
この写真には、記者会見で話している人物が写っている。右手に紙を持ち、それを集まった記者たちに見せているところだ。撮影された場所も、この人物が誰なのかもはっきりしない。重要な発表をする政府関係者なのだろうか。それとも何らかの問題への対応について説明を求められて、メディアの前に立たされているのだろうか。その紙を持って何をアピールしようとしているのだろうか。
ただ、この写真の具体的な状況はわからなくても、こうした場面は世界中の多くの国でよく見られるものだ。記者会見は、ジャーナリストが権力を持つ人々に質問し、説明責任を果たさせる貴重な機会とされている。しかし、実際のところ、本当に彼らに厳しく問いただせているのだろうか?
記者会見のあり方をめぐっては、「発表報道」という言葉もある。これは、政府や企業などから発表された情報を、ほとんどそのまま記事にしてしまうような報道のことを指す。情報の裏を取ったり、疑問を投げかけたりすることなく、言われたことをそのまま伝えるだけ。そうした姿勢が、結果的に、政府が広めようとしている誤った情報の拡散に加担してしまうケースも少なくない。
記者会見と誤情報・偽情報についてもっと知る→「誤情報・偽情報が『報道』として通ってしまうとき」
記者と権力についてもっと知る→「プロパガンダ・モデルと日本の国際報道」
(写真:Sharomka / Shutterstock)




















0 コメント