GNVニュース 2026年9月4日
近年、世界各地で土壌劣化が悪化を続けている一方、土壌を保護・再生するための実証済みの手法は、必要な速度と規模で普及するに至っていない。国連食糧農業機関(FAO)が、砂漠化対処条約(UNCCD)第17回締約国会議(COP17、モンゴルの首都ウランバートルで開催)にあわせて発表した最新報告書「世界の土壌資源の状況2026」がそう結論づけている。この報告書は2015年から2025年にかけて発表された科学文献と、75か国の専門家の知見をもとにまとめられ、2015年に発表されたFAO初の土壌資源評価を更新するものとなっている。
FAOは世界をアフリカ、アジア、ヨーロッパ、ラテンアメリカ・カリブ海、近東・北アフリカ、北アメリカ、南西太平洋の7地域に分けて土壌の状態を評価しており、半数以上の地域で持続可能な土壌管理手法の導入率が「低い」または「非常に低い」と判定された。2015年以降に状況が悪化したとの評価は全体の5割以上を占め、改善が見られたのは約1割にとどまった。特に土壌浸食は最大の課題とされ、7地域(準地域を含む)の評価のう8割が浸食管理を「不十分」または「非常に不十分」と評価した。
土壌は人類が消費する食料の95%以上を生み出すほか、水の貯留・浄化、気候の調整、生物多様性の維持にも寄与している。2015年以降、世界人口は8億人増加し、主要作物の収穫面積も8000万ヘクタール拡大したことで、土壌への負荷はさらに強まっている。会議では、南アジア、特にインドでは、肥料補助金が尿素に偏っており、土壌が本来必要とする栄養バランスを崩す一因になっているとの指摘も専門家から上がった。
さらに、FAOはUNCCDと共同で新たな指針も発表し、土壌ガバナンスの強化、教育・人材育成への投資拡大、モニタリング体制の改善、持続可能な管理へのインセンティブ強化、多様な関係者を巻き込んだ意思決定という5つの優先課題を提示した。FAOは、土壌を消費し尽くす発想から、管理し保全していく発想への転換が世界全体で必要だと強調している。
2024年にサウジアラビアのリヤドで開かれたCOP16では、土地劣化を気候変動や生物多様性の損失、水不足と一体で扱うべきかどうかで意見が割れ、合意に至らなかった経緯があり、今回のCOP17でも各国間の調整が焦点となっている。目に見えにくい土壌の劣化にどう歯止めをかけ、食料安全保障を支えていくかが、今後の課題となっている。持続可能な土壌管理に向けた取り組みを、世界全体で進めていくことが求められている。
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タンザニア農地の土壌侵食を防ぐために段々畑を整備する農家たち(2014 年)(写真:Alliance of Bioversity International and CIAT / Flickr [CC BY-NC-SA 2.0])





















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