エチオピア北部で紛争再燃の懸念

by | 2026年08月5日 | GNVニュース, サハラ以南アフリカ, 紛争・軍事

2026年8月1日、エチオピア北部ティグライ州で、エチオピア政府軍と武装勢力との間で軍事衝突が発生し、数百人が隣国スーダンに避難した。エチオピア連邦政府と、同州を実効支配するティグライ人民解放戦線(TPLF)は2020年から2年間にわたって60万人が犠牲になる激しい戦闘を繰り広げたばかりだ。再び全面的な紛争に発展する恐れが出ている。

軍事衝突が起きたのは、スーダン国境に近いティグライ州西部のシェレリナ地区。この日早朝から午後5時ごろまで、重砲やドローンを使った攻撃が続いた。数百人のエチオピア人が戦闘を逃れ、スーダンに避難した。中には負傷した戦闘員も含まれていたという。翌日まで戦闘が続いたとの報道もある。

連邦政府、TPLFとも、相手側に衝突の責任を負わせている。連邦政府の閣僚は「TPLF一派」のしわざと断定し、紛争が長引けば「さらに深刻な結果」を招くとSNSで警告した。一方TPLF側は、連邦政府が「全面戦争」を開始したと述べ、ティグライの人々を「服従させ、分断する」のが狙いだと非難した。

今回の戦闘は、スーダン紛争の代理戦争の様相も見せている。スーダンでは国軍と、準軍事組織「迅速支援部隊(RSF)」の間で衝突が続いている。

エチオピア政府は、スーダン軍がTPLFの「傭兵」を支援していると非難。スーダン側は、RSFを後押しするアラブ首長国連邦(UAE)と連携し、エチオピア政府が自国領土内からのドローン攻撃を容認していると反発している。

2020年に始まった紛争は、アフリカ連合(AU)が仲介し、2022年に和平合意にこぎつけた。しかし、紛争解決の一環で設置されたティグライ州の暫定行政機関をTPLFが追い出し、支配権を取り戻した。 合意後も人権侵害が続き、根本的な解決に至っていないとの指摘もある。

国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルは紛争が再燃すれば、人権侵害や虐待が繰り返されるとして、当事者、関係機関に対して人権回復のための緊急行動を呼びかけている。

エチオピアの歴史についてもっと知る→「エチオピア大改革:アビー新首相は救世主となれるか

スーダンの紛争についてもっと知る→「スーダン:紛争開始から3年

攻撃の対象にもなったクリニック、ティグライ(2021年)(写真:Yan Boechat/VOA / Wikimedia Commons [Public domain])

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