エチオピアで再燃する紛争

by | 2026年10月7日 | GNVニュース, 中東・北アフリカ, 政治, 紛争・軍事

GNVニュース 2026年10月7日

エチオピア北部のティグライ州で、2022年に終結した武力紛争が再び激化している。9月23日、エチオピア連邦政府と、同州を拠点とするティグライ人民解放戦線(TPLF)を中心とする武装勢力との戦闘が本格化した。10月3日には政府軍が州都メケレを制圧し、TPLF側は市内から撤退した。しかし、その後も北部では空爆や砲撃が続いており、戦闘が収束したとはいえない状況だ。

ここで注目すべきは、TPLFがアビィ・アハメド首相の退陣と暫定統治の樹立を掲げる7勢力連合「エチオピア人民生存連合」の一員として戦っている点だ。アムハラ地方のファノ民兵やオロモ解放軍なども名を連ね、2020~2022年の紛争時には敵対していた勢力が、今回は同じ連合に加わっている。地政学分析機関IAGは、メケレ奪還が連邦政府に当面の優位をもたらす一方、TPLFが過去にもゲリラ戦へ移行した経緯があり、軍事的な決着にはなお程遠いと指摘している。

この紛争は国境を越えたところでも緊張を生んでいる。アビィ首相が紅海への主権的アクセスを重ねて主張する中、エリトリアとの外交関係は断絶した。エチオピアはエリトリア、エジプト、スーダンが反政府勢力を支援していると非難するが、3カ国はいずれも否定している。10月4日にはエジプト、エリトリア、ソマリア、スーダンの首脳がエジプトで会談し、主権尊重と対話による解決、紅海の管理は沿岸国に委ねるべきとの共同宣言を発表した。アビィ政権の外交的孤立が浮き彫りになった。

また、人道面での懸念も強まっている。北部ティグレでは人道支援物資を運ぶトラックがドローン攻撃を受けたとの報告もあり、国連は子どもを含む強制徴用についても深い懸念を表明している。

2020〜2022年の前回の紛争時では数十万人が死亡したとされる。メケレを奪還した政府側が当面優位に立つとはいえ、スーダンや南スーダン、ソマリアを巻き込んだ地域紛争への拡大懸念が急速に高まっている。

エチオピアでの情勢についてもと知る→「エチオピア北部で紛争再燃の懸念」

エリトリアとの関係についてもっと知る→「エリトリアとエチオピアの緊張高まる」

エチオピアのアビー・アハメド首相(右)とエリトリアのイサイアス・アフェウェルキ大統領(左)(2019年)(写真:Office of the Prime Minister – Ethiopia / Wikimedia Commons [Public domain])

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