平和維持活動の危機

執筆者 | 2026年05月28日 | GNVニュース, 世界, 紛争・軍事

GNVニュース 2026528

2026525日にストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が公表した「2025年における多国間平和活動の動向と傾向」に関する分析によれば、2025年末時点での多国間平和活動への派遣要員数は約78千人と、前年比は過去10年で最も急激な落ち込みをみせ、少なくとも25年ぶりの最低水準に落ち込んだ。2025年の活動件数は、2024年より3件少ない世界34の国・地域で展開された合計58件であるが、派遣人数の73%はこのうちのわずか5件に集中し、そのうち4件がサブサハラ・アフリカに位置している。

多国間平和活動の中でも国際連合主導の活動、つまり国連平和維持活動(PKO)は、単に兵士を派遣()するだけでなく、選挙支援や復興事業など幅広い活動を通じて平和の定着を助けてきたPKOにおいて大幅な人員削減やそれに伴う派遣地の優先順位づけをせざるを得なくなった要因としては、資金不足が挙げられる。20257月、PKO2024~25年度の総予算の35%超に当たる20億米ドルもの不足に直面した。また、国連安全保障理事会では、常任理事国であるアメリカ、中国、ロシアの対立により、活動継続の条件・根拠の更新や決定が困難になっている。国連主導の平和維持活動の穴埋めとして、アフリカ連合等の地域機関による活動も挙げられるが、効果的・統合的な平和維持に必要な主要能力を欠いている他、国連同様に資金不足や地政学的対立による意思決定の膠着が指摘されている。

一方で、新たな和平・停戦合意には多国間平和活動の展開計画が盛り込まれることが多く、多国間紛争管理への支持は依然として広く根強く存在する証拠もある。各国は多国間平和活動に対して言葉による支持をするだけではなく、資金提供や政治的空間の確保を通して、紛争関与国の自国利益によって取り決めが直接的に左右される、軍事色の強い状況を打開していくことが求められている。

※2025年における軍事要員の上位10カ国は、すべてグローバル・サウスの国々であった。

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