GNVニュース 2026年5月1日
モーリタニアは不正移民を抑える対策を強化し、欧州への出発は急減したが、移民の扱いを巡る懸念が高まっている。人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチは142ページの報告書で、「長時間で痛みを伴う拘束、食水の制限、その他の不当な扱い」の事例を記録している。報告書はまた、拷問、強姦、身体的虐待、恣意的拘留、法的手続きを伴わない集団的追放が執行作戦中に行われたと記している。これらの対策は欧州連合(EU)が支援する国境管理と結びついており、移民が西アフリカ沿岸からおよそ500〜1000キロ離れたスペイン領カナリア諸島に到達するのを阻止することを目的としている。
西アフリカ諸国の中で、モーリタニアは大西洋ルートの主要な中継国になっている。このルートは西アフリカや中部アフリカの移民が小型船で大西洋を渡りカナリア諸島に向かう経路で、多くはセネガルやモーリタニアなど沿岸地域から始まり、長く危険な航海を伴う。2000年代初頭以降、カナリア諸島への移動は増加しており、2024年にはこのルートが世界で最も致命的な移動経路となり、1万人を超える死者が出た。
このルートの利用増加に対応して、EUとスペインはモーリタニアと協力を拡大し、欧州領土に到達する前の段階で移民を管理するようになった。重要な動きの一つが2024年に署名された2.1億ユーロの協定で、国境管理、監視、停船対応能力の強化を目的としている。この協定を受けてモーリタニア当局は沿岸パトロールや監視作戦を強化し、欧州に向かう船の数を減らし、出航前に人々を拘束するケースが増えた。
厳格な対策により、これまでに2025年のスペイン・カナリア諸島への到着者は前年に比べ59%減少した。減少傾向は2026年にも続いている。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、2025年前半にモーリタニアから2万8000人の移民が追放されたと主張している。
執行強化は移動経路にも影響を与えている。拘束を避けるためにモーリタニア国内にとどまる移民もいれば、近隣国を経由する代替ルートに転じる者もいる。これらの代替ルートはより長く、海上横断が長期化し安全性が低下するなどリスクが高い。
ヒューマン・ライツ・ウォッチへの回答で、モーリタニア政府は組織的な虐待の主張を否定し、移民対策は国内法と国際的義務に従っていると主張した。政府は申し立てを調査しており、個別評価と尊厳の尊重を確保する手続き的保障を導入したと述べている。
全体として、外部国境管理の強化により不正出発と死者は減少したものの、執行慣行や移民の不適切な扱いに関する懸念は残っている。
アフリカからヨーロッパへの移民ルートについてもっと知る→「EU:地中海を渡る移民・難民対策の実態」
モーリタニアについてもっと知る→「深刻化する環境問題に耐えるモーリタニア」

モーリタニア海軍の艦船(写真:Commander, U.S. Naval Forces Europe-Africa/U.S. 6th Fleet / Flickr [CC BY-ND 2.0])





















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