府は、国内ではびこる様々な問題を解決するため、教育無償化、年金改革、所得の再分配、環境保護などの政策を打ち出した。対外関係では、2019年に国交を断絶したベネズエラとの国交を回復した。また、これまで友好関係を構築してきたアメリカとの関係も見直されている。ペトロ氏は、アメリカの麻薬政策や軍事支援に懸念を抱いており、麻薬取引や犯罪者引き渡しをめぐって二国間で新たな交渉が進行中である。政府は、新たな税制改革を提案しているが、税負担が増加する高所得層の市民から抗議の声も出ている。着任から2ヶ月、支持率が悪化している今、ペトロ氏の手腕が問われている。
報道量(※9)
朝日新聞:0記事/0字
毎日新聞:1記事/724字
読売新聞:1記事/138字

就任式で演説する、グスタボ・ペトロ新大統領(写真:USAID U.S. Agency for International Development / Flickr [CC BY-NC 2.0])
第9位 コンゴ民主共和国で、地域を巻き込む紛争が再発
1950年代の朝鮮戦争以来、世界最多となる540万人の犠牲者を出したコンゴ民主共和国の紛争。20世紀末から通称「アフリカの第一次世界大戦」が起こった地で、戦闘が再発している。2021年11月、反政府組織「M23」が約10年ぶりに、コンゴ民主共和国の政府軍に対して本格的な攻撃を開始したのだ。政府軍と「M23」の戦闘は1年以上続いており、2022年12月の報道でも、断続的に攻撃が続いていることが確認できる。紛争には、様々な国や組織が関わっており、背景には隣国ルワンダの存在が指摘されている。ルワンダは、「M23」による政府転覆を支援した経験があり、今回の反乱も黒幕として動いてきたとされる。その一方で、現在コンゴ民主共和国で活動を行う別の武力勢力(ADF)による影響を過去に受けてきたウガンダも、積極的に紛争に介入している。これまでの紛争で発生した国内避難民は500万人以上、国外避難民は100万人であると発表された。現地には、長年派遣されている国連平和維持軍に加え、東アフリカ諸国から構成される新たな部隊も派遣されることになった。2022年12月、政府と「M23」の間で、和平に向けた停戦合意が調印されたが、他にもステークホルダーは多数関わっており、依然として状況は不安定である。
報道量
朝日新聞:0記事/0字
毎日新聞:0記事/0字
読売新聞:0記事/0字

コンゴ民主共和国で活動する、平和維持軍の兵士(写真:MONUSCO Photos / Flickr [CC BY-SA 2.0])
第10位 ラオスで経済危機が発生、原油価格が2倍に
東南アジアのラオスで、深刻な経済危機が続いている。2022年11月、国内のインフレーション率は直近23年で最高値となり、38.5%を記録した。合わせて、資源の価格上昇も急激に進み、2021年6月からわずか1年間で、原油価格は2倍以上に達した。生活必需品の価格についても、軒並み20%から40%高騰しているが、国民の収入は上がらないため、生活が逼迫している。経済危機の背景には、新型コロナウイルス感染症、世界的な物価高、アメリカ金利上昇の影響などが挙げられる。ラオスの自国通貨キープの価値も下落し、1米ドルあたりの価値は、2021年2月から2022年8月までに35%下がった。また経済危機に伴い、債務不履行(デフォルト)の瀬戸際に直面していることも深刻だ。2021年、国の公的債務残高は、国内GDPの88%に及ぶとされている。債務の半分程度は、中国に対してだ。ラオスは「一帯一路構想」に加わり、中国とラオスをつなぐ鉄道開発などで投資を受け、巨額の債務を負うことになった。今後、中国と債務返済の延長や減額についての交渉がますます重要な意味を持つ。この経済危機が続けば、ラオスの一党独裁体制にも影響が及ぶだろう。
報道量
朝日新聞:0記事/0字
毎日新聞:0記事/0字
読売新聞:0記事/0字
10大ニュースを振り返ると、多くは報道量の少ない国や地域で発生しており、政治や経済的な変化、環境や紛争にまつわる様々な話題が上がった。大手新聞3社の国際報道でも、政治や戦争・紛争に関連する報道は多いが、世界で起こった出来事を包括的に報じているとは言いがたい。また今回、環境に関するニュースが2つランクインしている。環境問題がもたらす世界の危機について、十分に報道されていないといえよう。加えて、ウクライナ・ロシア以外でも大規模な武力紛争が存在していることを忘れてはならない。注目度の低さが、人道危機のさらなる悪化をもたらすからだ。
近年では、世界の大企業で大規模なリークや事件も複数起きている。2022年の10大ニュースに漏れた中では、スイスの金融機関クレディ・スイスのスキャンダルがある。1万8,000件以上の口座情報が内部告発でリークされ、預金総額は1,000億米ドルを超えるという。近年、パンドラ文書や「グアカマヤ」など、ますます規模の大きなリークが増えているが、報道で重要視されているとはいえない。他に10大ニュースで候補になったものの、10位以内にランクインしなかったものとして、これまでの累計で記録的な数字を達成した出来事も挙げられる。例えば、世界の難民・避難民を含めた人数が、初めて1億人を突破したというニュースだ。
