バルカン半島南西部のアルバニアで大規模高級リゾート開発計画をめぐって激しい反対運動が起きている。計画にはアメリカのドナルド・トランプ大統領の娘婿、ジャレッド・クシュナー氏の投資会社がかかわり、予定地はフラミンゴ、アザラシ、ウミガメなど希少生物の生息地として知られる。首都ティラナでは連日のようにデモが繰り広げられ、「アルバニアは売り物ではない」などと反発する声が聞かれる。
開発計画は16億米ドルの事業費を見込み、1万室の宿泊施設を建設する。2024年にクシュナー氏が計画を明らかにし、2026年1月には妻のイバンカ・トランプ氏(トランプ大統領の娘)とともに現地を訪れた。
クシュナー氏は2021年夏、英国ロスチャイルド家の大富豪のヨットで地中海を巡っていたとき、アルバニアのエディ・ラマ首相と出会い、意気投合した。アルバニアの自然環境のすばらしさも知り、リゾート開発への投資を決めたという。
しかし建設予定地のサザン島とそれを取り囲む海岸線は、地中海で環境的に最も脆弱であるとされる地域のひとつである。チチュウカイモンクアザラシの数少ない避難場所であり、フラミンゴやダルマチアンペリカンを含む200種以上の鳥類(その多くが絶滅危惧種)の生息地でもある。
2026年5月下旬、開発業者が建設予定地の一部を有刺鉄線で囲み、市民と民間警備員が衝突。整地作業と重機搬入が始まり、反対運動に火がついた。ピンク色のフラミンゴが運動の象徴となり、ティラナのデモ参加者はフラミンゴの人形やプラカードを掲げた。希少生物の生息を脅かすことに加え、計画の透明性のなさへの批判が目立つ。
これに対してラマ首相は計画を後押しする。BBCによると、抗議行動は環境問題への「誤った情報に基づいている」と決めつけ、リゾート開発は雇用創出やインフラ整備など同国に莫大な利益をもたらすと強調する。
しかし、思惑通りに進むかどうかは不透明だ。政治ニュース専門サイト・ポリティコとアルバニアの自然保護団体(PPNEA)によると、予定地には数百ヘクタールの景観保護地域が含まれている。2024年にアルバニア政府が法改正し、リゾート開発が可能になった。だが、法改正は国際的な保護基準に反しているとの批判があり、アルバニアの特別反腐敗検察局(SPAK)が調査を開始した。
実はクシュナー氏は2026年初め、セルビアで計画中だったホテル建設からの撤退を余儀なくされた。地元で激しい反発を受け、政府閣僚が職権乱用で逮捕されたのだ。BBCは、クシュナー氏にとってアルバニアの現状は「デジャブ(既視感のある)の出来事」と指摘する。
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