GNVニュース 2026年1月15日
2026年1月9日、イエメンの南部暫定評議会(STC)の一部メンバーが、同組織の解散を発表するビデオ声明を出した。イエメン南部の独立を掲げ、勢力を伸ばしていた組織の一転した意向である。
イエメンが抱えている紛争の発端は2014年に遡り、甚大な人道危機を起こした紛争が続いている。首都サナアを含む北部は、反政府勢力であったアンサール・アッラー(別名フーシ派勢力)が制圧し、それに対しサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)が2015年から軍事介入を行った。現在もアンサール・アッラーは首都を統治している。南部では、サウジアラビアの支援するイエメンの「政府」ともよばれている大統領指導評議会(PLC)はイエメンの首都の奪還を目指しており、一方でUAEの支援するSTCは南部イエメンの独立を掲げてきた。アンサール・アッラーの掃討という同じ目標のもとに動いてはきたものの、イエメン南部の行方をめぐっては双方は対立していた。
そんななか、STCは2025年12月には急激な動きをとっており、イエメン南東部の主要都市を掌握してイエメン南部全域を支配するに至っていた。これを反逆的な行為とみなすサウジアラビア主導の軍は2025年12月30日にイエメン南部の都市を空爆し、UAEの軍はイエメンから撤退した。サウジアラビア主導の軍はその後1月初旬に南部地域を奪還した。
今回のSTC解散の発表は南部問題の解決を名目にサウジアラビア主催した2026年1月7日の会合の際に起こったことだった。しかし、首都リヤドでのこの会合にはSTC代表団50人以上が参加したものの指導者は姿を見せずソマリランド経由でUAEに逃亡したためPLCは彼を指名手配した。なお会合に参加したSTCの代表団は11日時点でも連絡が途絶えている。この解散の決定は指導者が同席しなかったうえ、サウジアラビアの監視下で圧力をかけられ恣意的に行われた、無効のものだと反対する声がSTCの拠点であるイエメン南部ではあがっている。
サウジアラビアとUAEは、イエメンでの介入など歩みを共にしてきた関係が近年崩れてきつつある。スーダンにおいても介入を行っており、政府軍とそれに敵対する組織をそれぞれ支援している。他国を通して度々起こるサウジアラビアとUAEの対立は両国にさらなる亀裂をもたらしている。またUAEは長らく他にも、ソマリアやリビアなどでも国家に敵対する武力勢力を支援している。
さらに、イエメン、サウジアラビア、UAEの三国と国境を接するオマーンは、それまで中立的な立場をとってきた。しかしながら2025年12月初旬からのSTCの軍事攻撃でオマーンとの国境地域に脅威が迫ると、サウジアラビアに協力する姿勢を見せた。
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UAEの軍事介入についてもっと知る⇒「UAE・小さな地域大国」

- イエメンのソコトラ南部における検問所にかかるSTCの旗(2023年) (写真: Hardscarf / Creative Commons [ CC BY-SA 4.0 ])





















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