イラク:ファルージャに残る有毒な遺産

執筆者 | 2026年01月28日 | GNVニュース, 中東・北アフリカ, 保健・医療, 紛争・軍事

イラク中部の都市ファルージャの住民は、がんや先天異常の発生率が異常に高い状況に直面している。2025年に発表された研究によると、ファルージャの住民を対象にした骨サンプリングで、参加者の29%からウランが検出された。ウランは通常、人体内に存在しない物質であり、ごく少量であっても有害となり得る。また、鉛の濃度は、アメリカの同年代の集団と比較して約600%高かった。ウランや鉛といった重金属は、時間の経過とともに複数の臓器系に影響を及ぼすことが知られている。

2004年以降、子どものがん発症率は12倍に増加し、先天異常は17倍に増加した。2003年以降の数年間では、心臓や神経管の異常などの重度の先天異常が、出生全体の15%を超えた。流産率は2004年から2006年の間に約10%から45%へと上昇し、乳児死亡率の増加も見られた。若年発症のがんや呼吸器疾患の異常な増加も報告されている。

研究者らは、こうした健康危機を、同市で行われた過去の軍事作戦と結び付けている。2004年11月、アメリカ主導によるイラクの占領の過程で、米英軍はファルージャに対して軍事攻勢を開始した。この攻勢では、白リン弾や劣化ウランを含む激しい爆撃が行われた。市内の建物の約70%が破壊され、さまざまな推計によれば、4千〜6千人の民間人が死亡した。その10年以上後にも破壊は続き、2014年の「イスラム国(ISIS)」による同市占拠の際には空爆が行われた。両度の爆撃で使用された物質の一部、劣化ウランなどは、土壌や粉じん中に長期間残留し、長期的なリスクをもたらす可能性がある。

戦後の清掃作業は、住民を瓦礫、コンクリートの埃、焼けた材料、武器の破片にさらすことが多い。戦争で荒廃した同市では、正式な清掃計画や基本的な公共サービスが不十分な中、多くの帰還住民が自ら損壊した地域の片付けを行った。こうした清掃に関与した親を持つ子どもは、先天異常の発生率が高くなる可能性があることが、複数の研究で示されている。

ファルージャの物理的なインフラの多くは再建されたものの、イラクの医療制度はいまだ大きな負担を抱えており、環境の浄化も十分には進んでいない。病院は資金や人員が不足している。戦後、政府が提供していた多くのサービスは民間部門に移行し、低所得層の人々にとって医療へのアクセスが制限される結果となった。そのため、病院は複雑な先天性疾患を治療する能力を十分に備えておらず、専門医療へのアクセスも限られている。障害のある子どもに対する公的支援も最低限にとどまっている。

同様のリスクは、ガザ、レバノン、シリア、ウクライナイエメンなど、他の紛争影響地域でも懸念されている。専門家らは、これらの国々で行われた激しい爆撃が汚染を引き起こし、長期的な公衆衛生上の危機や、より広範な社会経済的問題につながることを懸念している。

イラクについてもっと知る→「イラク:連続する危機から立ち直れるか

アメリカ主導の戦争についてもっと知る→「9.11から20年:アニバーサリー・ジャーナリズムを問う

2004年11月、イラク・ファルージャで行われた米軍の軍事作戦中、建物から煙が立ち上る(写真:Joel A. Chaverri / Wikimedia Commons [Public domain] )

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