GNVニュース 2026年4月19日
細菌は感染症を引き起こし、人間は細菌を殺す抗生物質を投与することで治癒している。しかし細菌は進化速度が早く、抗生物質への耐性を持つ薬剤耐性菌(いわゆる「スーパーバグ」)が生まれ、増殖することがある。こうした抗生物質が効かない感染症は世界的に増加が確認されており、深刻な公衆衛生上の問題となっている。従来、薬剤耐性菌は過剰な抗生物質の処方などにより増加しているとされていたが、2026年3月23日に発表された研究で、新たな要因が指摘された。それが干ばつである。
土壌の中には多くの土壌微生物が存在し、生きるために必要な水や栄養を巡って競争している。土壌微生物の中には、競争下で他の細菌を排除するため、天然の抗生物質を自ら合成・分泌するものが存在する。一方で土壌微生物の中には、その抗生物質による攻撃から生き残るために必要な耐性遺伝子を持つ細菌も存在する。干ばつで土壌中の水分量が低下すると、その少ない水分がある空間に土壌微生物は密集し、栄養は乏しくなり、競争は激化する。それにより、細菌がより多くの抗生物質を産生して互いを攻撃し、新たな耐性遺伝子が出現したり、既存の耐性遺伝子を持つ細菌が生き残りやすくなったりすることで、耐性遺伝子の蓄積が起こる。
では、この土壌中で増加した耐性遺伝子がなぜ人間の感染症につながるのか。その鍵が、「水平伝播」という細菌が互いに遺伝子を交換するプロセスである。干ばつによる過激な競争下で増加した耐性遺伝子は、地上で人間に感染する細菌に取り込まれる可能性がある。実際、土壌細菌と病原菌で共通の耐性遺伝子が発見された報告もある。
抗生物質耐性は医療の問題だけではなく、気候変動とも切り離せない生態学的問題でもあることが指摘されている。
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干ばつに見舞われたアメリカジョージア州リシア・スプリングズ(写真:Global Water Partnership – a water secure world / Flickr [CC BY-NC-SA 2.0])





















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