北極の海氷減少スピードの鈍化は錯覚だったのか?

by | 2026年07月29日 | GNVニュース, 世界, 環境

GNVニュース 2026729

一部の研究では、2000年代後半から2020年代初めにかけて、冬季の海氷減少のペースが鈍化しているような研究データが示されていた。

しかし最新の2026年に発表された米国科学アカデミー(PNAS)に掲載された研究は、その見方が誤りであった可能性を示している。2025年の冬季の海氷域面積が衛星観測史上最小を記録したことで、減少傾向が改めて確認された。そして、2026年においても、2025年とほぼ同じ記録的最小レベルであり、2年連続で異例の結果となった。

この研究は、近年の観測データに2025年および2026年のデータを加えたうえで、北極海氷の長期的な変化を再分析したものである。その結果、2000年代後半から2020年初めにかけての海氷減少の鈍化とされていた現象は、長期的な回復傾向を示すものではなく、内部変動(自然変動)による一時的な揺らぎにすぎない可能性が高いと結論づけられた。

北極の海氷減少は主に温室効果ガスの増加による長期的な温暖化によって進行しているが、その変化の現れ方には内部変動が大きく関与しているとされる。また内部変動とは、大気・海洋など気候システム内部の過程によって生じる揺らぎによって自然に生じる変動とされる。

実際、北極の海氷は年ごとに大きく変動する。気温、風のパターン、海流などの影響によって、短期的には増減が繰り返される。そのため、数年単位のデータだけを見れば、あたかも減少が止まった、あるいは改善しているように見えることもある。しかし、数十年規模で見ると、長期的な減少傾向は変わっていない。

北極のみならず気候システムは複雑であり、内部変動の影響によって短期的な変動が大きく現れる。そのため、数年規模のデータだけをもとに長期的な傾向を判断すると誤解を招く可能性がある。

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北極圏に浮かぶ海氷(写真:Летом в Арктике / Wikimedia Commons [CC BY-SA 3.0])

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