マレーシア:電子廃棄物輸入の禁止

執筆者 | 2026年02月8日 | GNVニュース, アジア, 世界, 共生・移動, 環境, 経済・貧困

GNVニュース 202628

202624日、マレーシアにおいて電子廃棄物(E-waste)の輸入が全面禁止された。これまで2023年に出された関税(輸入禁止)命令において環境局長が一定条件のもとで電子廃棄物輸入を許可できる裁量権を持っていたが、今回の決定で「絶対禁止」カテゴリーに分類された。今回の全面禁止発表は汚職調査が拡大する中で出されており、環境局長や副官は権力濫用と電子廃棄物監視に関わる汚職の疑いで拘留され、差し押さえられている。また、電子廃棄物関連の執行の調査・強化のための特別委員会設置も決定されており、全ての港で違法な電子廃棄物に対する取り締まりが一層強化される予定である。

電子廃棄物とは、廃棄された電子機器のことであり、現在マレーシアでは携帯電話、コンピューター/ノートバソコン、テレビ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機/乾燥機の6品目が指定されている。電子廃棄物には水銀や鉛、ヒ素などといった、有害金属や毒素が含まれている。そのため本来は環境省の許可を受けた施設でのみ処理できるが、正式な処理施設の建設コストは高く、非公式・違法な処理もなされている。このような未規制のリサイクル地域や関連労働者の間では、DNA損傷、神経発達障害、流産、早産、皮膚疾患、聴力低下、めまい、呼吸障害、男性の生殖系疾患などの症例が増加しており、有害物質が水や空気、土壌を汚染し、作物を通じた健康リスクも高めている。

このような健康被害が生じるため他国に電子廃棄物を輸出する国は特に高所得国で多く、毎年世界の電子廃棄物の60~90%が低所得国へ違法に輸出されている。マレーシアは2017年に電子廃棄物の輸入を禁止していたが、環境省が承認した場合のみの例外的な受け入れや、違法輸入がなされていた。そして中国が2018年に電子廃棄物輸入を禁止して以降、新たな「廃棄先」の一つとして注目されてきた。2022年には毎月1,000本以上のコンテナが違法に輸入され、その電子廃棄物が国内で処理されていた。この違法市場は貴金属抽出による高利益によって回っており、その裏で健康被害や税収損失、温室効果ガス排出やリサイクルされきれない有限資源の枯渇を促進してきている。今回の電子廃棄物全面禁止によりこれらが抑制されることが期待される。

電子廃棄物に関する問題についてもっと知る→「電子廃棄物の問題

電子廃棄物の一つである廃基盤(写真:Rwanda Green Fund / Flickr [CC BY-ND 2.0])

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