GNVでは、2023年も「報道されない世界」を探究し、バランスの取れた国際報道の実現に向けて、重大なニュースを発信していく。
※1 ランキングの選出にあたっては、出来事・現象の報道量、及ぼす影響の大きさ、2022年での変化の規模など、複数の基準に則り評価を行った。また、2022年以前より続いている出来事や現象であっても、2022年に明らかになった事柄については2022年に起きたニュースと同様にランクインさせている。
具体的な決め方は以下の通りである。世界を6つの地域(①東・南・中央アジア、②東南アジア・太平洋・インド洋、③中東・北アフリカ、④サハラ以南アフリカ、⑤ヨーロッパ、⑥南北アメリカ)に分け、それぞれの地域で起こった重大と考えられる出来事・現象で、日本国内において報道量の少なかったものを4件ずつ、さらに地域に限定されないグローバルな出来事・現象を6件、計30件ピックアップした。
それぞれの出来事・現象に対して、(1)報道量の少なさ、(2)影響を受ける人数と影響の度合い、(3)政治・経済・社会・安全保障などのシステムへの影響度、(4)越境性、(5)新鮮度という5つの基準について、それぞれ3点満点で点数をつけた。特に、注目されていない事柄を重要視するランキングであるため、(1)報道量の少なさに関しては比重を倍にした。その結果をもとに候補に上がった30件から10件に絞り、編集会議で協議して順位を決定した。なお、報道量は2022年1月1日から2022年12月14日までを集計したものである。
※2 報道量を調べる際には、朝日新聞・毎日新聞・読売新聞3社のオンラインデータベース(朝日新聞:朝日新聞クロスサーチ、毎日新聞:マイ索、読売新聞:ヨミダス歴史館)を使用した。全国版と地域版の東京の朝刊及び夕刊を対象とし、見出しのみならず本文にも着目した。
※3 報道された5記事の題目は、いずれもアメリカによる「人道支援」または「支援」として掲載されていた。
※4 参照したウェブサイトでは、日々新しい情報が更新されているものの、2023年5月までの予測が表示されているため、現状と全く一致するわけではない 。
※5 報道量を分析する際は、同じ記事からの引用を1記事と数え、文字の多い記事を文字数に計算した。当該記事は次のとおり。
「NEWSFLASH:アフリカ干ばつ 1300万人飢餓恐れ」毎日新聞2022/02/09
「アフリカ干ばつ:アフリカ干ばつ、1300万人超飢餓恐れ」毎日新聞2022/02/10
また、2部に分けて紹介している記事も1記事と数え、文字の多い記事を文字数に計算した。当該記事は次のとおり。
「気候革命:COP27 東アフリカ、家畜890万頭犠牲(その1) 餓死招く大干ばつ」毎日新聞2022/11/05
「気候革命:COP27 東アフリカ、家畜890万頭犠牲(その2) 温暖化、干ばつ頻度増加」毎日新聞2022/11/05
※6 報道量を分析する際は、国連海洋会議の開催を主題に取り上げた記事のみカウントした。
※7 情報がリークされた中南米5カ国は、メキシコ、チリ、コロンビア、エルサルバドル、ペルー。
※8 報道量を分析する際は、イエメン紛争の停戦を主題に取り上げた記事のみカウントした。
※9 本記事では選挙後の動きに焦点を当てているため、報道量を分析する際は、当選後についての記事のみカウントした。
ライター:Koki Morita
第一位衝撃です。こんなことがあったなんてまったく知らなかったです。。
アメリカに批判的なことってあまり報じられませんね。
いずれのニュースも、初耳でした。
最近のメディアは、エンタメ系の話題に引っ張られている気もします。
本来あるべき役割を再考してほしいです。
どのニュースも、同じ内容の出来事が日本や日本が注目したがる国で起これば各紙一面記事になる程のインパクトを持っていると思います。
日本のメディアは海外支局を多く持っているので、このような情報はキャッチしているはずです。情報網を構築するだけではなく、そこから得られた情報を発信できるようボトムアップ的に働きかけることもできるのではないかと思いました。
今年も楽しみにしていました!
第一位になったアメリカによるアフガニスタン国庫の強奪が、これほどまでに報じられていないことにショックを受けました。
新聞各社、アメリカだけでも複数の支局があるのに…その役割とは?と思ってしまいます。
2023年も、報道されない世界を見せてくれるGNVを楽しみにしています!
日本の報道はいったい何をしてるんだろう。
重要なニュースをこれだけ見逃してる。
重要で、知っておくべき報道を伝えてくれるGNVに感謝です。
2023年も拝読させていただきます。よろしくお願いします。
アメリカのやり方は汚いですね、、
ラオスがこんなに大変だったなんて…
この記事を友人に紹介しようと思った
マスコミに関わる人だけでなく、全員この記事を読むべきだと思う。
毎年このシリーズ楽しみにしています!今年もやってくれてありがとうございます!
そしてどれも知らないことばかりでした。忙しいことを理由に最近はテレビも新聞も見ていないです。ネットニュースだと偏りがすごく出ちゃうので、GNVが私の世界の窓かも。
これからも記事を楽しみにしています。