2020年に引き続き、2021年の日本国内の国際報道でも新型コロナウイルスに関する報道が顕著(※1)であった。このウイルスの発生とその対応は様々な課題や問題を引き起こし、さらには世界が抱える問題を助長させてきた。しかし、このような側面は報道の中でそれほど注目されてこなかったとも言える。また、2021年、人類に莫大な被害をもたらした保健医療問題は新型コロナウイルス以外にも複数存在した。さらに、保健医療問題以外にも、政治、経済、社会において、多くの人々に影響を及ぼす出来事や現象は絶えず世界中で発生している。
そこで、2018年、2019年、2020年に引き続き、GNVでは2021年に人や、国や地域、または世界全体とそのあり方に大きく影響を及ぼしたにもかかわらず報道が少なかった、あるいは全く報道されなかった出来事を独自に選んでランク付けし、上位10位としてまとめた。
以下、GNVが選出した10の出来事を順に発表していく。ランク付けの際に用いた基準(※2)や報道量の測り方(※3)については脚注に記載する。それでは、2021年潜んだ世界の10大ニュースを1位から見ていこう。
第1位 マラリアワクチンが世界で初めて推奨
HIV/エイズ、結核と並んで世界三大感染症の1つで歴史的にも現在でも多くの人々の命を奪ってきたマラリアに対するワクチンが初めて世界保健機関(WHO)により推奨された。マラリアという病名がついてから130年、ワクチンの開発が始まってからは30年、長年にわたる歴史的快挙ともいえる。2019年にアメリカの製薬会社が開発したRTS,SというワクチンがWHOの協力の下、ガーナ、ケニア、マラウイで65万人以上の子供たちに試験的に投与され、投与された子供たちのマラリア発症を大幅に減少させたことでその効果が認められた。2020年のマラリアの感染者数は2億4,100万人、死亡者数は62万7,000人にのぼるとWHOによって推定されている。近年、感染者数も死亡者数も減少傾向にあったマラリアだが、コロナ禍もあり、2020年には前年に比べ感染者数が1,400万人も増加している。ワクチンの推奨により、感染者数並びに死亡者数の大幅な減少が期待できるが課題も多い。RTS,Sワクチンは効力が高くなく、マラリアの発症を3割から4割しか抑えられない。また、マラリアのうちの95%はアフリカで発生している。これらの国の多くが低所得に直面しながら、抗マラリア薬や蚊帳の使用、インフラ整備など他の対策も並行して行っている中で、資金不足に陥っている国も少なくない。今回のワクチンをきっかけに世界がどれほどマラリア根絶へと向き合えるのかも課題である。
報道量
朝日新聞:1記事/1,994字
毎日新聞:0記事/0字
読売新聞:3記事/2,087字
第2位 パンドラ文書:史上最大のリーク
2021年10月3日、政治家や大富豪、著名人などがタックスヘイブンを利用することで保有する巨大な富とその動きが表に出ていないことが詳細な情報とともにパンドラ文書を通じて暴露された。パンドラ文書は報道機関による史上最大のリークである。国際ジャーナリスト調査連合(ICIJ)が入手したこの文書は、1,190万件の機密ファイル、データ量にして2.94テラバイトにも及ぶ。2016年4月に暴露された類似のパナマ文書を超える規模である。パンドラ文書は150の報道機関に所属する600人以上のジャーナリストの協力により、14の法律事務所などから流出したデータを基にして2年もの歳月をかけて調査された。過去あるいは現役の35人の首脳と91の国や地域の330人以上の政治家や、官僚、犯罪者やその組織、著名人の名前がパンドラ文書には記載されている。またパンドラ文書とは別に、国際租税問題を研究している複数の団体が2021年に行った調査によると、多国籍企業や富裕層などのタックスヘイブンの利用により、本来であれば各国に支払われるべき税金が年間4,830億米ドルも回収されていないという実態があることがわかった。この2つの暴露がタックスヘイブンの規模の大きさを示している。朝日新聞での報道量のみに着目すると、他の10大ニュースの報道量よりはやや多いが、リークの規模、本質的な問題の規模、暴露後の政治的な動きなどを鑑みると、報道量は少ないとも言える。
