スリランカ、サイバー犯罪組織の新たな標的に

by | 2026年06月19日 | GNVニュース, アジア, テクノロジー, 世界, 共生・移動, 法・人権, 経済・貧困

GNVニュース 2026年6月19日

カンボジアをはじめとする東南アジアでの取り締まり強化を受け、中国系の犯罪組織が詐欺拠点をスリランカへと移転している実態が報告されている。この影響により、スリランカ政府が新たに設置したサイバー犯罪対策課は、2026年だけで特定された逮捕者がすでに1000人を超えたと発表した。これは、2024年に摘発された430人を遥かに上回る規模である。

さらに、スリランカには、国際サイバー犯罪組織が求める好条件が揃っていると懸念される。まず、スリランカ政府が観光客誘致のために新設した、40ヶ国向けの30日間無料観光ビザやオンライン承認制度が、観光を装った詐欺活動や組織的な要員移動を簡潔にしていると指摘されている。現に、2026年に同国でサイバー詐欺容疑で逮捕された全員が、観光ビザで入国していたという報告もある。また、高度に整備されたインターネット環境に加え、オフィスやホテル、アパートの一室を低価格で賃貸できる利便性も、犯罪組織を惹きつける一因とされる。専門家は、これらの組織がカンボジアで見られた巨大施設ではなく、拠点を小規模化また分散化させることで移動性を高め、当局の摘発の網をすり抜けやすい体制を敷いていると分析する。さらに、巧妙化する犯罪を前に、スリランカでは法制度の未整備という死角だけではなく、国内組織間の連携や情報共有が機能していないという構造的欠陥も指摘されており、これが犯罪組織の定着を加速させる課題となっている。

これらの犯罪組織による手口は、主に欧米やオーストラリアなどの英語圏を標的にしているとみられていたが、その包囲網はすでに国内へも波及している。こうした中、スリランカ政府機関が標的とされ、国庫金を含む巨額の資金が消失する国内史上最大規模の詐欺事件へと発展した。実際、2025年12月から2026年3月にかけて、スリランカ財務省からオーストラリアへの債務返済に充てられるはずだった250万米ドル、正体不明の口座へと流出した。また、スリランカ郵政局がアメリカ郵便公社(USPS)へ送金した約62万5000米ドルフィッシング詐欺により消失した事件をめぐっても、同国警察の犯罪捜査部(CID)が本格的な捜査を開始したことが確認されている。

専門家がスリランカの現状を詐欺経済の初期段階にあると分析する中、同国はこれまで逮捕した外国人を起訴せず強制送還するのみという、限定的な法執行に留まってきた。しかし、事後対応の繰り返しは犯罪の温床を広げるだけに過ぎず、主要同盟国カンボジアへの圧力同様、在スリランカ中国大使館が自国籍容疑者の逮捕報道に対しての公式声明を発表するなど、諸外国らの警戒と働きかけも強まりつつある。今後、国際犯罪組織の完全な定着を阻止すべく、スリランカ政府が法制度や機関連携の強化をどこまで徹底できるか、今後の具体的な実行力が問われる。

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ガール要塞の警察宿舎、スリランカ(写真:istolethetv / Flickr [CC BY 2.0])

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