GNVニュース 2026年5月10日
2026年2月、アメリカとイスラエルによる対イラン戦争の開始から、世界の原油価格が大きく上昇している。特にホルムズ海峡周辺の武力行為、封鎖、緊張などは世界のエネルギー供給に大きな影響を与えている。エネルギー価格の高騰は、世界中で物価上昇や生活負担の増加を引き起こしている。
その一方で、大きな利益を得ているのが石油・ガス大手企業である。イギリス系エネルギー企業のシェルは2026年第1四半期に約69億米ドルの利益を記録し、市場予想を上回った。また、ブリティッシュ・ペトロリアム(BP)も約32億米ドルの利益を上げ、前年同期比で利益が2倍以上に増加した。その背景には、中東情勢悪化による原油価格の高騰や、石油取引や精製事業による収益拡大があるとされる。
さらに、イギリスのガーディアン紙は、世界上位100社の石油・ガス企業が、対イラン戦争開始後の1か月間で「1時間あたり3000万米ドル以上」の超過利益を得ていたと報じた。特に、サウジアラビアの国営企業も大きな利益を得ているとされる。
しかし、その一方で、市民生活への負担は増加している。原油価格上昇によりガソリン代や輸送コストが高騰し、世界各地で物価上昇が深刻化している。世界銀行の報告書によると、特に低所得国では、エネルギー価格上昇が家計や経済に大きな打撃を与えている。
また、この問題は気候変動とも深く関係している。現在、世界では脱炭素社会への移行が求められているが、一部の国では石油企業の「超過利益」に対する追加課税を求める声も高まっている。ヨーロッパでは、エネルギー価格高騰による市民負担を軽減するため、石油・ガス企業への超過利得税(windfall tax)を導入する動きも進められている。また、環境団体や専門家からは、短期的な化石燃料依存ではなく、再生可能エネルギーへの投資を拡大すべきだという意見も出ている。
こうした状況を踏まえると、「誰が戦争によって利益を得ているのか」という視点から国際問題を捉え直すことが求められる。
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ドイツで原油価格高騰の影響を受けたガソリン価格表示(2026)(写真:Matthias Berg / Flickr [CC BY-NC-ND 4.0])





















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