報道量
朝日新聞:11記事/12,752字
毎日新聞:4記事/1,922字
読売新聞:1記事/718字
第3位 ラテンアメリカで中絶の合法化が大きく進む
アルゼンチンでは、2020年12月に妊娠14週目までの中絶を合法とする決議が上院で採択された。それ以前は、性暴力による望まない妊娠の場合か、女性の生命や健康に危険が及ぶ場合を除く全ての中絶が違法とされていた。また、メキシコでは、2021年9月に最高裁判所の全会一致で中絶に対する罰則は違憲であるという判決が下された。同時期には、ラテンアメリカで最も保守的な国の1つであるチリでも、中絶に対する厳しい法律を緩和する法案の審議に向けて下院が動き始めた。しかし中道右派であるチリ政府はこれに対し反対の姿勢を崩さず、12月19日の大統領選挙の結果によっては合法化への流れが断ち切られる恐れもある。その他に、法律上の具体的な動きがなかったものの、2021年にベネズエラ、ペルー、エクアドル、コロンビアなどでも中絶の合法化を求めるデモが行われている。ラテンアメリカにおける中絶法は世界で最も厳しいと言われているが、根深い反対の背景にはカトリックの信仰がある。その他に、2021年にはホンジュラス、エルサルバドル、ドミニカ共和国において議会が中絶に関する憲法要件を改訂したり、政府が中絶法の改訂を拒否したりするなどの動きもあり、中絶合法化への取り組みがより一層厳しくなっている。
報道量(2020年12月以降)
朝日新聞:2記事/1,821字
毎日新聞:0記事/0字
読売新聞:2.5記事/684字
第4位 コロナ禍で世界の貧富の差が激増
2021年の世界銀行のデータによると、2020年に新たに9,700万もの人が極度の貧困状態(※4)に陥ったことがわかった。その大きな原因は、コロナ禍での貿易量の低下や経済活動の縮小、ロックダウンによる収入の減少によるものと考えられている。その一方、同年、世界の億万長者(10億米ドル以上の資産を保有する者)が所持する富が急激に増加し、過去25年間でも記録的な増加となった。2021年12月に公表された世界格差報告書(World Inequality Report 2022)によると増加した億万長者の富は金額にして4兆米ドルにものぼる。これは全世界の公共の保健医療にかかる出費とほとんど変わらない額である。また、保健医療業界も世界の格差拡大に拍車をかけている。資金不足を主な理由に多くの低所得国が国民に新型コロナウイルスのワクチンをほとんど提供できていない。一方で、新型コロナウイルスのワクチン開発からの利益を得て、新たに9人の億万長者が追加されたという報道もある。世界格差報告書によると世界全体の富のうち、最も貧しいとされる世界人口の下位半数は世界の富のわずか2%しか持っていないのに対して、上位10%の裕福層はその76%を所持している。富の不平等はますます加速し、人々の生きる権利がますます脅かされる中、アンフェアな経済・貿易システムや、タックスヘイブンを含む税金制度、大富豪の存在のあり方を見直すことが問われる。
報道量
朝日新聞:0記事/0字
毎日新聞:0記事/0字
読売新聞:0記事/0字
第5位 世界初の食料システムサミットの開催
