南部アフリカで深刻化する食料危機

執筆者 | 2026年06月5日 | GNVニュース, 南アメリカ, 環境, 経済・貧困, 農業・天然資源

GNVニュース 20266月5日

20265月末にジンバブエのビクトリアフォールズで南部アフリカ開発共同体(SADC)の農業・食料安全保障担当大臣会合が開催された。ここで採択された共同声明では、南部アフリカ地域の国々で食料危機が深刻化していることへの懸念が示されたこの発表によれば、南部アフリカでは近年の干ばつや異常気象の影響により農業生産が大きな打撃を受けており、数千万人が食料不安に直面しているという。

SADC加盟国の農業担当大臣会合で示された報告によると、現在約5,800万人が十分な食料を確保できない状況に置かれている。特に2023年から2024年にかけて発生したエルニーニョ現象に伴う干ばつは、ザンビアやジンバブエ、マラウイなどの主要農業国で穀物生産量を大幅に減少させたと報告された。なお、今回の危機は過去数十年で最も深刻な食料危機の一つとされている。

こうした状況を受けて、SADCは食料安全保障の強化に向けた対策を協議した。会合では肥料制度の調和を優先課題として位置付けた。加盟国ごとに異なる肥料規制が存在することで、肥料の流通や供給に障害が生じているためである。大臣たちは、制度の統一によって農家がより安定的に肥料へアクセスできるようになり、農業生産性の向上につながるとの認識を示した

また、家畜感染症への対策も重要な議題となった。国境を越えて広がる家畜疾病は農村部の生計に大きな影響を与えており、加盟国間での情報共有や監視体制の強化が必要とされている。会合では、疾病管理に関する地域協力の推進についても議論が行われた。

さらに、SADCは地域全体で飢餓が拡大する可能性に強い懸念を示しており、加盟国に対してより迅速かつ協調的な対応を求めている。特に、気候変動による干ばつの頻発が食料生産を不安定化させており、長期的な食料安全保障への影響が懸念されている。

今回の問題は、単なる一時的な自然災害による食料不足ではなく、気候変動への脆弱性、農業生産基盤の弱さ、地域間協力の課題など複数の要因が重なって生じている構造的な問題である。食料安全保障は人々の生命や生活だけでなく、経済発展や政治的安定にも直結する重要な課題である。今後、SADCが進める肥料制度改革や地域協力の強化が、域内の食料危機の緩和につながるのか注目される。

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2024年のエルニーニョ現象による干ばつで被害を受けたトウモロコシを手にするザンビアの農家(2025)(写真:UNDP Climate / Flickr [CC BY-NC 2.0])

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