報道機関グレーゾーンが公開した文書によると、化学兵器禁止機関(OPCW)(※1)は、2018年4月7日にシリア・ドゥーマでシリア空軍によって行われたとされる化学兵器攻撃に関して収集した証拠の一部を隠蔽していたことを、法的な提出書類の中で認めていた。
疑惑によれば、シリア空軍のヘリコプターがドゥーマ上空から反応性塩素を含む2本のシリンダーを投下し、43人が死亡したとされた。現場映像や写真には、口から大量の泡を吹く犠牲者の様子が映っており、後に塩素が化学兵器として使用されたという主張を裏付けるものとなった。
この事件を受けて、アメリカ、イギリス、そしてフランスは、2018年4月14日にシリアに対する軍事攻撃を開始した。3か国政府は、この攻撃はシリアの化学兵器計画に関連する施設を標的としたものだと説明した。シリアは、自国軍がドゥーマで化学兵器を使用したとの疑惑を否定した。
OPCWは調査のため事実調査団(FFM)を派遣した。チームは、化学兵器が使用されたかどうかを調べるために、2018年4月21日にドゥーマの疑われる現場の1つを初めて訪問した。さらに2018年6月6日にはドイツ軍の毒物学専門家に意見を求め、ウィキリークスが公開した文書と、元OPCW査察官ブレンダン・ウィーラン氏に帰せられる証言によれば、犠牲者の症状は塩素ガス曝露と一致しないとの結論が示された。
物的証拠についても異論が出された。流出された元OPCW職員イアン・ヘンダーソン氏による工学的評価は、現場で発見された2本のシリンダーは、空中から投下されたというより、人の手で配置された可能性が高いと結論づけた。これは、シリンダーがシリア空軍のヘリコプターによって投下されたという疑惑に異議を唱えるものだった。
しかし、2019年3月1日に公表されたOPCWの最終FFM報告書には、ドイツ側の毒物学評価やヘンダーソン氏の工学的結論は含まれなかった。代わりに同報告書は、反応性塩素を含む有毒化学物質が兵器として使用されたと信じるに足る合理的根拠があると結論づけた。また報告書は、環境試料および血漿試料の分析において、神経剤や関連する化学物質の痕跡は検出されなかったとも記述している。
これらの評価の除外は、その後、OPCWとウィーラン氏の間で国際労働機関行政裁判所(ILOAT)に持ち込まれた労働上の紛争の中心的論点となった。グレーゾーンによれば、その訴訟でのOPCWの法的提出書類は、毒物学に関する資料が最終的な公表報告書から差し控えられていたことを認めていた。元職員たちは、アメリカおよび同盟国政府がOPCWに対し、その主要な調査結果の操作を行うよう圧力をかけたとも主張している。
※1:化学兵器禁止機関(OPCW)は、1997年に設立された条約ベースの国際機関であり、化学兵器禁止条約(CWC)の実施機関として機能している。その中核的使命は、化学兵器を恒久的に廃絶し、その再出現を世界的に防止することである。
シリア紛争について詳しく知る →「シリア:深刻化する人道危機」
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ハーグにあるOPCW本部(写真:OPCW/ Flickr [CC BY-NC-ND 2.0])





















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