2021年9月、世界の食料問題を包括的にとらえたサミットが開かれた。食料そのもののみならず食料を作るところから食べられるまでの過程を対象にした「食料システム」に関する世界初のサミットで、国連による主導の下、18カ月のプロセスを経ての開催となった。このサミットの目的は、飢餓や栄養不足、肥満などの問題に加え、世界の食料価格が過去10年で最大になった影響が深刻化する中、これらの問題についての話し合いと具体的な解決に向けた働きかけであった。加えて、食料生産が環境破壊や生態系への影響を与える中、食料システムにおける改革を通じて、持続可能な開発目標(SDGs)の実現を目指すものだ。このサミットは食料問題を包括的に捉える第一歩となったが、その結果は必ずしも成功したとは言い難い。その要因としては、世界の食料システムに大きな影響を及ぼしている大手企業がさらなる立場の強化を求めて、サミットの企画の段階から大きく関わるようになったことがあげられ、多くの団体や専門家に問題視された。その結果、大規模生産者や企業の利益が優先され、食料生産において最も立場が弱いが、世界の食料生産の大半を担っている小規模生産者や個人が軽視されたという。そうした世界の不平等を反映したサミットに対して小規模生産者を代表する組織などがサミットをボイコットするという動きもあった。世界人口の40%が十分な食料を得られてない現在、各国が食料システムの見直しや再構築を行うことはもちろん、それに大きく影響する世界全体の貿易や金融、経済システムのあり方も問われる。
報道量
朝日新聞:0記事/0字
毎日新聞:0記事/0字
読売新聞:0記事/0字
第6位 コロンビアが100万人のベネズエラ難民・移民にビザを発給
コロンビアのイバン・ドゥケ大統領が隣国ベネズエラからの難民や移民約100万人に10年間の滞在許可書を与えるという決定を行った。ベネズエラでは2014年以降の経済の崩壊や、政治的対立などにより多くの国民が失業やインフレーションなどに直面し、栄養失調や飢餓状態に陥った。全国的に多くの人の生活が苦しくなっていった2015年以降、約540万人のベネズエラ人が身の安全や経済的な安定を求めて国外へと逃れた。これは世界最大級の人道危機と人の移動とされ、2020年末までに国を逃れた人の数としてベネズエラはシリアに次いで多い。ベネズエラからの難民・移民のうち34%はコロンビアに逃れる。そのような中でのコロンビアの決定に対して、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)を率いるフィリッポ・グランディ氏は「この地域で、そして世界全体で、前例のない規模の人道的行為である」と述べた。滞在許可書によりコロンビアに逃れたベネズエラ人は就労の機会や公共サービスを受ける権利を得る。10年後には、居住ビザの申請が可能になる。一方で、許可書の発行にあたっては手続きの方法や、悪質なブローカーの規制、コロンビア国民の賛同などの課題も残る。
報道量
朝日新聞:0記事/0字
毎日新聞:0記事/0字
読売新聞:2記事/891字
第7位 シベリアで史上最大規模の森林火災
2021年、ギリシャやトルコ、アメリカ、カナダで発生した大規模な森林火災が日本のメディアによって注目されたが、それらすべてを合わせたものよりも規模の大きい森林火災がロシアのシベリアで発生した。この火災により、1,816万ヘクタール以上が焼け、5億500万トン以上の二酸化炭素が大気中に放出された。この大規模な火災で発生した煙は、北極にまで到達し、2,000キロメートル以上離れたモンゴルのウランバートルの上空でも煙が確認されたと報じられた。ロシアからカナダにかけて広がる針葉樹林のタイガでは、毎年夏になると森林火災が発生しているが、2020年、そして2021年の火災はその中でも特に異例の規模であった。これらの森林火災の要因の1つとして、気候変動の影響がある。ロシア北東部ではここ2年、6月頃に記録的な熱波が発生しており、春先から平均気温を大きく上回る日々が続いている。暖かい春に加え、極度に乾燥した土壌が大規模な火災を引き起こしているとされる。加えて、この火災は永久凍土の表面を覆っている有機物の層をも燃やし、炎や熱にさらされて融解し、さらには乾燥した永久凍土が燃料となることで燃え広がっている。さらに国の管理不足も指摘されている。毎年のように起こっている大規模な森林火災に対して、人口密度の低さを理由に政府は十分に問題視していないという声もある。
