家族による低・中所得国への送金額が10年で倍増

by | 2026年09月19日 | GNVニュース, 世界, 共生・移動, 経済・貧困

GNVニュース 2026919

2026914日に国際農業開発基金(IFAD)が発表した報告書によれば、2025年における低・中所得国への家族送金額(※)は2016年以降ほぼ倍増となる7286億米ドルに達した。この送金額は政府開発援助だけでなく、近年は海外直接投資をも上回る規模となっている。世界では22000万人の移民が11億人の家族を支え、6人に1人が送金を通じてつながっている。新型コロナウイルスのパンデミックや武力衝突、自然災害、経済不況などの危機下でも送金は減らず、家計を支える安定した資金源であり続けている点も示された。

流入先としては、上位5カ国(インド、メキシコ、フィリピン、エジプト、パキスタン)だけで報告書が対象とする国々への記録済み送金流入額全体の47% を占めている。また、この10年間での増加率はラテンアメリカ・カリブ地域で最も高く、132%増加していた。

一方で、その恩恵が均等に届いていない実態もある。送金の3超は農村部に流れ込み、農業生産や地元経済を下支えしているが、当の農村受取世帯は金融サービスから最も取り残されている。デジタル送金は世界的に広がりつつあるが、送金開始はスマートフォンでも、受取側は現金でしか引き出せないケースも多く残っており、通信環境や口座アクセスが乏しい農村ほどその恩恵から遠ざかっている。2025年には、送金元・送金先の両方で完全にデジタル化されていたのはわずか35%であったと指摘されている。

手数料の格差も存在する。世界平均は依然として国連目標(3%未満)の倍以上となる6.36% で高止まりし、なかでも南部アフリカや太平洋の島嶼国、コーカサス地方など、取引量が少なく競争が働きにくい地域では負担が突出して重い。タジキスタンでは6割近く、トンガでは4割近くのGDPを送金が占めるなど、送金に依存する小規模経済も多く、送り手側の雇用情勢や為替変動の影響を強く受けやすい現状もある。

民間事業者には、表面的な手数料だけでなく為替マージンなど総コストの開示を徹底し、実質的な受取額で比較・競争できる環境を整えること、そして農村部でもデジタルと現金を組み合わせたサービスで金融アクセスを確保することが求められている。政府や国際機関には農村部の通信環境や現金引き出し網の整備を進めるとともに、送金政策を金融包摂や農村開発、気候変動への適応といった開発戦略に統合していくことが提言されている。 

※家族送金とは、移民が出身国の親族やその他の人々に送る所得の一部分を指す。

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送金業者に列をなす人々, ハイチ(写真:Flickr / Georgia Popplewell [CC BY-NC-SA 2.0 ])

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