ICCの主席検察官、性的虐待の疑いで職務停止処分に

執筆者 | 2026年06月14日 | GNVニュース, 政治, 法・人権

2026年6月8日、国際刑事裁判所(ICC)の執行機関は性的虐待の疑惑を受け、カリム・カーン首席検察官を停職処分とした。同氏は、オランダ・ハーグにある同裁判所本部で自身の下で勤務していた女性アシスタントに対し、複数回にわたり性的行為を強要したとされ、2025年5月より休職していた。カーン氏の弁護団は「この決定は違法であり、手続き上不公正で、証拠に裏付けられていない」と決定を拒否する声明を発表した。

背景には、政治的思惑の可能性が指摘されている。性的虐待の告発を受け3月、同局が任命した裁判官パネルが、国連の調査ではカーン氏による不正行為は立証されなかったとの結論を下した。しかし、その数週間後、同局の21の加盟国に構成される委員会メンバーの過半数が、裁判官の報告書を却下する動議を支持し、カーン氏が何らかの不正行為を行った可能性があることを示唆したのだ。

カーン氏に対する疑惑が浮上する前より、アメリカとその同盟国は、ガザ地区でのジェノサイドをめぐりイスラエル当局者に対する戦争犯罪捜査を進める同氏の事務所を妨害するキャンペーンを展開している。カーン氏はイギリスの法廷弁護士であり、同氏の事務所はロシアのウラジーミル・プーチン大統領、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相など、世界各国の国家指導者らが犯したとされる重大な国際犯罪を捜査してきた。アメリカ、ロシア、イスラエルは同裁判所の加盟国ではないが、ICC加盟国の領土内でこれらの国の国民が犯した犯罪については、同裁判所が管轄権を有している。

ガザ地区におけるイスラエル当局者による戦争犯罪の疑いについて捜査を進める中、同氏に対してイスラエルのネタニヤフ首相とヨアヴ・ガラント元国防相に対する逮捕状を取り下げるよう、イギリスおよびアメリカから激しい圧力を受けている、と報じられている。ICCに保管されている記録によると、ICCの英イスラエル系弁護人ニコラス・カウフマン氏との会談において、カウフマン氏はカーン氏に対し、ネタニヤフ氏とガラント氏に対する逮捕状が取り下げられなければ、「彼らはあなたを破滅させ、裁判所をも破滅させるだろう」と伝えたとされる。

戦争犯罪、ジェノサイドを裁くための常設裁判所の重要性が高まる中、批判派がカーン氏の行動に関する疑問を、裁判所の正当性やパレスチナ事件に関する問題と結びつけて論じる余地を与えてしまったとICCの一部幹部は考えている

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ICCのカリム・カーン首席検察官(写真:Ministerie van Buitenlandse Zaken / Flickr [CC BY-SA 2.0])

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