報道量
朝日新聞:0記事/0字
毎日新聞:0記事/0字
読売新聞:1記事/627字
第8位 アフリカ大陸自由貿易圏で貿易開始
2021年1月、参加国の数(54ヵ国)としては世界最大の自由貿易圏であるアフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)での自由貿易がスタートした。この自由貿易協定は5年以上の交渉の末、2018年3月21日に合意に至った協定であり、12億人の人口と2兆5千億米ドルの国内総生産を有する市場であるアフリカにおいて、域内の貿易での90%の品目における段階的な関税の撤廃を可能にした。世界銀行の報告では、この自由貿易圏の起動により2035年までにアフリカの収入は4,500億米ドル増加し、輸出額も5,600億米ドル増加するとされている。また、製造業の成長も見込まれ、3,000万人の人が極度の貧困状態(※4)から脱するとも世界銀行は推測している。加えて、アフリカ地域では国境をまたぐ貿易の多くに女性が関わっていることから、女性の雇用機会や所得の増加についても期待ができる。一方で課題も残る。エリトリアはこの協定に未だ署名をしていない。また、アフリカ地域におけるインフラの普及率の低さも自由貿易拡大による恩恵を妨げ得る。AfCFTAにより物の自由な移動は可能になったが、AfCFTA設立時に掲げられた、ビザ無しで人が自由に行き来できるようになることを記した協定には、ナイジェリアと南アフリカなどが署名しておらず、人の移動には制限が残っている。AfCFTAは国際貿易における協調の重要性を示すきっかけになるのだろうか。
報道量
朝日新聞:0記事/0字
毎日新聞:0記事/0字
読売新聞:0記事/0字
第9位 太平洋諸島フォーラムが分裂
2021年2月、太平洋のミクロネシアという小地域を構成するパラオ、マーシャル諸島、ミクロネシア連邦、キリバス、ナウルの5ヵ国が地域組織の太平洋諸島フォーラム(PIF)からの脱退を表明し、フォーラム史上最大の危機が生じた。太平洋諸国はミクロネシア、メラネシア、ポリネシアの小地域に分けられるが、かねてから人口割合の少ないミクロネシアが他地域に軽視されているとこれらの国々は主張してきた。また、フォーラムの事務総長は各小地域から交代で選出するという不文律があるが、2021年2月の選出では順番となっていたはずのミクロネシアからは選ばれず、過去を振り返ってもミクロネシアからの事務総長の選出は1度きりである。5ヵ国は一連の動きに抗議してフォーラムからの脱退を発表した。太平洋諸島フォーラムは、太平洋の国や地域が直面する課題に協力して取り組むために設立された地域協力機構である。特に安全保障問題や海洋資源などの利権保障は、地域外の国々が太平洋地域への進出の動きを強める中で地域一丸となり取り組む必要があるとされてきた。また、海面上昇など気候変動の影響も深刻化するが、その影響が最も深刻なミクロネシア諸国とフォーラム内の他の国や地域との間で意識に差がある。アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、そして近年では中国がそれぞれ自国の太平洋地域での影響力を最大化しようとする中、フォーラムへの参加国以外の国とも対話が必要となっている。脱退表明後も、ミクロネシアの5ヵ国とフォーラム間での対話が続けられているが9月時点では脱退の姿勢を崩していない。
報道量
朝日新聞:0記事/0字
毎日新聞:1記事/1,062字
読売新聞:2記事/784字
第10位 干ばつと飢餓に苦しむマダガスカル
