GNVニュース 2026年7月14日
2026年7月10日に国際連合教育科学文化機関(UNESCO)が発表した報告書によれば、2025年には低・中所得国113カ国で、債務返済額が教育への公的支出額を上回った。特に低所得国では教育支出の3.8倍が債務返済に回されている。
この背景の一つに、教育支出が債務返済と対等な立場にないという構造がある。近年、平均して債務返済総額の62%を占めるようになった国内債務は、教員給与等と同じ経常予算から支払われるため、教育予算と直接競合している。債務返済は契約上の義務であり、支払わなければ債務不履行となり国の信用を失う。一方、教育を含む社会支出は法律上の義務ではなく「調整可能」とみなされがちで、財政難になると削られる傾向にある。中でも教育は、保健や社会保障、緊急支出などと予算を奪い合う立場にあり、社会支出の中でも特に削減されやすい。実際、2017年以降、債務返済に1米ドル追加されるごとに教育支出は実質0.28米ドル減少している。
この構造に加え、近年は主に金利上昇により、対外債務含む既存債務の返済負担そのものが記録的な水準に達している反面、救済措置が不十分であることが問題視されている。国内債務は、市場金利かつ短期的なものが多いため金利急騰の影響を受けやすい。一方対外債務でも、新規融資の大半を民間ファンドやパリクラブ(※)非加盟の新興融資国が占めるようになり、利害調整が複雑化し、救済実施が遅れがちである。また、英米拠点の一部民間債権者は、多国間での救済合意が固まりかけても単独で満額返済を求め、より多くの利益を引き出そうとすることも問題視されている。これらの状況の中で、債務の大きな返済負担は2030年代まで継続される見通しであり、新規の借り入れも教育を含む開発ではなく既存債務の返済に消える状況になっている。
特に低所得国、気候変動に脆弱な国、構造的な制約を抱える国では、歳出・歳入に対する債務返済の比率が特に大きい。現行の段階的な債務再編や返済期限の見直し、財政緊縮はその場しのぎに過ぎず、むしろ緊縮財政・投資不足・開発停滞という悪循環を招く危険がある。アメリカやヨーロッパによる教育への援助削減もなされる中、教育にとっては学習格差の固定化や長期的な成長機会の損失につながりかねない。こうした中、債務のさらなる帳消しや手続きの迅速化とあわせ、民間債権者が救済合意を妨げられないようにする法整備が求められている。
(※)債務国が抱える返済上の困難に対して協調的かつ持続可能な解決策を見出すことを役割とする、公的債権者による非公式なグループ。1956年にアルゼンチンが自国の公的債権者とパリで会合を持つことに合意したことに始まり、1956年以降、102の異なる債務国との間で485件の合意に達し、パリクラブの合意の枠組みで処理された債務総額は6160億ドルにのぼる。
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