レバノン:死刑制度の廃止

by | 2026年08月12日 | GNVニュース, 中東・北アフリカ, 法・人権, 紛争・軍事

GNVニュース 2026812

レバノン国会は811日、死刑制度を廃止し、代わりに加重重労働付き終身刑に置き換える法案、「ワリード・スライビ法」を国会本会議で承認した。今後は大統領の承認と署名、官報への公示を経て正式に発効する見通しで、これによりレバノンはアラブ諸国連盟加盟国の中で2番目に(※1)死刑を全面的に廃止する国となる。レバノンでは20041月の3人への死刑執行を最後に22年間執行が行われず、「事実上の廃止国(ADF)」(※2)に分類されていたが、その間も死刑判決自体は言い渡され続け、廃止時点で死刑確定囚は85人に上っていた。

こうした廃止の背景には、1980年代に始まった市民社会団体による長年の働きかけがある。国会議員との関係構築や国内外の廃止支持ネットワークからの支援を受けながら活動が続けられ、2004年の死刑執行時には国内外から強い反発が起きた。同様の廃止法案は2004年、2008年、2012年にも提出されたが、いずれも成立には至らなかった。こうした積み重ねの上で、レバノン市民権協会(LACR)が202510月に法案を提出し、可決に至った。法案名は、1983年に廃止運動を始めた一人である故ワリード・スライビ博士にちなむ。

今回の可決は、イスラエル軍による軍事侵攻・占領と避難命令の発令による避難民の増加や深刻な経済危機という国家的苦境のさなかであることや、物議を醸す一般恩赦法※3)の審議と並行して実現した点でも注目されている。

死刑制度をめぐっては、世界全体で145カ国が法律上または事実上の廃止国である一方、54カ国が依然として死刑を存置しており、2025年には死刑執行数が過去最高となっている。また、新たにイスラエルでは2026年に入り、事実上パレスチナ人にのみテロ関連事件への死刑適用を拡大する法整備が進められており、死刑をめぐる姿勢に世界で隔たりがある。

 

1 1番目は2024年に廃止したジブチ。

2 死刑研究ユニット(DPRU)と死刑プロジェクト(DPP)による分類

※3 一般恩赦法が成立すれば、一部例外を除き、有罪判決を受けた武装勢力メンバーや麻薬密売人の刑期短縮、あるいは釈放にもつながる可能性があるとされており、15年間に及んだ1990年の内戦終結に関する国会以来の規模となる物議を醸している。

 

近年の死刑執行数増加についてもっと知る死刑執行数が過去最高

これまでの死刑制度の状況をもっと知る世界の死刑

レバノン議会(写真:Pjposullivan1 / Flickr [CC BY-SA 2.0])

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