アフリカ南東部沖に浮かぶ島国、マダガスカルでは過去40年間で最も激しい干ばつと、それによる広範囲にわたる農作物の不作、飢餓の問題が2021年に深刻化した。2021年11月時点で、マダガスカルの国民のうち約130万人が危機的な飢餓状態にあるとされている。そのうち一部の国民は国連世界食糧計画(WFP)が設定した総合的食料安全保障レベル分類(IPC)において5段階中の最悪の飢餓レベルにまで達している。また、WFPによると、2022年4月までにマダガスカルの約50万人の5歳未満の子どもが栄養不足に陥るとされ、そのうち11万人が極度の栄養不足に陥ると予測されている。マダガスカルが直面する現状に対して、WFPは気候変動がもたらした史上初めての飢餓であると述べる一方で、気候変動はマダガスカルの食料危機に直接的には関係していないという研究結果もあり、両側面の見解が存在する。食料不足の背景には、干ばつに加えインフラが十分に整備されていないことも影響している。マダガスカルでは、世界で2番目に高価な香辛料であるバニラの生産や、ニッケル、コバルト、イルメナイトなどの鉱物資源の採掘なども行われている。しかし、その多くの富が国外に流出されるというアンフェアトレードの構図がみられ、思うような収益には結びついていないと言える。収入の低さに加えて、食料不足による食料価格の上昇も深刻であり、貧困や飢餓から脱却するためには課題が山積みである。
報道量
朝日新聞:0記事/0字
毎日新聞:1記事/356字
読売新聞:0記事/0字
上記の10大ニュースを振り返ると、世界全体に広がる極度な格差とその背景にあるアンフェアな経済システムは以前から目立っていたものの、コロナ禍はその状況をさらに顕著にしたといえる。急激に拡大する格差は、タックスヘイブンに関する暴露でも明らかにされた。また、GNVが過去に発表してきた10大ニュースにも気候変動関連のニュースが登場してきたが、今回もシベリアの森林火災のニュースがあった。格差や気候変動問題とも関連して食料問題も今回いくつかのニュースで登場している。選出した10大ニュースの中には、マラリアのワクチンやアフリカの自由貿易、コロンビアの移民・難民の受け入れなどの前向きな出来事もあったが、世界で注目されない課題があまりにも多い。
世界各地のニュースを集める中で、10の出来事しか選出できなかったが、10位以内に残らなかったものの同じくらい重大な出来事も複数あった。例えば、気候変動の深刻な進行と関連して、ブラジルのアマゾンで二酸化炭素の排出量が吸収量を上回ったというニュースがあった。様々な地域で発生している武力紛争問題も候補にあがった。例えば、サヘル地域での紛争の拡大とそれが引き起こす人道問題もその一つだ。また、コンゴ民主共和国やイエメンでの紛争に伴う食糧危機などが悪化している。一方で、長年紛争が続いていたリビアでは和平に向けた進展があり、年末には選挙も予定されている。
GNVでは2022年も引き続き、報道の対象になりにくい世界で起きている重大なニュースを取り上げて、発信していく。
※1 例えば、朝日新聞のオンラインデータベース(聞蔵IIビジュアル)を用い、2021年1月1日から12月14日朝刊までの東京朝刊及び東京夕刊の国際面を対象に、「コロナ」のワードを含む記事を検索したところ、968件表示された。
※2 ランキングの選出にあたっては、出来事・現象の報道量、及ぼす影響の大きさ、2021年での変化の規模など、複数の基準に則り評価を行った。また、2021年以前より続いている出来事や現象であっても、2021年に明らかになった事柄については2021年に起きたニュースと同様にランクインさせている。
具体的な決め方は以下の通りである。世界を6つの地域(①東・南・中央アジア、②東南アジア・太平洋・インド洋、③中東・北アフリカ、④サハラ以南アフリカ、⑤ヨーロッパ、⑥南北アメリカ)に分け、それぞれの地域で起こった重大と考えられる出来事・現象で、日本国内において報道量の少なかったものを4件ずつ、さらに地域に限定されないグローバルな出来事・現象を6件、計30件ピックアップした。それぞれの出来事・現象に対して、(1)報道量の少なさ、(2)影響を受ける人数と影響の度合い、(3)政治・経済・社会・安全保障などのシステムへの影響度、(4)越境性、(5)新鮮度という5つの基準について、それぞれ3点満点で点数をつけた。特に、注目されていない事柄を重要視するランキングであるため、(1)報道量の少なさに関しては比重を倍にした。その結果をもとに候補に上がった30件から10件に絞ったうえで編集会議で協議し順位を決定した。なお、報道量は2021年1月1日から2021年12月15日までを集計したものである。
