GNVニュース 2026年8月16日
国際労働機関(ILO)が8月11日に公表した報告書「世界・若者雇用動向2026年版:バック・トゥ・ザ・フューチャー」によると、世界の若者を取り巻く雇用環境は改善傾向にある一方、安定した仕事へのアクセスには依然として大きな格差が残されている。同報告書によれば、世界の若年失業率(15〜24歳)は統計開始以来の低水準を2023年に記録し、2025年には12.4%へと再び上昇し、失業者数は6700万人に達した。同時に、就労・就学・職業訓練のいずれにも属さない「ニート」の若者の割合も19.7%から20%へ拡大し、その数は2億5700万人に上る。
地域別では、アラブ諸国(26.2%)と北アフリカ(22.6%)が引き続き世界最高水準を記録した一方、上昇幅が最も大きかったのは北米で、2023年の8.3%から2025年には9.8%へ悪化している。
高い失業率に対して、若者の不満は政治的な形をとって表れている。報告書が挙げるように、2025年、ネパールでは若者の雇用機会の乏しさや政治への不満などを背景に、Z世代を中心とする大規模な抗議デモが発生し、首相が辞任に追い込まれた。ILOは、雇用機会からの排除が単なる経済問題にとどまらず、社会の結束や政治的安定にも波及しうると指摘している。
その背景には、世界経済の減速や地政学的緊張に加え、AIによる事務・管理職などエントリーレベル職への影響、若者に実務経験を求める採用慣行の広がり(いわゆる「経験のパラドックス」※)があるとされている。15〜29歳の就業者の6.1%がAIの影響を強く受ける職種に就いていると推計する一方、科学・保健・工学分野の雇用は世界的に拡大しており、教育・スキル形成への投資の重要性を浮き彫りにしている。
ILOのジルベール・F・ウングボ事務局長は、まともな仕事を得られない世代は自信を持って未来を築けないと指摘し、若者への良質な雇用創出は各国にとって最も賢明な投資の一つだと強調した。
AIや世界経済の変化によって労働市場のあり方そのものが変わりつつある今、若者が必要な技能を身につけ、安定した雇用にアクセスできる環境をいかに整えるかが、各国に問われている。
[※] 就職には経験が求められるが、就職しなければ経験を積めないという矛盾
Z世代によるデモについてもっと知る→「メキシコのZ世代によるデモとされたものの実態」
世界の労働者の権利侵害についてもっと知る→「労働者の権利と国際報道」

バラトプル市役所前で抗議するネパールのZ世代(2025年)(写真:हिमाल सुवेदी / Wikimedia Commons [CC BY-SA 4.0])





















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