※3 報道量を調べる際には、朝日新聞・毎日新聞・読売新聞3社のオンラインデータベース(朝日新聞:聞蔵II、毎日新聞:毎索、読売新聞:ヨミダス歴史館)を使用した。全国版と地域版の東京の朝刊及び夕刊を対象とし、見出しのみならず本文にも着目した。
記事を報道量とカウントするかについての基準に関しては、その話題が記事のメインテーマになっているかどうかで判断した。つまり、一文のみ話題に触れるなど記事の一部だけで言及している場合は報道量としてカウントしていない。
また、1つの記事で2つの話題をメインテーマとして扱っており、その1つが該当する場合には0.5記事としてカウントしている。
※4 GNVでは世界銀行が定める極度の貧困ライン(1日1.9米ドル)ではなく、エシカル(倫理的)な貧困ライン(1日7.4米ドル)を採用しているが、このラインに関するデータが不足しているため、今回は世界銀行の極度の貧困ラインを利用している。詳しくはGNVの記事「世界の貧困状況をどう読み解くのか?」参照。
ライター:Rioka Tateishi
知らないことばかりでした。実際、知らなくても困らないニュースもあるんだとは思います。でも、貧困や気候変動をはじめ「知らなかった」で済ましていいレベルではない問題がたくさん詰まっていて、多くの人に読んでほしいと思いました。
ポッドキャストも楽しみにしています。
今年も10大ニュースが出ましたね!!ありがとうございます!
1年間で世界の格差がここまで拡大しているのに、大手メディアが一切報道しない。
新聞を真面目に読んでいても世界の現状が全然把握できないことが悲しいです。
パンドラ文書、日本の著名人の名前があったにもかかわらず、報道数が限られていますね
日本には関係ないから、と切り捨てる人もいますが、高度にグローバル化社会では世界で起きていることすべてがどこかで私たちの社会や生活と繋がっていると言えます。これからもGNVにはこういった問題を取り上げてほしいです。
日本の大手メディアは、私達が本来知るべきニュース(世界に大きなインパクトを与える情報)をより中立的に報道してほしいと感じました。
トップ10に入った中でも、南半球に関する記事は初めて学ぶことが多く、読んでいて興味深かったです。
来年も楽しみにしています!
毎年自分が目にしてこなかったニュースを発見することができ、楽しみにしています。こうしてまとめてくださることで、さらにそこから興味を深ぼることができる、素敵な記事だとおもいました。
SDGsが叫ばれる昨今、このようなニュースが報道されていなかったことを知り考えさせられました。「SDGsに関するこのような取り組みを行っている」などのプラスの面がメディアで多く取り上げられているような印象を受けていますが、マイナスの面にもしっかり目を向ける姿勢が必要だと感じます。
報道量が0の出来事が多すぎて、朝日新聞で11記事報道されたパンドラ文書が多いように錯覚するが、11記事でも十分少ない。
GNVの別の記事に日本との関係性が報道量に関係していると書いてあったが、ランクインした出来事を見ると本当にその通りだと思う。メディアは日本にとっての重要度ではなく、世界にとっての重要度を考慮するべきであると感じた。
重大なニュースばかりだと感じましたが、正直この記事を読むまで知らなかったことも多かったです。
報道量が0のものが多いのは、メディアの責任であると同時に、こうした問題に目を向けない私たち国民の責任でもあるなと反省しました。